来場者の熱い視線を集めていたのが、ハンス・J・ウェグナーの"CH621 スウィベルチェア"だ。生涯で500点以上の椅子をデザインしたウェグナーだが、回転椅子はわずか5脚しか発表しておらず、この製品はとても貴重な復刻と言える。
「ウェグナーがコペンハーゲンに引っ越す1946年よりも前にデザインした初期の作品のため、オリジナルは現存していません。そのため遺族が管理している膨大なアーカイブに残っていたドローイングと写真から椅子のフォルムや素材を分析。3Dプリンターモデルで検証を繰り返しながら、ディテールを細かに調整していきました」
そう語るのは、開発を担当した同社のマッズ・ホルム・ラベルグさん。オリジナルデザインを尊重し、基本的な寸法はそのままに、より安定した態勢が維持できるように4本脚から5本脚に変更。さらに当時は存在しなかったガスシリンダーを採用して昇降をスムーズにするなど、機能面を大きくアップグレードしている。
<写真>"CH621 スウィベルチェア"(W60.5×D61×H75.5〜84.5×SH45〜54㎝)¥442,200〜