現代パリジェンヌのアイコン、カミーユ・ヨレーヌ
アルザス地方・コルマール出身。画家の父のもと、幼い頃からアート、映画、文学に囲まれて育ち、豊かな感性と審美眼を養う。パリの大学では文学を専攻し、今なお「ヴァカンス中は毎日2冊読むのが習慣」というほどの読書家。大学卒業後は、ウェブメディア「マイ・リトル・パリ」で美容エディターとしてキャリアをスタート。同時に、パリの歴史を感じる街角の風景や、自身が愛するフリップリー(古書店の意)、フランス文学にまつわる投稿を自身のインスタグラムで発信したところ、1年でフォロワー3万人を超える注目の存在に。独立後、フリーランスのモデル、ライター、クリエーターとして活動の幅を広げ、2024年には念願の初の短編小説を出版し、作家としての第一歩を踏み出す。現在は、著名アーティストを手がけるカナダ人音楽プロデューサーとともに、シンガーソングライターとしてアルバムを制作中で、2025年10月に初のリリースを控えているという。創造力豊かに、ジャンルの枠を軽やかに越えて活躍するその姿は、まさに現代のパリジェンヌを象徴する存在だ。
「ロクシタン」の生地“秘められたプロヴァンス”へ
ラベンダー畑にオリーブの木、石造りの村々とマルシェの香り。誰もが思い描く南仏のイメージは、たいていプロヴァンスと呼ばれる地方に根ざしている。しかし、地図を少しだけ北東にたどると、そこには“オート・プロヴァンス(高地プロヴァンス)”と呼ばれる、もうひとつの顔が広がっている。まさにここが、「ロクシタン」生誕の地。
「フランス人にとってこのエリアは、『静かなプロヴァンス』や『秘められたプロヴァンス』とも称され、地中海のきらびやかさとは対照的に、山と空と大地の力強さが際立っている印象です。小さな村が点在し、昔ながらの手仕事やスローフード文化が今も大切に守り継がれているのも魅力的」と“オート・プロヴァンス”について語るカミーユ。
標高数百メートルから2000メートルを超える場所もある“オート・プロヴァンス”は、乾燥していて風が強い。高地ならではの厳しい自然環境が、植物にたくましさと、土地の記憶を閉じ込めたような豊かな香りを与えてくれるのだ。そんな“オート・プロヴァンス”を初めて訪れたカミーユは、こう語る。「昔から身近な存在だった『ロクシタン』の製品。その香りはいつも豊かな大地を思い起こさせてくれました。でも実際に“オート・プロヴァンス”を歩いてみると、逆に、風に乗って漂ってくる空気や植物の香りから『ロクシタン』の製品を思い出すことがあって……。その瞬間、この土地の空気や光が、ボトルひとつひとつに凝縮されているのだと、改めて実感しました」
香りが呼び起こす記憶と、記憶が辿り着く場所。オート・プロヴァンスは、自然と人とが深く調和しながら生きる美しさを、そっと語りかけてくる。
オート・プロヴァンスの自然に寄り添うホテル「ル クヴォン デ ミニム」で五感のリトリート
オート・プロヴァンスの丘陵に位置する町マーヌに、時を超えて受け継がれてきた、聖なる隠れ家がある。その名は 「ル クヴォン デ ミニム」。「ロクシタン」が運営するこの5つ星ホテル&スパは、2024年に総合的なリニューアルを経てその姿を一新した。
その建物は、かつて17世紀に創設されたミニム修道会の修道院が起源。調和のとれた石造りの建築、広々とした庭園や中庭、回廊、礼拝堂など、時代の風格を感じさせる空間が、ゲストを非日常へと誘う。ホテル内に構えるガストロノミックレストラン「ル・フュイエ」は、この町で初めてミシュラン1つ星を獲得したレストランとなった。また、テラス席も備えるビストロスタイルのレストラン「パンパリグースト」では朝食、ティータイム、ワインテイスティング、カクテル&タパスなど多彩なダイニング体験を提供している。
全49室の客室は、歴史的建築の趣を残しつつ、現代的でミニマルな内装を特徴とする。暖かなアースカラーを基調に、「ロクシタン」を象徴する植物モチーフや手仕事のテキスタイルが随所に配され、訪れる人に心地よい安らぎをもたらす。 オート・プロヴァンスの自然と香りの世界観を繊細に表現した「ル クヴォン デ ミニム」は、単なる宿泊施設を超え、南仏の豊かな歴史と自然の恩恵を感じながら、五感でオート・プロヴァンスの世界に浸ることができる特別な場所だ。
世界初のエコサート認証スパ。心と体を解き放つ「ロクシタン アン プロヴァンス スパ」
ホテル「ル クヴォン デ ミニム」の特別な空間に溶け込むように存在するのが、「ロクシタン」の自然哲学を体現する「ロクシタン アン プロヴァンス スパ」。ここでは、植物の叡智とサステナブルな思想が交差し、心身の深い癒しをもたらす体験が提供されている。
敷地面積2,500 m²のこのスパ施設は今年、国際有機認証機関エコサートによる“Sustainable Well-being Center”認証を取得した。スパがこの認証を得るのは世界初となる快挙! 認証ラベルは、製品、サービス、設備、そして経営において人と地球に配慮した環境保護のアプローチに取り組んでいることを証明する。建物全体は地熱エネルギーを活用した冷暖房システムで運営され、スタッフには水資源やエネルギー管理に関するサステナビリティ教育が行われるなど、自然との共生を前提とした運営が貫かれている。
施術で用いられるのは、イモーテルなど南仏の植物を配合した「ロクシタン」製品。なかでも注目されるのが、夜の肌回復に着目した“イモーテル オーバーナイトリセットセラム(30ml ¥9,790)”と、心地よい眠りの空間を演出する“プロヴァンスアロマ ピローミスト(リラックス)(100ml ¥4,180)”。前者は南仏コルシカ産イモーテルのエッセンシャルオイルを配合し、眠っている間に肌のストレス*をケア。後者はラベンダーやゼラニウムなどの精油が、穏やかな深呼吸を誘う。
これらの製品と繊細な手技を用いた、特別なトリートメント「SLEEP&RESET」が「ロクシタン アン プロヴァンス スパ」の人気メニュー。疲労感を抑え、深い睡眠をテーマにしたこのトリートメントでは、香りによる導入、頭部から全身への包み込むようなトリートメント、意識が静かに沈み込み、心と身体が“リセット”されていく感覚を体験できる。
施術後は、薬草学にインスピレーションを得たハーブティーを味わいながら、静かなリラクゼーションルームで余韻を楽しむひとときを。スパ施設内には、屋外・屋内プール、ジャグジー、サウナも完備。そこに広がるのは、単なる癒やしを超えた、“再生”という名の贅沢な時間。
*乾燥による
触れて、味わって、香る——五感で満たすウェルビーイングの時間
自然の静寂に包まれた空間は、まるで時がゆっくり流れるよう。澄んだ空気、さわやかな風、そして豊かな植物の香りが訪れる者を迎え入れる。
館内のレストランでは、地元の旬の食材をふんだんに使ったプロヴァンス料理が提供され、味覚からも土地の恵みを感じられる。食事は心身の調和を促す大切な時間だ。
滞在中は、豊かな自然と深く呼応するヨガセッションに参加することも可能。風が葉を揺らす音に耳を澄ませ、深い呼吸に意識を向けながら、ゆったりとした動きの中で心身がひとつに溶けていく。自然のリズムに寄り添うようなこの時間は、日常では得難い静けさと再生の感覚をもたらしてくれる。また、「ロクシタン」が誇る厳選されたスキンケア製品を手に取れるのもこの滞在の魅力のひとつ。自然由来の成分と洗練された香りが美しく調和し、自宅でもこの場所の余韻を感じられるのが嬉しい。
ホテルに滞在したカミーユは、「自然の静けさに包まれて、心の奥までほどけていく感覚を味わえた」と話す。「バスタイムのお供は、オイルからミルクへ、肌の上で心地よく変化するユニークなテクスチャーの“アーモンド モイスチャライジング シャワーオイル(250ml ¥3,960)”を愛用中。また、日常から旅先で、“シア ハンドクリーム(150ml ¥4,070)”は年中欠かせないアイテムです。このホテルでは、食から香り、触れるものすべてが丁寧に選ばれていて、五感が満たされていくのがわかる」と、自然と笑顔がこぼれた。 「ル クヴォン デ ミニム」には、五感を通じて自然と自分自身を結び直す特別な場所。香り、手触り、静けさ、そして深い呼吸——そのすべてが調和する、ウェルビーイング体験がここにはある。
オート・プロヴァンスが教える、心身を整える豊かさの本質
オート・プロヴァンスの地がもたらすのは、従来の癒やしや快適さにとどまらない、心と体の奥深くへと届く真のウェルビーイング。1976年、この地に誕生した「ロクシタン」は、自然のリズムに耳を澄ませ、土地に息づく知恵とともに、人と自然が調和する関係を丁寧に育んできた。そしてその精神は、いまもなお誠実に、現代へと受け継がれている。華美な装飾や過剰な演出に頼ることなく、上質なそこにしかない要素だけを静かに際立たせるその姿勢は、自然の静けさや風景の繊細な陰影のようにそっと感性の奥へと響いてくる。本質的な豊かさとは、与えられるものではなく、自らの感覚を研ぎ澄まし、自然とともに暮らす日々のなかでゆっくりと育まれていくものなのだと、私たちに教えてくれるよう。
「この贅沢なウェルビーイング体験で、心身ともに深く解放された気持ち。忙しい都会での暮らしでは、つい忘れてしまうような感覚を思い出させてくれた」と締めくくったカミーユは、軽い足取りでパリへの帰路についた。オート・プロヴァンスの光と風、香りと静寂に包まれたこの場所が語りかけるのは、心身がゆるやかにほどけ、澄み渡るようなひとときの尊さ。そして、それこそが、いまを生きる私たちに必要な、真のウェルビーイングのかたちなのかもしれない。
問い合わせ先
ロクシタンジャポン カスタマーサービス
0570-66-6940
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Photo:KATHRINE GULLA Text:ELIE INOUE Editor:ASAKO MATSUI