最近、日本のパン職人たちのあいだでも注目されている、ライ麦100%のパン「RUGBRØD(ロブロ)」。デンマーク語でライ麦を意味する「RUG(ロー)」と、パンを意味する「BRØD(ブロ)」をカタカナ読みした言葉だ。
ロブロは1000年以上も前から食べられている歴史あるパン。ライ麦はデンマークの気候と土壌で育つ貴重な穀物。ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、冬の長いデンマークでは、大切な栄養源として重宝されてきた。いまでもほとんどの家庭に常備されており、日本でいうところの“ごはん”のような存在になっている。
材料はいたってシンプル。ライ麦全粒粉、ライ麦を発酵させた発酵種であるライサワー種、塩、水のみ。粗めに挽いたライ麦全粒粉を使うことでザクッとした独特の食感に仕上がり、砕き麦や粒度の異なるライ麦、さらにはかぼちゃやひまわりの種をプラスして食感に楽しいアクセントを楽しめる。
ライ麦粉の配合バランスやトッピングによってシェフの個性が表れ、さまざまな味わいに変身。また、ライサワー種でじっくり発酵させることで、穀物の甘みとうま味が引き出され、かむむほどにじんわりとおいしさが広がる。
ライ麦100%と聞くと「酸っぱいのでは?」と思うかもしれないが、多くのロブロはやさしい酸味がほんのり感じられる程度。その酸味が、ハムやチーズなどの食材と合わせたときに、味をぐっと引き立ててくれる。
食べ方もむつかしく考える必要はなし! まずはデンマークを代表する“パンに具材をのせる”食べ方「スモーブロ」で味わってみよう。デンマークではランチの定番だが、最近ではレストランのディナーに登場することも。1cm厚さにスライスし、軽くトーストしてから、野菜、魚、肉、卵、チーズなどを自由にトッピング。ロブロはシンプルな味わいだからこそ、どんなジャンルの食材とも驚くほどよく合う。
デンマークでは、余ったロブロの活用法も豊富。細かく切ってクルトンにすれば、スープやサラダのアクセントに。そぼろ状にしてケーキの土台に使うこともあるなど、その応用範囲は実に多彩だ。
もしベーカリーで見かけたら、ぜひ一度手に取ってみて。バゲットやカンパーニュとはまた違った、新しいパンライフの扉が開けるはず。