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今行きたい、まるで本場な東京イタリアンの新名店7選【キーワード別・2023年】

本場さながらの空間で料理と酒を堪能

By , Naoko Monzen and Yuko Ehara
まるで本場なイタリアン 7軒
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郷土に根ざした伝統的なイタリア料理が世界中でブームだ。現地感漂う空間で、イタリア料理の神髄ともいえる、新鮮な食材や極上の調味料を生かした料理の数々を味わうのが今の気分。「空間」「シンプルな皿」「立ち飲み酒場」「郷土色」をキーワードに、今行きたいお店をご紹介。『エル・グルメ No.31』掲載。


Photos SATOSHI FUKUDA(Cosi Com'e, WINEMAN STORE, Trattoria Pietra Bianca, anikò), SHINTARO OKI(nerisa, Bricca), Text NAOKO MONZEN(Cosi Com'e, Trattoria Pietra Bianca, anikò), YUKO EHARA(nerisa ,Bricca)

キーワード1【現地感たっぷりな空間】

まるで本場なイタリアン 7軒
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イタリアを思わせる空間や、ディテールにこだわった家具やインテリアは、旅しているかのような気分を高めてくれる。

本場さながらの雰囲気の中で郷土料理とスイーツを堪能

まるで本場なイタリアン 7軒
Satoshi Fukuda

1500(ミレチンクエチェント) @代々木八幡

1階がイタリアンバールとパスティッチェリア、2・3階はトラットリアと、朝食からカフェ、ディナーまで楽しめる店として4月のオープン以来、大人気。気軽にワインと前菜でバールとしても利用可。

「アルル」や「ヨヨナム」など数々の人気レストランを営むオーナーのヤマモトタロヲさんが、「イタリアを感じさせる店を」と、フィレンツェ滞在中に通ったトラットリアをイメージして空間を再現。1階の重厚なウッドカウンターや、2階のシャンデリアに赤のソファ、イタリアを題材にした絵画や工芸品、ゴブラン織りのタペストリーが、イタリアの老舗のような雰囲気を醸し出している。

メニューも現地に忠実な郷土料理が中心で、「なすのカポナータ」や「ランプレドット(フィレンツ名物のもつ煮)」といったものや、肉や野菜の炭火焼きが中心。パティシエの磯尾直寿さんが作る絶品スイーツも必食だ。

写真手前が「ブラッティーナとシャインマスカットのカプレーゼ」(¥1,800、季節によってフルーツは変更)、奥が「青のりのゼッポリーニ」(¥650)。また、生地に染み込ませたラム酒と生クリームが相性抜群な、ナポリ名物「ババ」(¥600)などのスイーツも楽しめる。

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まるで本場なイタリアン 7軒
Satoshi Fukuda

写真は、階段を上がって2階の左側にあるトラットリアスペース。重厚でクラシックな雰囲気。1階にはバーカウンターもあり、エスプレッソやイタリア菓子はもちろん、ワインやスピリッツなども一日中楽しめる。
 


1500
東京都渋谷区元代々木町4-2
tel. 03-5738-8821
営業時間/9:00~23:00
定休日/月曜、火曜 不定休
インスタグラム/@1500_millecinquecento

キーワード2【旬の食材を食べるシンプルな皿】

まるで本場なイタリアン 7軒
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旬の新鮮な素材の魅力をシンプルな調理法で生かし、出来たてを皿へ。最高の食べ方がここにある。生のマッシュルームにトリュフをたっぷり!

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志ある生産者をリスペクトし、旬産旬消でゲストをもてなす

まるで本場なイタリアン 7軒
Shintaro Oki

nerisa(ネリザ) @西小山

都内のイタリア人シェフの店でキャリアをスタートし、トリノの一つ星リストランテで腕を磨きながら各地を食べ歩き、郷土料理を学んだオーナーシェフの田中隆照さん。帰国後は学芸大学「リ・カーリカ」の立ち上げより参画し、2021年12月に満を持して独立。

「素材を楽しんでもらうため極力シンプルに調理し、ほんの少しだけ個性を加えたい」と、メニューはその日の旬の食材ありきで決定。修行先のピエモンテ州の料理をベースに、確かな知見と技術でレシピを構築し、さまざまな料理を提供する。

有機農業が盛んな埼玉・小川町出身で、ワインは自然派、食材は小川町産の有機野菜や埼玉産のサステナブルな環境で育った畜産物などを積極的に採用。伊のたたずまいに和の食材なども忍ばせ、食べた人をさりげなくとりこにする魔法をかける。

写真はピエモンテ名物「ヴィテッロトンナート(仔牛のロースハムとツナソース)」(¥2,000)。うま味の強いツナソースと仔牛のハムがベストマッチ。郷土料理に寄り添うイタリアワインと共に。その他、卵液となすを蒸しあげたイタリア版茶碗蒸し「牛若丸なすのスフォルマート」(¥600)や、幸手市の浜田商店の合鴨と自家製卵麺を使った「合鴨のラグーのタヤリン」(¥2,000)など。

まるで本場なイタリアン 7軒
Shintaro Oki

キッチンに望むカウンター。
 


nerisa
東京都品川区小山6-7-6
tel. 03-6770-6348
営業時間/17:00〜23:00(22:00L.O.)
定休日/日曜、不定休
インスタグラム/@nerisa_nishikoyama

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豊富なメニューに目移り必至! ワインが進むパンチのきいた料理

まるで本場なイタリアン 7軒
Satoshi Fukuda

Cosi Com'e(コジコメ) @三軒茶屋

1日2ページ分、ノートの見開きにぎっしり手書きする日替わりのメニュー。おまかせコース(¥7,150)も用意しているが、「コジコメ」の真骨頂はアラカルト。3年前のオープン時は十数品程度だったのが、「あれこれ迷って、選ぶ楽しさを味わってほしい」とじわじわメニューが増え、現在は約3倍に。

ひとりカウンターで腕を振るうのは、南麻布「カーザヴィニタリア」、広尾「ボッテガ」と人気イタリアンを経て独立した井村俊介さん。イタリア語で「ありのまま、そのまま」という店名のとおり、気の向くまま、その日作りたい料理を提供する。

メニューに並ぶのはカルパッチョや煮込み、手打ちを含むパスタなど、旬の食材1、2種類を主役にしたシンプルで力強い料理の数々。いずれも食材の魅力が際立つパンチのきいた味わいで、ワインが進むこと請け合いだ。

写真左は、生のマッシュルームにトリュフをたっぷりとかけた「トリュフとマッシュルームのサラダ」(¥3,080)、右がうま味を吸ったじゃがいもがたまらない「ギアラの肉じゃが」(¥2,200)。他には、かつおの滋味に赤玉ねぎの甘酸っぱさが絡む「漬けカツオのカルパッチョと赤玉ねぎのアグロドルチェ」(¥2,090)などがある。

まるで本場なイタリアン 7軒
Satoshi Fukuda

テーブル席もあるが、ライブ感あふれるカウンターがおすすめ。井村シェフが「飲み疲れない」を基準に選んだナチュラルワインが並ぶ。グラスワイン(¥1,100〜)は8、9種類を用意。
 


Cosi Com'e
東京都世田谷区下馬2-14-18
tel. 03-6318-6402
営業時間/17:00〜23:00(21:00L.O.)
定休日/日曜、不定休
インスタグラム/@cosicome_

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キーワード3【アテが評判の立ち飲み酒場】

まるで本場なイタリアン 7軒
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厳選されたワインとそれに寄り添う絶品つまみをそろえた使い勝手のいい酒場は、いつだって老若男女でにぎわっている。

出来たての“がぶのみ”ワインと素材が生きたつまみを合わせて

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Satoshi Fukuda

WINEMAN STORE(ワインマンストア) @田町

目黒の人気イタリアン「アンティカブラチェリアベッリターリア」とワインショップ「ワインマンストア」が昨年5月に田町に移転し、ワイン醸造所と酒場を新設。2階の角打ち酒場では、今年仕込んだばかりの自家醸造ワインがタップで飲め、1階のレストランで作られる絶品つまみが堪能できる。

「イタリアでは熟成の浅いフレッシュなワインをデイリーワインとして飲むので、それを再現したかった」とオーナーシェフの井上裕一さん。ワインショップ併設なので、ワインは約500種類から選びたい放題だ。

メニューは、「ラディッキオのサラダ」や新鮮な魚介類の「鮮魚のカルパッチョ」など旬の食材を使った日替わりで、パスタも数種類用意。

写真手前は、名物の「尾崎牛のハラミの炭火焼」(100g¥2,500)。サルサヴェルデとともに。100gから好みの量をオーダーできるのがうれしい。奥はフリウリの郷土料理「トック・イン・ブライデ」(¥1,200)。ポレンタの代わりにさつまいもを使い、フォンドゥータチーズをたっぷりと。

他にも、サルデーニャ島のまぐろのカラスミを使った前菜のアレンジ「トマトと西伊豆の潮かつお」(¥1,200)などの料理が揃う。

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まるで本場なイタリアン 7軒
Satoshi Fukuda

ワインショップに角打ちが併設されており、カウンター席とテーブル席で構成。1階には小さな醸造所もあり、デラウェア、スチューベンなどを使ったワインを醸造。タップワインはグラス¥1,000。できたばかりのワインは軽やかで飲みやすい!
 


WINEMAN STORE
東京都港区芝5-20-22 2F
tel. 080-7373-4141
営業時間/火~金曜14:00~1Fレストランの営業時間による、土曜・祝日11:30~1Fレストランの営業時間による、日曜11:30~18:00
定休日/月曜
インスタグラム/@wine_man_store

食べて飲んで会話も弾む、活気あふれるバルスタイルに進化

まるで本場なイタリアン 7軒
Shintaro Oki

Bricca(ブリッカ) @三軒茶屋

2010年に三軒茶屋で開業以来、常に変化し、進化を続ける人気店「ブリッカ」。オーナーシェフの金田真芳さんが、もっと気軽に食べて飲める場所を作りたいと、2022年3月にスタンドを新設し、バル形態にアップデート。

ワインは自然派を中心に、約300種類のストックから毎日10銘柄程度を抜栓。料理はおひとりさまや0次会・2次会で利用しやすいようポーションを減らし、アラカルトでもコース仕立てでも楽しめるメニュー構成に。

生ハム、サルシッチャ、パスタ、パンなどあらゆるものを手作りするこだわりは変わらず、磨き上げてきたリストランテ仕込みの味を引き続き提供する。郷土料理をベースに多彩な技法、味わい、食感を盛り込んだ珠玉の皿の数々をぜひワインと楽しんで。

ソムリエの島袋寛紀さんが高コスパとたたえる「ボルガッタラ・ミッラ2015」(ボトル¥3,270)をはじめ、ワインはグラス¥715~。今の気分にぴったりなワインを選んでくれる。

写真上は「サバと里芋のテリーヌ」(¥990)と手前が出来たてふわふわ食感の「生シラスのオムレツ」(¥1,650)。また、自家ぶどう酵母で焼いたパンの「イチジクと自家製ハムのブルスケッタ」(¥700)も人気だ。

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まるで本場なイタリアン 7軒
Shintaro Oki

立ち飲みスペースが中心となり、楽しみ方の幅が広がった店内。
 


Bricca
東京都世田谷区三軒茶屋1-7-12
tel. 03-6322-0256
営業時間/18:00(土曜、祝日17:00)~23:30(23:00L.O.)
定休日/日曜、不定休
https://www.bricca.jp/

キーワード4【滋味豊かな郷土色】

まるで本場なイタリアン 7軒
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「イタリアにイタリア料理はない」というように、食文化が地域で異なるイタリア。郷土を感じさせる味わいに感激。

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プーリアの自然に思いをはせて新鮮な産直食材をシンプルに味わう

まるで本場なイタリアン 7軒
Satoshi Fukuda

Trattoria Pietra Bianca(トラットリア ピエトラ ビアンカ) @麹町

麹町の人気イタリアン「イル ルオーゴ」が移転してスタイルを一新。イタリア半島の“かかと”の部分に位置するプーリアにフォーカスしたレストランへと生まれ変わった。

前店からシェフを務めていた本間道夫さんがオープン前にイタリアを周遊して、もっとも強く引かれたのがプーリア。「海と山があり、自然と食材が豊か。ヨーロッパでは珍しく魚介類を生食するなど、日本と似た点もある。もともと南イタリアの料理が好きでしたが、改めて性に合うと実感しました」と、帰国後はプーリアを中心とした南イタリアの郷土料理に特化することを決意。

千葉の「キレド」など熱意ある農家から届く旬の野菜、豊洲と三重県の尾鷲港から仕入れる新鮮な魚介を生かし、手をかけすぎずシンプルに仕上げる。約70種そろうプーリアのワインとともに、旅気分を楽しもう。

写真手前は「豊洲やま幸の本マグロのカルパッチョ」(¥2,200)、奥が「有機野菜とそら豆のピューレ」(¥1,870)。プーリア名物の手打ちパスタ、オレキエッテは通年で提供するほか、プーリア発祥のストリートフード、肉巻きをメイン料理にアレンジした「ボンベッテ」(¥2,750)など多様なメニューが揃う。

まるで本場なイタリアン 7軒
Satoshi Fukuda

アーチが目を引く内装は、世界遺産の住宅群がある街・アルベロベッロやマテーラの洞窟住居など南イタリアの街並みや建築をイメージ。
 


Trattoria Pietra Bianca
東京都千代田区六番町3-1 玉柳ビル2F
tel. 03-6261-4568
営業時間/11:00~15:00(14:30L.O.)、17:00~23:00(22:00L.O.)
定休日/月曜(祝日の場合は営業、翌日休み)https://www.pietrabianca.jp/

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南北の食文化が融合するマルケの料理を緻密に表現

まるで本場なイタリアン 7軒
Satoshi Fukuda

anikò(アニコ)

イタリア中部に位置するマルケ。東のアドリア海では新鮮な魚介が獲れる一方、アペニン山脈を擁する西の内陸部ではジビエが楽しめたり豚や牛が飼育されていたりと、食材が豊かな州だ。

現地で10年修業した井関誠さんは、ピエモンテとトスカーナを経てたどり着いたマルケで郷土料理に開眼。「北と南の料理の長所がそろっており、伝統的な食文化も息づいている。地味で重たいとされがちな郷土料理に彩りや軽やかさがあるのも魅力」。

井関さんはマルケの二つ星レストランでメイン料理のシェフを務めたのち帰国、マルケの魅力を伝えるべく「アニコ」をオープン。素朴な料理に見えて、食べると緻密で凝縮感のある味わいに驚くはずだ。旬の食材と星付きの名店仕込みの技術で郷土料理を美食へと昇華する、貴重な一軒。

写真左は牛、豚、鴨、鶏もつを合わせたミートソースやペコリーノを自家製パスタに挟んだマルケ風ラザニア「ヴィンチスグラッシ」(¥2,300)。右はオリーブに牛もも肉ベースのフィリングをぎっしり詰めた「オリーブの肉詰めフリット」とカスタードクリームがとろりと溶け出す「クレマフリッタ」の盛り合わせ(¥1,500/写真は2人分)。他にも、パン粉をふった魚介串を炭火窯で焼き、しっかりうま味を閉じ込めた「ヤリイカと海老のスコッタディート」(¥2,800)など、絶対に注文したい名物料理が揃う。

まるで本場なイタリアン 7軒
Satoshi Fukuda

アンティークの家具を生かした温かみのある空間。
 


anikò
東京都港区赤坂6-3-8 高松ビルB1
tel. 03-6230-9172
定休日/月~木曜17:30~24:00(23:00L.O.)、金~土曜、祝日11:30~15:00(14:00L.O.)、金曜17:00~24:00(23:00L.O.)、土曜、祝日17:30~23:00(22:00L.O.)
定休日/日曜
https://www.aniko-akasaka.com/

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