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亜鉛は風邪に効く? 専門家が説明

スーパーサプリが回復を早めてくれるかもしれない

By
sick young woman, taking a flu pill, lying on the couch
Guillermo Spelucin//Getty Images

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。>>『Prevention』のオリジナル記事はこちら
 
風邪やインフルエンザがピークを迎えるこの季節。万が一風邪を引いてしまったら、何よりも優先したいのが早期回復。すぐに病気が治るかは分からないけれど、トライできる自然療法は数多く存在している。ネットで風邪を素早く治す方法を検索すると、亜鉛の摂取量を増やすという方法に出会うかもしれない。ただし、ここで事実を整理しよう。亜鉛は本当に風邪に効くの?
 
体調が悪い時は、言うまでもなく水分補給、休息、忍耐強さが必要になるけれど、もし早く “良くなる” ビタミンがあるとしたら? 亜鉛の摂取量を増やすと、実際に回復時間を短縮できるもの? 今回は、本当に亜鉛が通常の処方よりも早く風邪を治すのに役立つかどうか、専門家が解説してくれた。

亜鉛は風邪に効く?

zinc pills
eyenigelen//Getty Images

簡単に言うと答えはイエスです、と話すのは、家庭医学認定オステオパシー医であるジョセフ・マーコラ医学博士。「医師として、亜鉛の有効性を示す研究には驚きを受けました」
注目に値する2017年のメタ分析では、症状の始まりに亜鉛サプリを摂取すると、風邪の期間が33%短縮できることが実証されています、と博士は指摘する。「これは、生薬に携わる多くの人が臨床的に観察してきたことを裏付ける、非常に重要な発見です」
 
世間で思われていることとは反対に、亜鉛は風邪を予防するものではなく、風邪にかかる期間の短縮と重症度の軽減に役立つ可能性があります、と話すのは、「アカデミー・オブ・ニュートリション・アンド・ダイエティクス」の米メディア広報担当および『プリベンション』の医療審査委員を務める登録栄養士のメリッサ・プレストさん。「ポイントは、風邪の症状が出てから24時間以内に亜鉛サプリを摂取することです」風邪の発症から24時間以降に亜鉛サプリを摂取した場合、どの程度効果があるかはあまりよく分かっていません、と彼女は説明する。

亜鉛は風邪にどのように効く?

sick woman blowing nose in facial tissue at home
Westend61//Getty Images

さまざまな免疫細胞や免疫反応の成長と機能に関係する亜鉛は、免疫システムのサポートに不可欠です、と話すプレストさん。したがって、亜鉛が欠乏している人は感染症と闘う能力が低下する傾向があります、と彼女は述べている。
 
ウイルス感染と闘う場合、亜鉛はさまざまなメカニズムを通じて作用します、と語るマーコラ博士。「亜鉛はウイルスが細胞内に侵入して複製するのを防ぎ、免疫細胞の発達と機能を助けます」さらに亜鉛は、呼吸器系にある小さな毛のような構造(繊毛)の機能を向上し、粘液の除去を助けるだけでなく、気道上皮バリアを強化して、吸入した病原体や有毒粒子から体を守ります、とマーコラ博士は説明する。

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風邪に効果的な亜鉛の摂取方法

row of cough drops against a soft orange background
Grace Cary//Getty Images

どのような製剤を試すべきかについて、「プラッシュケア」の家庭医であるスティーブン・ヴォーゲル医学博士は、錠剤またはトローチを勧めている。「これらがもっとも安全な選択肢でしょう。なぜなら、鼻スプレーや綿棒は、嗅覚もしくは味覚喪失の可能性が示されており、一部の患者において、ときにはそれが永久に続く場合もあるからです」と彼は説明する。
 
酢酸亜鉛とグルコン酸亜鉛を含む亜鉛トローチは、もっとも効果が高い傾向があります、と話すプレストさん。「亜鉛トローチは簡単に溶けるため、亜鉛を体内で吸収しやすく、免疫システムで利用されやすくします」
 
風邪のときはどれくらい亜鉛を摂取すべき?
風邪で亜鉛を服用する場合、決められた用量はありませんが、50~180mgを1~2週間ほど摂取することは一般的に容認されています、とプレストさんは続ける。「ある研究は、風邪に対する最適な亜鉛の摂取量は一日75mg以上である、と提案しています」とはいえ、男性は11mg、女性は8mgという一日の推奨摂取量を超えて、高用量の亜鉛を長期間摂取すると、銅欠乏症になつながる恐れがあるため、高用量のサプリは短期間使用するのがいいでしょう、とプレストさんは述べている。
 
マーコラ博士は、最初の風邪の症状が現れた際に80〜90mgの亜鉛を摂取するよう勧めているけれど、これは病気中の短期専用の量だと述べている。「毎日のサプリとして摂取する場合、医療従事者から指示がない限り、一日あたり15mgを超えない程度のより低用量を勧めています。そのほかのミネラルと、とくに銅と適切なバランスを保つことが重要です」と彼は述べる。

亜鉛の副作用

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eclipse_images//Getty Images

亜鉛のトローチや点鼻薬を服用している人のなかには、味覚の変化、嗅覚の喪失、吐き気などの症状を訴える人もいますが、短期間の使用であれば、ほとんどの人は耐性があるでしょう、と話すプレストさん。
 
亜鉛の摂取量を増やすことで起こるもっとも一般的な副作用は、吐き気、下痢、嘔吐などです、とヴォーゲル博士は話す。「一部の人には、低用量でもこれらの副作用が起きますが、まったく問題ない人もいます」そのほかの副作用としては、味覚や嗅覚の喪失、眠気、頭痛などがあります、と彼は補足する。「一般的に、一日の摂取量が100mgを超えると、風邪の期間を短縮する特別な効果を受けることなく、副作用のリスクが大幅に高まります」とヴォーゲル博士は述べる。
  
亜鉛を過剰に摂取すると、銅欠乏症になるリスクがあります、と話すマーコラ博士。「一日に150~300mgの亜鉛を摂取すると、むしろ免疫機能が低下する恐れがあります。一日60mgでも、重要な抗酸化酵素に影響を及ぼす可能性があります」亜鉛対銅の比率を2:1~15:1の適切な範囲内に保つことが重要です、と彼は説明する。「亜鉛の摂取は一日150mg以下に抑え、食品から十分な銅を摂取するよう心掛けください」とマーコラ博士はアドバイス。
 
風邪のとき亜鉛を摂取してはいけない人は?
銅欠乏症の人は、亜鉛は注意して摂取しましょう、と語るヴォーゲル博士。「これは、亜鉛が銅欠乏症を悪化させる危険性があるためです」
 
さらにマーコラ博士は、銅の代謝に問題がある人や、亜鉛と相互作用する可能性のある薬を服用している人も注意するようにアドバイスしている。「くわえて、すでに亜鉛を含むそのほかのサプリやマルチビタミンを服用している場合は、過剰摂取を避けるために、その量も含めて一日の総摂取量を考える必要があります」とマーコラ博士は指摘する。

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亜鉛が豊富な食品

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HUIZENG HU//Getty Images

人体で2番目に多い微量ミネラルの亜鉛ですが、体内にほとんど蓄えられないので、体に必要な量を満たすには、亜鉛を含む食品を毎日摂取する必要があります、と話すマーコラ博士。
 
動物性たんぱく質は亜鉛を多く含む傾向があり、「たとえば、蒸した牡蠣6個には50mgほど、85gのグリルステーキには6mgほどの亜鉛が含まれています」とプレストさんは話す。植物性たんぱく質にも亜鉛が含まれていますが、全粒穀物や豆に含まれるフィチン酸や食物繊維が亜鉛の吸収能力を制限する可能性があることに留意しましょう、と指摘するプレストさん。そのため、ベジタリアンの食事では、低用量の亜鉛サプリメントを摂取するか、亜鉛を含む大豆のような植物源を重視するといいかもしれません、とヴォーゲル博士は述べている。
 
マーコラ博士によると、優れた亜鉛の供給源は以下の通り。
・牡蠣
・アラスカ産タラバガニ
・牧草飼育の牛肉
・ラム肉
・放し飼いされた鶏の肉
・スイスチーズとチェダーチーズ
・ヨーグルト
・マッシュルーム

まとめ

depression and frustration at home young shivering woman drink hot tea, looking out the window, wrapped in a blanket in cold apartment
Olga Rolenko//Getty Images

体調が悪くなり始めたら、亜鉛を少し多めに摂ることで、風邪にかかる期間の短縮と重症度の軽減に大きな効果が期待できる。プレストさんが話していた通り、「ポイントは、風邪の症状が出てから24時間以内に亜鉛サプリを摂取する」ことだそう。トローチを舐めるにしても、夕食に牡蠣を食べるにしても、体調の悪化を感じたらすぐに亜鉛の摂取を増やすことで、あっという間に回復に向かうかもしれない。


translation : Mutsumi Matsunobu cooperation : Yumi Kawamura photo : Getty Images

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Granger Wootz//Getty Images
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