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米の種類と特徴、適した料理を農家が解説

料理によって適切に使い分けよう

By
a group of different types of food
Alison Dominguez

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。>>『delish』のオリジナル記事はこちら
 
米は世界でもっとも親しまれている穀物。どこへ行っても、この万能食材を使ったその地域特有の料理を見つけることができる。クリーミーなリゾット、風味豊かなビリヤニ、長く食べられている寿司飯など、米には数え切れないほどの食べ方がある。
 
長い歴史のなかでさまざまな種類の米が複数の大陸で栽培されてきたけれど、現在購入できる米の大部分は、もともとアジアで栽培されていたアジアイネという品種から作られている。
 
アジアイネには、独自の見た目、風味、特徴をもつ無数の亜種が存在する。それぞれの種類によって明確な違いがあるため、何にでも合う米は存在しない。つまり、レシピで指定されている米の種類を、安易に別の種類に置き換えるべきではないという。
 
そこで、カリフォルニア州リッチベールの農家「ランドバーグ・ファミリー・ファームズ」の4代目であるブリタ・ランドバーグさんに、主要な米の種類について解説してもらった。今後は米を調理する際に、料理に合わせて適切な種類の米を選ぶことができるはず。

長粒米

long grain brown rice texture and pattern background
Pakin Songmor//Getty Images

長粒種に分類される米は、粒の長さが幅の4~5倍ほどある。でんぷんの含有量は亜種によって異なるいっぽうで、長粒種の米には一般的にアミロースが豊富に含まれる。そのため、炊いたお米はより軽くふっくらとしていて、粒がはっきりしている。
 
長粒種の米は、ピラフやチャーハン、メキシカンライスを作るのにぴったり。けれど、亜種それぞれに独特の風味がある。「ジャスミン米はバターのような風味と軽い花の香りで知られ、バスマティ米はナッツのような香ばしさとポップコーンのような香りがします」とランドバーグさんは話す。

短粒米

rice grains
Fernando Trabanco Fotografía//Getty Images

短粒米は、その名の通り粒の長さが幅よりわずかに長いことで定義される。また、あらゆる米のなかで、アミロペクチン(炊くと粘り気が出るでんぷんの一種)の濃度がもっとも高い。炊いた米は粒同士がくっつきやすいので、箸で食べやすく、ある程度のまとまりが必要な料理に使われる。
 
「経験則的に、米粒の長さと食感は関連しています。短粒米は、調理すると米同士がくっつきやすくなる傾向があります」とランドバーグさん。「これにより、短粒米は寿司やライスプディングのように、粘り気やクリーミーな食感が求められる料理に適しています」
 
しかし、程よい粘り気とベトベトの粘着質の間には微妙な境界線がある。多くの料理で、仕上がりの食感を良くするために、米を炊く前に洗う、またはすすいで、外側に残ったでんぷん質を取り除くことを推奨している。ちなみに、もっとも一般的な短粒米は日本の寿司米。

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中粒米

rice background
hh5800//Getty Images

中粒米は汎用性が高く、さまざまな使い方かができる穀物の一つ。粒の長さは幅のおよそ2~3倍。長粒米よりも多くの水分を含むいっぽうで、でんぷん質や粘り気は短粒米より少ない。
 
アルボリオ米やカルナローリ米などのイタリア産中粒米は、クリーミーで深みのあるリゾットに昔から使われている。スペイン産ボンバ米のマイルドなでんぷん質は、パエリア鍋の底にカリカリのおこげを作る鍵となる。けれど、より一般的に、中粒米は世界中の料理で万能米として重宝されている。中粒米の調理方法は料理や必要なでんぷん量によって異なる。



玄米

long grain brown rice texture and pattern background
Pakin Songmor//Getty Images

玄米は特定の亜種ではない。むしろ、あらゆる種類の米を加工する方法の一つ。より専門的に言うなら、玄米は白米よりもより少ない加工を要する全粒穀物である。
 
「実際のところ、すべての米はもともと茶色か黒、または赤色をしています。白米が白いのは精米によるものです」とランドバーグさんは話す。「玄米は精米される際、殻だけが取り除かれ、栄養豊富な胚芽と糠がそのまま残ります。玄米が『全粒穀物』と呼ばれるのは、そのためです」
 
玄米の胚芽と糠には、満腹感を長続きさせる微量栄養素と食物繊維が豊富に含まれている。また、炊いた米ではナッツのような香ばしさが味わえる。
 
さらなる加工で外側の糠、胚芽、胚乳が取り除かれると、白米として知られる精白された穀粒が残る。玄米を選ぶと栄養価は少しだけ白米より高くなるけれど、調理に時間がかかるという大きな欠点がある。
 
平均して、玄米を炊くには白米のほぼ2倍の時間がかかるうえ、より多くの水の量が必要となる。玄米だけを炊くのであればタイミングと水の比率を簡単に調整できるが、より複雑な料理で玄米を白米の代用として使用する場合は、うまく炊くのが難しくなる。

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黒米

black rice
jiangjunyan//Getty Images

「禁断の米」とも呼ばれる黒米が濃い色をしているのは、アントシアニンが含まれているため。この抗酸化物質はブラックベリーやブルーベリーに含まれる化合物と同じもので、体の炎症や心血管疾患の予防効果があると考えられている。とはいえ黒米は、炊くことで色が黒から明るい紫に変化する。
 
玄米と同様に、黒米は未精製であり、胚芽、糠、胚乳が残っている。つまり、完全に調理するには、より多くの水と時間を必要とする。しかし、そのナッツのような香ばしさと噛み応えのある食感は、穀物ボウルや彩りを追加したいあらゆる料理のベースに最適だ。
 
「ランドバーグ・ファミリー・ファームズ」 では、短粒でまろやかな味わいをもつ、ビーズのような独自のオーガニック・ブラック・パールライスを栽培している。

もち米

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banjongseal324//Getty Images

もち米は、アミロペクチンの濃度が高い(けれどグルテンフリーな)短粒米のジャポニカ種。この種類の米は炊くことでより多くのでんぷんが放出され、粘り気のあるもちもちとした食感になる。ほかの種類の米では炊くのに失敗したように見えるかもしれないけれど、もち米に限ってはこれは成功と言える。
 
アメリカの大手スーパーでは、もち米の袋を見かけることはほとんどない。もち米を使った一般的な調理はさまざまなアジア料理で見られるので、アジア系スーパーを探すと見つけることができる。
 
中国の点心であるローマイガイ(糯米鶏)は、もち米に鶏肉などの具を詰めて、蓮の葉で包んで蒸しあげた中国風のチマキ。さらにタイ北部やラオスでは、もち米を炙り挽いて粉にしたものがキッチンの定番アイテムとなっている。とはいえ、もち米は甘い料理に使われるのがより一般的。
 
ほかの種類の米に比べて炊くのに時間と労力がかかるもち米は、米粒を水に浸すのに十分な時間を確保するためにも十分な計画性が必要となる。

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ワイルドライス

wild rice
v777999//Getty Images

ワイルドライスは厳密には米ではなく、北米原産の水生草であり、遺伝的には小麦に近い。ランドバーグさんは、ワイルドライスの特徴を「しっかりと歯応えのある食感と、焼いたナッツやドライフルーツのような豊かな香ばしさ」と表現している。
 
ワイルドライスは何世紀も前からアメリカ先住民の料理に欠かせない食材だが、現在スーパーで売られているワイルドライスのほとんどがまったく野生ではない。1960年代にミネソタ大学がこの穀物を栽培化して、商業規模で栽培できるようにしたという。パディライスとも呼ばれるこの品種は、より均一な風味と深い光沢のある黒色が特徴。
 
真のワイルドライスを収穫する伝統は、いまもアメリカ先住民の収穫者(おもに五大湖地域)によって残されている。野生のワイルドライスは、商業的に栽培された代替品種より見た目も風味も多種多様だが、通常は光沢のない茶色をしている。先祖伝来のこれらの作物は、すべて手作業で収穫されたあと、焙煎(日干し)してから、箕を使って殻が取り除かれる。
 
オジブウェー語(五大湖周辺のチペワ族により話されている言語)でマヌーミンと呼ばれる真のワイルドライスは、加工するのに多くの労力と技術が必要なため高価だそう。けれど、特徴的な味を持つだけでなく、先住民の食文化を支援するいい方法でもあることから、探し求めてみるだけの価値はありそう


translation : Mutsumi Matsunobu cooperation : Yumi Kawamura photo : Getty Images

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