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運動する健康志向の人へ! ヘルシーな食事に関する迷信8

間違った健康のガイドラインとその呪縛から抜け出す方法とは

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human hands slicing tomatoes over a wooden table for a vegan meal
Wesley Soares Ferracini//Getty Images

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。>>『ランナーズ・ワールド』のオリジナル記事はこちら
 
私たちの指先にある端末は栄養に関する情報が溢れていて、事実と嘘の違いを見分けるのがとても難しい。断続的断食、ケト、低糖質、糖質制限、グルテンフリー、ヴィーガンダイエットなどがブームになっているけれど、それらが必ずしも自分に適しているとは限らない。
 
活動的な人はあまり活動しない人に比べ異なる栄養ニーズがあり、それぞれに合ったアプローチが必要となる。「ランナーはとくに特別です」と話すのは持久系アスリート専門の管理栄養士であるアレックス・ラーソンさん。週のほとんどをランニング、筋力トレーニング、クロストレーニングに費やすランナーは、より高い運動レベルをサポートする栄養の補給が必要となる。
 
「ランニングでも筋力トレーニングでも、ランナーの運動量は非常に多いので、より多くの栄養が必要です。そのため、よく言われる『ヘルシーな食事』や食べ方の推奨事項はランナーには当てはまりません」とラーソンさん。「活動的な人と活動的でない人が一緒に過ごすことも多いため、他人が何を食べているのか比較してしまいますが、そのような比較はやめるべきでしょう」
 
どの食事アドバイスに従うかを判断するために、一般的な栄養ガイドラインの多くが活動的な人にとって逆効果である理由を理解するのは重要なこと。日々の食事について、迷信と事実を明確にするために栄養士に話を聞いてみた。

迷信1:ヘルシーな食事=クリーンな食事

young woman making detox smoothie at home woman pouring smoothie to glass healthy food concept
Kseniya Ovchinnikova//Getty Images

「よく運動をする人が『クリーンな食事をしています』と言ったら、ほとんどの場合十分な食事を摂っていないことを意味します」と話すラーソンさん。栄養価の高い食べ物をそれなりに食べているであろういっぽうで、彼らの食事の選択は通常激しいトレーニングをサポートできるだけの十分なカロリーが足りていません、と彼女は説明する。これは、ビタミンやミネラルは豊富でもカロリーはそれほど多くない葉物野菜のサラダといったものを食べていることが多いのが原因だそう。
 
さらに「クリーンな」食事には未加工の自然食品が多いため、食物繊維が豊富に含まれる場合が多い。けれど、その方向に偏りすぎた食事は膨満感を引き起こす恐れがある。「これは運動する人の生活スタイルに合いません」とラーソンさんは語る。
 
「自然食品と加工食品のバランスをとることが大切です」とラーソンさん。たとえば、ベリーとアーモンドをトッピングした全粒オーツ麦のボウルは栄養価の高い優れた朝食になりますが、量(腸内のかなりのスペースを占める)や食物繊維が多すぎると、運動前の胃にうまく収まらない。
 
オーツ麦は運動後の体力回復のおやつにとっておいて、ワークアウトの直前はグラハムクラッカーや「ポップタルト」を食べるのがベター。「これらは消化がとても早く、素早くエネルギー源となり、よりいい走りをサポートしてくれます」とラーソンさんは話す。「ポップタルトは不健康だと思われていますが、味が良くて、素早く食べれて、簡単に持ち運びできて、ランニング前のエネルギー源としてとても使い勝手がいいことから、多くのランナーが愛用しています」

迷信2:低糖質ダイエットをするべき

woman mixing delicious superfood salad ingredients with wooden spoons in kitchen
Kseniya Ovchinnikova//Getty Images

炭水化物を減らすべきという考えは、運動をする人にとってもっとも一般的で有害な迷信の一つ。炭水化物こそ、まさにランナーに必要なものです、とラーソンさんは話す。たとえカロリーを十分に摂取していても、炭水化物の摂取が不十分だとエネルギー不足になる恐れがある。炭水化物の摂取量を増やす必要があるサインとしては、モチベーションの欠如、ワークアウト中の倦怠感、パフォーマンスの停滞、スイーツへの欲求、原因不明の体重増加などが挙げられる。
 
残念なことに、多くのランナーがこれらの症状をトレーニングと食事制限をさらに強化する必要があるサインだと解釈してしまう。でも、これは誤り。「不十分な栄養に適応するために代謝が下がるため、体重が増加します」と説明するラーソンさん。エネルギーの供給不足が続くと、利用可能なエネルギーの不足(LEA)につながり、免疫力の低下、怪我、骨密度の低下、不安症、うつ病など、多くの健康上の問題を引き起こす恐れがある。

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迷信3:食べ物はいいか悪いかの二択

good food bad food
Peter Dazeley//Getty Images

鶏胸肉や野菜は「いい食べ物」で、パスタやデザートは「悪い食べ物」という考え方をする人は多い。食べ物をいい悪いの二択で考えるのが一般的だからといって、それが健全(または真実)というわけではない。「この考え方の大前提は、基本的に欠点のない優れた食べ物があるというものです。しかし私たちは、これが事実でないことを知っています」と語るのは、登録栄養士のクリスティナ・ジョンソンさん。
 
さらによくないのが、食べたものをベースに自分自身を判断する傾向があること。サラダを食べる私は「いい」私で、ブラウニーを選ぶ私は「悪い」私と考えてしまうと、摂食障害、LEA、およびこれらに関連するさまざまな問題へと発展する恐れがある。実のところ、ヘルシーな食事には全種類の食品を摂取できる余地があるのです、とジョンソンさんは説明する。

迷信4:誰もがヴィーガンになるべき

vegetarian bowl with avocado, pumpkin, lentil, pomegranate
Alexander Spatari//Getty Images

プラントベース食の支持者は、ヴィーガンの食事がもっともヘルシーな選択肢だと主張する。しかし、全員にとって完璧な食事は存在しないうえ、一部の食品群全体を避けることは健康上のリスクを伴う可能性がある。「肉、魚介類、乳製品など、主要な食品群を除外すると、いくつかの重要な栄養素も除外することになります」とラーソンさんは指摘する。
 
ヴィーガンやベジタリアンの人の多くは、ほかの食品の代わりにプラントベースの選択肢を優先することで、健康維持と最適なパフォーマンスに必要な微量栄養素の摂取が難しくなる。ラーソンさんによると、プラントベースの食生活を送る人が免疫の健康やエネルギーレベルに影響する鉄分やフェリチンが不足することは珍しいことではないという。さらに、ビタミンB12亜鉛カルシウムの値が低い場合もあり、骨や体全体の健康、運動能力が低下する恐れがある。
 
「プラントベースの食事を摂るのは良いことですが、微量栄養素の摂取に少し気を付ける必要があります。サプリが必要になるかもしれません」とラーソンさん。

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迷信5:絶食状態のワークアウトで健康と体力を最適化

woman working out with weights while exercising in home
Thomas Barwick//Getty Images

ほとんどの人にとって、朝のトレーニング前に朝食を食べないことは、メリットよりも危険性の方が大きい。体に蓄えられた脂肪を燃焼させることが目標でも、体が脂肪ではなく筋肉組織を分解する可能性のほうがはるかに高いです、とジョンソンさんは話す。これには骨格筋組織と心筋組織の両方が含まれており、短期的なパフォーマンスが低下するだけでなく、長期的にはオーバートレーニングの原因となる。
 
筋肉組織が分解され再び構築される際はトレーニングの適応現象が起こるいっぽうで、絶食状態で運動すると厳しい条件下で必要以上のことを体に強いることになります、とジョンソンさん。要するに、「しっかり燃料を補給すればよりいい走りができます」と彼女は続ける。

迷信6:間食は避けるべき

women push the donut plate that is a mixture of trans fat and choose to hold the apple don't eat junk food diet concept
boonchai wedmakawand//Getty Images

健康やウェルネスに関するひと昔前のアドバイスでは、間食は絶対に避けるべきだと言われる。けれど、運動量が多い場合(次のイベントに向けてトレーニングしている場合はとくに)、このアドバイスは役に立たないだけでなく、むしろ逆効果になってしまう恐れがある。「ランナーにとって、間食は一日に必要な栄養を補ういい機会です。なぜなら、たった3回の食事で十分な量の栄養を摂取するのは難しいからです」とラーソンさんは説明する。
 
たんぱく源、果物、野菜のいずれにしても、エネルギー、微量栄養素、多量栄養素のニーズを満たすのに間食は「非常に役に立ちます」とラーソンさん。間食は、一日を通してエネルギーの低下や過度の空腹を避けるという実用的なニーズのサポートもできる。たとえば、正午辺りで昼食をとって午後6時頃に夕食をとる場合、その間何も食べずに過ごすのは「長い時間です」と話すラーソンさん。この場合午後のおやつを食べると、お腹の空き過ぎによる夜の暴飲暴食を避けることができる。ラーソンさんによると、午後に間食するだけで回復を早められるという。
 
夕食後の間食について、有意義な例もある。「夜、特定の時間以降に食べるべきではないと考える人は多いですが、人間の体はある時間になったら電源が切れる機械とは違います」とジョンソンさんは語る。たとえば、午後6時に食事をし11時に就寝するとして、たとえ睡眠時間が6時間であっても、とくに起床後すぐに運動する場合エネルギーなしで過ごす時間が長くなる。「その点、就寝前の間食は体に必要なエネルギーを与えてくれるので、空腹で目覚めることはありません」とジョンソンさん。彼女は、エネルギーを補給し睡眠の質を高めるために、炭水化物、脂肪、たんぱく質を含む夜食を食べるよう提案している。

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迷信7:果物は糖分が多すぎる

fresh summer berry fruit colorful background
istetiana//Getty Images

近年の低糖質ブームの影響で、どうにかして砂糖を避けるべきだと信じている人は多い。これでは、果物に天然に含まれる糖分が入りこむ余地はほとんど残されない。とはいえジョンソンさんは、不要なものと一緒に大事なものを捨ててしまう前に、あらゆる形の砂糖を除外する風潮を見直すよう提案している。「果物に栄養が含まれることを忘れていませんか?」と彼女は疑問を投げかける。
 
果物は、抗酸化物質や植物性エストロゲン、抗炎症物質として機能するビタミンC、ビタミンE、βカロテンといった重要なフィトケミカル(植物性化学物質)を含む。ほかにも、食物繊維、カリウム、葉酸も含み、これらはすべて健康全体と病気の予防に役立つ。
 
トレーニングの直前に果物を食べるのは微妙でも、1~2時間前に果物を摂取しておけば十分消化できるはずです、と話すジョンソンさん。また果物は、ランニング後の栄養補給にも最適。優れた炭水化物源であるだけでなく、水分やカリウムが多い果物は(とくに汗をかきやすい人にとって)水分補給や電解質のバランスを整えるのに役立ちます、とジョンソンさんは続ける。
 
さらに、果物はおいしいだけでなく食物繊維の供給源でもあり、食物繊維は十分に摂取できていない人が多い。あまりお通じのよくない人は、食物繊維の摂取量を増やす必要があります、とジョンソンさん。食物繊維はトイレの時間が楽にするうえ健康な腸内細菌の促進にも役立ちます、と彼女は補足する。

迷信8:玄米は白米よりもヘルシー

brown rice vs white rice
MirageC//Getty Images

白パン、パスタ、じゃがいも、白米などの白い炭水化物を悪者扱いし、避けるべきという風潮がある。白米と玄米のどちらかを選択できる場合は、(味や食感は別にして)後者を選択するほうがいいかもしれない。けれど実際のところ、両者の栄養上の違いは「無視できる程度」だとジョンソンさんは話す。
 
「玄米は白米の “親” です」と彼女は説明する。言い換えると、すべての米は最初は玄米であり、玄米を精白して茶色い外皮(糠層)を取り除くと白米になる。全粒白米には貴重な食物繊維とビタミンB群が含まれていますが、玄米(調理済み)には3分の1カップにつき1g多い食物繊維が含まれているだけです、と語るジョンソンさん。そのため、ジョンソンさんは玄米が好きではない人に「食物繊維を摂取するにはほかにもいろいろな方法がありますよ」とアドバイスする。


translation : Mutsumi Matsunobu cooperation : Yumi Kawamura photo : Getty Images

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