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2022年、アメリカで話題になったフードトレンド7

「TikTok」のピンクソースやキャビアバンプまで

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high angle view asian chinese womans hand on mobile app for online food delivery during breakfast time
Getty Images

“トレンド” という言葉は、少数の間で人気が出た一過性のアイデアや、意味のない目を引く行動に由来することが多いせいか、悪評を受けることが多い。けれどそういったものも含め、今どういう社会に生きているのか、将来に何を期待するか、さまざまなことを教えてくれる機会にもなる。
だからこそこの時期に、今年話題となった食べ物や重要なフードニュース、食の進化に関して1年を振り返るのは興味深いこと。キャビアバンプからゴーストキッチン、CBDにTHCフードまで、予期せぬ驚きがたくさんあった2022年のトレンドをおさらい。

1. 〇〇ボード

the viral butter charcuterie board with fresh herbs, micro greens, organic honey and toasted baguette slices on a bamboo cutting board
Getty Images

バター、ピーナッツバター、アイシング、さらにはサワークリームまで、好きか嫌いかは置いておいて、食べ物をボードに乗せて出すのが2022年の大きなトレンドの1つだった。
 
夏の終わり頃「TikTok」でシャルキュトリーボードが話題になり、それがおしゃれなバターボードにまで変化を遂げた。このトレンドに対する世間の評価は賛否両論で、「食生活が豊かになる」と言う人もいれば、「本当にうんざり」と言う人も。
 
気が付けばベテランシェフから家庭料理人、ケータリング業を営む人たちまでがバターボードの世界に没頭し、より新しい魅力的な盛り付け方をどんどん開発。
 
「反対派の人たちはたいてい、同じボードのバターを何人かでシェアするのが気持ち悪いと言います。けれどそれはチップスとサルサ、またはピタパンとフムスでやっているのと同じことです」と語るのは「EZPZギャザリング」のオーナー、サラ・タットヒルさん。
 
「流行した理由は、自宅で簡単に作成できるからでしょう。そんなに難しいテクニックは使わずに、甘い系からしょっぱい系まで、独創的なトッピングや組み合わせを考えるのは楽しいですから」
 
試しに「インスタグラム」や「TikTok」で “バターボード” を検索してみると、木製ボードいっぱいに広げたバターにチャイブ、食用花、甘味料などを散らしたさまざまな写真がエンドレスに出てくる。
 
さらに、ほかの食品で作るボードも流行している。スープボードのように、ただふざけて楽しんでいるものもあるけれど、ピーナッツバターとバナナとベーコンのボードや、クリームチーズボード、さらにはクリームチーズをかぼちゃで覆ったボードなど、おいしそうなものもあるとか。

2. 気候に優しい食べ物

polenta topped with mushroom ragu on a white plate
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世界が深刻な環境問題に直面するなか、気候変動に対抗する手段として多くの人が食生活を見直すようになった。
 
ヴィーガン(完全菜食主義者)やプラントベースの食生活がますます一般的になり、全米ではファーストフードのヴィーガンメニューが急速に拡大、新しい食文化への関心が高まっている。
 
肉や乳製品の代わりに、肉や乳製品を使わない “チーズ” や “ミート” ショップを利用し、独自のヴィーガン・シャルキュトリーボードを作る人もいる。
 
そのうえ持続可能なシーフードが家庭で調理されるようになり、レンズ豆やインゲン豆、エンドウ豆などの食材が、健康的で気候変動に配慮した食材としてよく使われるようになった。

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3. ピンクソース

donut with strawberry syrup
Getty Images

この夏ピンク色をしたソースの動画がバズったあと、ヴェロニカ・ショーさん(@chef.pii)が “ピンクソース” と名付けたドラゴンフルーツ風味のピンク色のディップソースを販売するために怪しいマーケティングを行って物議を醸した。
 
FDA(米食品医薬品局)の承認は必要ない」と主張し、当然のごとく心配する何千人もの消費者に対応した結果、思わぬ手助けを得た彼女。
というのも、米食品会社「デイブズ・グルメ・スペシャリティ・フーズ」が彼らの商品(オレンジ色だけど)として正式に販売を開始したという。
 
ショーさんのTikTokはいまだに人気が高く、彼女のピンクソースの流行はしばらく続くことが予測される。

4. キャビアバンプ

caviar on ice with spoon
Getty Images

お金に余裕のある上品な客層の高級レストランで、手にのせたキャビアを食べる「バンプ」という行為が流行った今年。
 
もちろん、2022年以前でもキャビアバンプを楽しむ人はいたかもしれないけれど、「1751 Sea and Bar(ヒューストン)」「Lonely Oyster(ロサンゼルス)」「Tokyo Record Bar(NYC)」「Temple Bar(NYC)」など、全米各地の人気レストランでキャビアバンプがメニューに登場していることを考えると、ひと口約3,000円のこの体験に興味を持つ人が増えているらしい。
 
Temple Bar」の共同経営者であるサム・ロスさんは次のように語る。
「親世代や2世代上の典型的で懐かしい飲食の人気が上がっています。いまお客様から求められているのは、マティーニ、オイスター・ロックフェラー、ビーフ・ウェリントンなどのシンプルなカクテルや料理。シンプルで洗練されていて、最高品質であることを期待されます」

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5. THC入りのおやつ

cannabis oil with leaf
Getty Images

大麻にはおもに、CBDとTHCという2つの成分が含まれている。日本ではCBDは合法で(茎と種子由来のもののみ)THCは違法なため、CBD入りのオイルやベイプなどが流行中だ。
 
いっぽうアメリカでは多くの州で嗜好用の大麻が非犯罪化、合法化されたことで、THC入りおやつが人気を博すようになった。今では米国内の有名シェフたちが大麻を使ったメニューを提供しているという。
 
ニューヨークでは、バーレストラン「Nowan」の韓国人シェフ、ジェイ・リーさんが「ドリップ・ラボ」と提携し、 THCオイルを振りかけたフライドチキンと大麻入りのドーナツを提供。
 
カリフォルニアでは、大麻カフェや大麻ラウンジが州内のあちこちに出現。
 
ニューヨークの高級レストラン「99th Floor」のミゲル・トリニダードさんのような黒人ビジネスオーナーやレストラン経営者の多くが、アメリカの大麻法における人種差別の過去を語り、ポップアップディナーやローカルイベントを通じて大麻に対する偏見を解消しようとしている。
 
トリニダードさんは、大麻入りのチリ風味子羊のワンタン、プランテン(調理用バナナ)のニョッキ、アヒルのラグー、大麻入り自家製パスタシートのラビオロ、グリルしたタコのローストフィンガーリングポテト添えといった料理を提供している。
 
「大麻の否定的な側面によって、私たちのコミュニティは大きな影響を受けてきました。重要なのは、これを全体の一部に取り込むことです。私たちは大麻を吸ったり、使用したことで長い間罰せられてきました。今こそ、失ったものを取り戻すべく、意思決定やプロセス全体の一部になることが非常に重要なのです」と彼は語る。

6. ゴーストキッチン

close up of woman receiving take away food delivery
Getty Images

パンデミック中に起こった食のトレンドが、ゴーストキッチン。店頭をもたないデリバリー専門の飲食業態で、スタート当初はこのビジネスモデルに理解を示さない人たちも一定数いた。誰がどこで作っているか分からないものを口に入れることに抵抗を感じていたのだ。
 
現在はこのモデルが定着してきて、ニューヨーク、ラファイエット(ルイジアナ州)サクラメントなど、多くの都市にゴーストキッチンができている。
 
朝食、ピザ、タコスなど、今年全米中で勢力を拡大したゴーストキッチンは、それぞれの地域で広く受け入れられ、今後も飲食やデリバリー業界の構造に影響を与える可能性がある。

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7. QRコード

close up on a woman scanning a qr code to get the menu at a restaurant qr code was made from scratch by us
Getty Images

パンデミックや食料コストの上昇、絶え間なく変化するダイニングコミュニティなど、シェフたちが料理の提供以外に対処しなくてはならない多くの問題を抱えてきたこの2年間。
 
米疾病予防管理センター(CDC)が、混雑した場所や密閉された空間、非接触を指示すると、アメリカでもQRコードはほとんどのレストランで不可欠なものになったという。
 
紙やプラスチック製のメニューを使用する代わりに、スマホでコードをスキャンしてメニューにアクセスし、場合によっては注文や支払いに至るまで浸透したQRコード。
 
ワシントンD.C.のレストラン「Immigrant Food」の共同創設者であるテア・イワノヴィッチさんも、QRコードを使用してレストランから支援活動の輪を広げている。
 
その名も「エンゲージメントメニュー」というプログラムを通じて、移民の支援団体への寄付、嘆願書への署名、デモへの参加、関連書籍の読書など、コミュニティと関わるさまざまな方法を学ぶことができる。
「このプログラムは、食べ物そのものとは別に関わることができるものです」とイヴァノヴィッチさんは語る。
 
高級な厚紙に特別なフォントで印字された、おしゃれなメニューを手渡されるロマンチックな時代に戻りたいという願望もあるかもしれないけれど、さまざまな懸念を抱える多くのレストランにとって、QRコードはこのまま使用される可能性が高いトレンドの1つと言えそう。


translation : Mutsumi Matsunobu photo : Getty Images


>>『delish』のオリジナル記事はこちら
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

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