この新たなフードシステムの下では、「買う」「リスクをシェア」「働く」など、食べ手がつくることに関わるアクションを行うことができる。
「買う」というアクションでは、農産物に対して「前払い」をすることで、つくる人のキャッシュフローの一助となり、チャレンジしやすい環境の整備に貢献する。
また、作る人と「リスクをシェア」することも行う。例えば、お米の自然栽培にチャレンジするときに、収穫量が減る、自然災害に遭うなど、つくる人のリスクは大きい。だからこそ、その一部のリスクをシェアし、最低保証をすることで、事業の持続性を高めることができる。
さらに、「働く」というアクションでは、仕込みや収穫の繁忙期に現地を訪れ、生産者と共に働く。実際の活動事例として、「小笠原味淋醸造」の伝統の春仕込みが挙げられる。通年でスタッフを雇うほどではない場合に、仕込みの時期にだけ働きに来てもらう人材の採用はなかなか難しい。そんな時に「Table to Farm」の会員が働き手として参加することで、仕込みのサポートをすることができる。このように、食べる人も生産過程を支えるアクションを通して「つくること」に関わることで、「素の味」の収穫量がアップし、安定した供給に繫がっていく。
そして、このフードシステムを農業に限らず、漁業や酪農、発酵食文化や料理道具など、多様な食文化全般にまで広げていくことで、より多くの「素の味」を未来に残す仕組みを構築していくことができるかもしれない。