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シンプルな料理が映える、アンティークの器!「あのひとの器ライフ」Vol.10 古澤千恵さん

食のプロに学ぶ、料理が魅力的に見える器使いとは?

By Kei Sasaki
盛り付けのセンスが光る食のプロに、器使いの極意や御用達の器ショップを教えてもらう連載「あの人の器ライフ」。第10回目はアンティークコーディネーターの古澤千恵さん。おもてなしのテーブルコーディネートの参考にしたい食器の組み合わせ術をチェック。

盛り付けのセンスが光る食のプロに、器使いの極意や御用達の器ショップを教えてもらう連載「あのひとの器ライフ」。第10回目はアンティークコーディネーターの古澤千恵さん。おもてなしのテーブルコーディネートの参考にしたい食器の組み合わせ術をチェック。『エル・グルメ』No.36号掲載。

色で合わせるアンティーク、和食器も大胆に、自由に

あの人の器ライフ
Satoshi Fukuda

肩書は一つ二つにとどまらず、八面六臂の活躍をする古澤千恵さん。イタリアンアンティークのコーディネーターとして家具や器などの買い付け、販売から空間プロデュースまでを手掛け、夫で料理人、ソムリエの古澤一記さんと営むレストランではマダムとして店を切り盛りしている。イタリアの味や暮らしの魅力を伝える著書は4冊に及ぶ。

アンティーク家具を配した自宅でも、イタリアの古い器が活躍。「私のシンプルな料理にはアンティークの器が合う。ざっと盛り付ければ器が景色を作ってくれるんです」ビギナーにもおすすめする器使いの基本は「器と料理に色を合わせる」ことなのだとか。

例えばしっかり焼き色が付いた肉なら、土っぽい器がよく合います」200年以上の年月を生きる陶器のなかには、欠けているものもあるが「欠けた部分の土の色が、器合わせのヒントになることも」と、銅のプレートをさらりと並べる。トスカーナの古い銅製品は古澤さんが愛用するものの一つ。オーブンの中では熱伝導率に優れ、卓上でも美しい。著書にイタリア料理のレシピ本もあり、今や料理も仕事の一つだが、所有する調理器具は驚くほど少ない。「本当に必要なものを知っていれば、たくさんは要らない」というのも、イタリアで学んだ大事なことだと言う。

では、和食器ならどう選ぶ? 尋ねてみると「存在感、個性があり、アンティークに合うもの」との答えが。一例が、野口悦士さんの深鉢。「フォルムも色も個性的ですが、枝豆を盛るだけで絵になり、葉物のサラダにも合い、和洋に使えます」和のおもてなしの支度も技アリだ。いわゆる“豆皿つまみ”を、豆皿なしで。茶器や古い陶器の板などで自在に、酒しゅこう肴を盛り付ける。器選びから旬や食材を慈しみ、料理をし、食べる・もてなすことを楽しむ暮らしの豊かさが見えてくる。

古澤さんTips1 料理と同じ色合いを持つ器を選ぶ

あの人の器ライフ
Satoshi Fukuda

スカーナで1800年代に製菓などに使われていた銅のプレート(直径27×5cm)。鶏とじゃがいものローストをオーブンからそのまま卓上に。パンの器は甕(かめ)のふた。プーリア州グロッターリエ産の陶器のなかでも希少(直径28cm)。燭台が描かれた皿は修道士たちの器で1700年代のもの。アンティークのテーブルの木の質感ともぴったり。

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古澤さんTips2 切っただけ、ゆでただけが“映える”個性的な器を選ぶ

あの人の器ライフ
Satoshi Fukuda

野口悦士さんの深鉢(直径21×10cm)。窯変(ようへん)の白や茶の色合いも料理と合わせるヒントに。

小皿は手の跡を感じるぽってりとした形、素焼きの質感が気に入って求めたこばやしゆうさんの作品(直径12×3cm)

古澤さんTips3 酒肴を楽しむ和の器、豆皿以外を選択する

あの人の器ライフ
Satoshi Fukuda

中国や日本の茶器の現行品と骨董を織り交ぜて。折敷は佃 眞吾さんの作品(25×25cm)。

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古澤さんTips4 石や枝などで箸置きを“発掘”

あの人の器ライフ
Satoshi Fukuda

古い陶器のかけらや石などの“出土品”を箸置きに。

御用達の器ショップ1 「Kyoto yamahon」

三重県伊賀市を拠点に建築設計や工芸品、アート作品の紹介を手掛ける『ギャラリーやまほん』の京都店。作家の個展や展示会が中心。

Kyoto yamahon
京都府京都市中京区 二条通寺町東入榎木町95-3 延寿堂南館2階
tel.075-741-8114
営業時間/11:00~18:30
定休日/木曜
インスタグラム/@kyoto_yamahon

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御用達の器ショップ2 「OVUNQUE」

古澤さんが営むアンティークショップ。オンラインと「OLTREVINO」の一角で展示販売を行う。今秋、住宅関連の商品を扱う「CASA OVUNQUE」も開業。

営業時間/11:30〜16:30 (来店は予約必須)
定休日/水、木曜日
インスタグラム/@ovunque_antiques


古澤千恵さんのプロフィール

イタリアのアンティークを扱うショップ「OVUNQUE」代表。夫で料理人、ソムリエの古澤一記さんとイタリアに10 年暮らし、鎌倉でレストランOLTREVINO」を営む。料理やライフスタイルに関する著書多数。

※雑誌『エル・グルメ』2023年9月号(No.36)掲載
※紹介している器は料理家の私物であり、入手が難しいものもあります。また上記のショップで購入できるということではありませんのでお気をつけください。

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