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カビの生えたチーズの対処方法と正しい保存方法って? 食品安全の専門家がアンサー

チーズをより長く新鮮に保つための保存方法も

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close up of cheese on cutting board at table
Maren Winter / EyeEm//Getty Images

冷蔵庫の中で、探している食品が見つからないのはよくあること。だから、いつ入れたのか分からないチーズが発掘された場合、カビが生えている可能性は十分にある。
ここでたくさんの疑問が頭をよぎる。全部捨てるべき? カビの生えた部分だけ切り落とせば、まだいける? カビの生えたチーズを食べるのって、どれくらい体に悪いの? 体調を崩さないためにも、カビの生えたチーズについて知っておきたい基本的なことを専門家が解説してくれた。

そもそもカビって何?

blue cheese, studio shot
Getty Images

米国農務省 (USDA) 」によると、カビは湿った場所に繁殖する微細な真菌類。正確な数は分かっていないけれど、30万種類以上のカビが存在するといわれている。
 
USDA」いわく、ほとんどのカビは糸状の多細胞生物で、水、空気、または昆虫によって運ばれるそう。カビの多くは食物に寄生するための糸状の根、食物の上に生える茎、茎の先端に形成される胞子で構成されている。
 
「カビの生えた食品には、リステリア菌、サルモネラ菌、大腸菌といった、目に見えない有害な細菌も一緒に成長している恐れがあります」と語るのは、『フードセーフティ:パスト・プレゼント・アンド・プレディクションズ』の著者で、マサチューセッツ州ノースイースタン大学で食品と食品産業の規制問題のディレクターを務めるダーリン・デトワイラー博士
 
覚えておきたいのは、チーズ(またはそのほかの食品)についたカビが、すべて目視できるとは限らないということ。ニューヨーク長老派教会/コロンビア大学医療センターで臨床微生物学サービスのディレクターを務めるスーザン・ホイッティアー博士は、「カビは雑草と似たようなものと考えて下さい。抜いても根は残っていて、また生えてくるのです」と語る。
 
さらに彼女は、食べ物の種類が重要です、と説明する。というのも、カビは軟らかい食べ物でとくに広がりやすく、見た目には問題がなそうな部分でも傷んでいる恐れがある。いっぽう、パルミジャーノ・レッジャーノのような密度が高く硬い食べ物の場合は、局部的に発生する可能性があるという。

カビはどうして有害なの?

serious young woman at home lying down
Getty Images

繰り返しになるけれど、カビにはさまざまな種類がある。無害なカビもあれば、体調を崩す原因になるカビもある。「USDA」によると、カビによっては、アレルギー反応や呼吸器系の問題を引き起こす恐れもあるという。
 
さらに、カビのなかには、適切な条件を満たしたときに “マイコトキシン” と呼ばれる、病気や死につながる恐れのある有毒な物質を生成するものもあるのだそう。

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チーズにはどのようにカビが生える?

fine artisan made sheep, cow and goat cheese wheels stacked in a still life composition
Getty Images

ニュージャージー州のラトガース大学の准教授で、臨床予防栄養学部の学部長を務めるジェーン・ジーグラー博士(臨床栄養学博士号、登録栄養士、管理栄養士)によると、一部のチーズは意図的にカビを生やして熟成を促すものもあり、それらのカビは食べても大丈夫だそう。
 
「ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、スティルトンなどのブルーチーズは、ペニシリウム・ロックフォルティという青カビの胞子を利用して作られます」とジーグラー博士
 
「ブリーとカマンベールは、表面が白カビで覆われています。チーズの種類によっては、内部と表面にカビがあるものもありますが、これらのチーズは安全に食べられます」
 
とはいえ、カビの胞子は空気や水を介してチーズに付着し、成長する可能性もある。
「食品に水分があると、換気のために露出した食品の表面に胞子が集まって成長する可能性があり、肉眼では見えない場合がほとんどです。つまりカビを見つけたときには、すでに強く根を張っていることになります」とデトワイラー博士は語る。

カビの生えたチーズを食べるとどうなる?

moldy cheese wrapped in cling film incorrect storage, spoiled product, expired concept
Getty Images

カビの種類やどんな細菌を宿しているかによって、どんな症状があるかは変わってくる。そのため、見た目では判断できないことが多い。デトワイラー博士によると、起こりうる結果は次のように分類される。
 
・ベストなシナリオ:何も起こらない。多少味が落ちたり、おなかが痛くなることがあるくらい。
・中間のシナリオ:中度のアレルギー反応、食中毒、呼吸器の問題が起こる可能性がある。
・最悪のシナリオ:入院、透析、さらには死亡するケースも。免疫不全の疾患がある場合、よりリスクが高まるとデトワイラー博士は語る。
 
「安全のため、とくに子供やリスクの高い人がいる場合、(意図せずに)カビが生えたチーズは捨てた方がいいでしょう」とジーグラー博士
 
これはとくにソフトチーズ、シュレッドチーズ、スライスチーズの場合に当てはまるそう。 「ソフトチーズは水分が多いため、カビの生えた表面だけでなく、チーズ内部も汚染される可能性があります」とジーグラー博士は説明する。
 
チェダーチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノ、スイスチーズのように、ハードまたはセミソフトチーズの場合は、カビの生えた部分を切り取って、残りの部分を食べても大丈夫でしょう、と語るデトワイラー博士
 
「カビの周囲と内部を少なくとも2.5cmは切り落として下さい。切り落とす際、ナイフでカビの部分を触らないようにして、チーズのほかの部分を汚染しないように注意しましょう」

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チーズを安全に保管するベストな方法

woman takes the piece of cheese from the open refrigerator
Getty Images

USDA」が推奨している方法は、カビの胞子を取り除くべく、水に溶かした重曹か漂白剤で、2〜3ヶ月に1回冷蔵庫内部を掃除すること。さらにチーズをラップで包み、1回に2時間以上冷蔵庫から出さないよう、「USDA」は呼びかけている。
 
もっと本格的にチーズを保存したいなら、デトワイラー博士が教えてくれた次のアドバイスを参考にしてもいいかも。

ハードまたはソフトチーズは、使用するたびに新しいクッキングペーパーかワックスペーパーで包み、新鮮な状態を保つ。
「これらの包装紙は通気性のある素材なので、チーズの表面が乾燥せず、なおかつカビの原因となる湿気が溜まるのを防いでくれます」
 
まとめ:カビの生えたチーズがあって、その種類や対処が分からない場合は、捨てるのが良さそう。とにかく迷ったときは、捨てるようにして。


translation : Mutsumi Matsunobu photo : Getty Images


>>『Prevention』のオリジナル記事はこちら

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