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40代以降の女性はだれでも太る!?  管理栄養士による更年期ダイエットの極意

更年期以降は食事制限やいままでのやり方は逆効果。ますます太りやすくなるし老化も加速!

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40代以降の女性はだれでも太る  管理栄養士による更年期ダイエット決定版
Viorel Kurnosov//Getty Images

女性はだいたい40歳を過ぎたころから、ホルモンバランスの変化により代謝が悪くなって太りやすくなる。だからといって、更年期以降の「食べないダイエット」は、ますます太りやすくなるって知ってた? しかも老化を加速させる! ダイエットは若いころと同じじゃ効果は出ない。管理栄養士の篠原絵里佳さんは、いままでとは違った視点の、睡眠・食事・運動・メンタル(ストレス)がポイントという。更年期こそ、睡眠を整えてから、食事に取り組むとダイエットが成功しやすい。考え方を刷新して、ヘルシーに美ボディメイクを!

1. 更年期ダイエット“都市伝説”、どれがホント?

40代以降の女性はだれでも太る  管理栄養士による更年期ダイエット決定版
Galina Zhigalova//Getty Images

食事の回数は2回に減らすべき 
→ウソ
2食に減らすと、栄養不足を招いて代謝が落ちたり、血糖値が乱高下しやすくなり、かえって太りやすくなるため、1日3回食べることが大切。特に、更年期からは食べないダイエットは、ますます太りやすくなるうえ、老化を加速させると肝に銘じよう。

若いころのダイエット法が効かなくなる
→ホント
女性ホルモンの減少により代謝が落ちるため、カロリー消費しにくい「省エネ」体質に変わるから、いままでのやり方は通用しない。活動量を増やしたり、筋力トレーニングなどで筋肉量が減らないようにしたり、良い眠りについたり、代謝を上げる栄養素が豊富な食品*を積極的にとり入れることなどが大切。
※ビタミンB1・B2・B6、鉄、亜鉛を含む食品、たとえば赤身肉・赤身魚、魚介類、大豆製品、緑黄色野菜など

体重を減らしたいなら、一度にたんぱく質をたくさん摂るとよい

→ウソ。たんぱく質の摂り方に注意!
体重を効果的に減らすには、たんぱく質はとても重要。しかし食べ溜めができないため「毎食」食べることが大切。特に朝食はトーストとコーヒーだけという人が多く、たんぱく質の食品が不足しやすいため、意識してとり入れること。もちろん、たんぱく質を摂り過ぎれば体脂肪増加につながるため、適量で。

いままでよりおなかが空く。間食したくなるのは更年期障害のせいだから自制しないほうがよい
→ウソ
ストレスが増えることで、甘いものが食べたくなったり、睡眠不足が原因で食欲が出てしまい、甘いものやジャンキーな物を食べたくなることがある。とはいえ、欲するがままに食べてしまえば体重増加に。ストレスを減らすには間食ではない方法にチェンジ!

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MKucova//Getty Images

ココナッツオイルやMCTオイルがダイエットに良いと聞いたため、いつもの料理にプラス
→ウソ。摂り方に注意!
(体重管理をサポートするといわれている)ココナッツオイルやMCTオイルは、飽和脂肪酸(動物性油脂に豊富な脂肪酸)が豊富なため、摂り過ぎると、コレステロール値の上昇につながる。他の脂質と同様、カロリーは大きい。もし、これらの油をプラスするのであれば、他の油の使用量を減らしたり、肉よりも魚の摂取頻度を増やしたりするなど、単に「プラス」しない工夫を。

りんごはヤセ菌を増やすと聞いたので、りんごダイエットを続けていたらまさかの骨折?
→あり得ます!
りんごを食事代わりにするなど食事回数を減らすダイエットや「〇〇だけ」という偏った食事は、骨を作るための栄養素が不足しやすくなり、骨粗しょう症のリスクになる。骨は、一度できたら終わりではなく、古くなった骨が溶かされて(壊されて)、新しい骨が再生される…ということを繰り返して生まれ変わっているが、エストロゲンが減少することで壊すスピードが速くなってしまう。骨を作る栄養素*を摂取し、バランス良い食事が大切。
※たんぱく質、カルシウム、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンCなど

いつものヘルシーメニュー、おなじみの食材ルーティンで体重が増えた

→ホント
ヘルシーさを優先にしたとはいえ同じようなメニューや食材が続くと栄養素に偏りが出てしまい、代謝が落ちる原因になる。2~3日を振り返りながら、食材が偏らないようにする。ミールキットを利用するのもよい。外食するときは、いつもオーダーしないメニューに挑戦するなどバリエーションを増やそう。

更年期はやせる人もいる?

→ホント
ストレスにより食欲が低下したり、女性ホルモンの減少により消化器系(胃腸)の不調が起こったりすることから、更年期にやせる人もいる。急激に体重が減った場合は、甲状腺機能亢進症や糖尿病などの疾患が原因というケースもあるため、医療機関を受診することも大切。

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女性ホルモンだけじゃない!40代以降の女性が太りやすくなる理由を知ろう

40代以降の女性はだれでも太る  管理栄養士による更年期ダイエット決定版
Kseniya Ovchinnikova//Getty Images

閉経・更年期の影響
・ホルモンバランスの変化により、エストロゲン*の減少が体脂肪の蓄積に影響する。
・年齢に伴い基礎代謝が低下し、エネルギー消費が減少する。
・ホットフラッシュ等の更年期症状により、中途覚醒が増えて眠りの質が悪化しやすい。その結果、成長ホルモンの分泌が減り代謝が落ち、疲労回復しにくくなり、日中の活動量が低下する。
・自律神経の乱れによるイライラ→過食も起こりうる。
・悪玉コレステロールが上昇しやすくなり、内臓脂肪型肥満になりやすい。

筋肉量の減少
・年を取り運動量が減り、筋肉が減る。
・筋肉量が減ると基礎代謝も低下、脂肪もつきやすくなる。

ストレス過多
・職場の人間関係や、夫・子との関係(子供が独立することでの喪失感など)、実父母・義理父母の介護等、環境が変化することで、ストレスが多くなる。
・ストレスにより過食しやすくなったり、間食が増えやすくなる。

エストロゲン* 脂質代謝を促したり、筋肉量を維持したりする作用もあるので、エストロゲンが減少すると太りやすくなる。

では、更年期世代に特化したダイエットの具体的な方法をみていこう。

更年期ダイエット Step1: 睡眠を見直して、整える

40代以降の女性はだれでも太る  管理栄養士による更年期ダイエット決定版
Westend61//Getty Images

更年期のダイエットは、睡眠を整えると成功しやすい。

理想的な睡眠時間は6~10時間、さらに睡眠の質とリズムも整えることが大事。この3つの条件を満たす良い眠りができていると、眠っている間にも脂質代謝が上がる。そして日中のパフォーマンスも上がり、太りにくくなる。

【良い睡眠を促すには、メリハリのある生活を】
・食事をできるだけ同じ時間に3回食べること(特に朝食が大切)。
・起床時刻・就寝時刻を毎日ほぼ同じにすること。
・日中は活動をして体温を上げること。
・就寝3時間前に夕食を済ませる。
・22時頃からできるだけスマホやPC等を見る時間を減らす。
・就寝1~2時間前にお風呂に入るなどして、夜はリラックスして過ごす。

【なぜ睡眠不足は太るのか】
・食欲が増す(食欲を抑える「レプチン」が減少し、食欲増進の「グレリン」が増加するため)。
・成長ホルモンの分泌が少なくなるため、筋肉量の維持や増加、脂質代謝に影響が出る。
・血液中の糖の量(血糖値)をコントロールする働きをするインスリンの効き目が悪くなり、血糖値が高くなり、太りやすくなる。
・脳が疲労しているため、情動抑制力が弱まり、食欲が抑えられなくなったり、的確な判断ができず、食べ過ぎたり、夜遅い時間に食べたり…、太りやすい行動をしやすくなる。
・疲労が取れないため、日中の活動量が低下する。
・睡眠によるストレス解消ができないため、ストレスもアップする。
・ダイエットへのやる気が減退する。

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更年期ダイエット Step2: ストレスマネジメントを習得する

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Anastasiia Krivenok//Getty Images

ストレスにより食欲が落ちる人もいるが、多くは過食傾向にあり、間食が増えやすくなる。日々の暮らしのなかで抱えるストレスは大なり小なりあるものだから、自分なりのストレス解消法を見つけて実践することが大事。また、自分にもっと寛容になることも必要。仕事も家事もこれまでの60%できていれば良し!

【ストレス解消法】
・毎日数分でもリフレッシュする時間を作る。
・楽しいと思える趣味に没頭する。
・自分を追い詰める考え方をやめる。
・良い眠りに就くこともストレス解消。

更年期ダイエット Step3: 食事を見直す

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Yuko Yamada//Getty Images

更年期世代こそ、しっかり食べることが大切。

女性ホルモンが減少し、代謝が落ちるため、これまでと同じ食事をしていても太りやすくなるのは事実だが、食べないダイエット(食事量を減らすダイエット)は、筋肉量が減ってますますやせにくくなったり、髪がやせたり、肌のシワやたるみといった肌老化の原因になったり、骨粗しょう症のリスクにもなる。食事量を減らすのではなく、食事内容を見直すことが重要。自分の食事のクセを知り、無理なく、できることから修正していこう。

【食事の基本を知って、応用する】

<主食(ご飯・パン・麺等)>
量は、両手に軽く乗るくらい、おにぎり2個くらいが目安。夕食は1個位(茶碗軽く1杯)でもOK。
・トレーニングやヨガ、ジョギングなど運動をする日は基準量で、自宅で過ごし活動量が少なかったときはは少なめに。活動量に合わせて調整する。

<主菜(肉・魚・卵・大豆製品)>
量は、片手にこんもり乗るくらい。 例)卵と納豆、魚一切れ 
・主菜の内容もバランス良く。肉に偏らないようにして、魚の摂取頻度を増やす、大豆製品も積極的にとり入れる。
・3食、毎食、不足しないように食べることが大切。
・間食に豆乳やソイラテを飲むなどして、たんぱく質をとり入れるのもおすすめ。
・脂質が多くならないように注意。特に、揚げ物など夕食の脂質は控えめに。

<副菜(野菜・海藻・きのこ・芋・豆)>
量は、手のひらに乗る小鉢2杯くらい(具沢山の汁でもOK)
・おすすめは、緑黄色野菜。栄養価が高いため、代謝が上がりやすい。
・きのこにも、代謝を上げるビタミンB群が豊富。

【ダイエット成功のポイント】
・1日3食、できるだけ、同じ時刻に食べると、体内時計が整いやすくなり、ダイエットが成功しやすい。
・夕食は21時までに食べ終える。21時を過ぎる時は、脂質を控えめにし、主食の量を少なめにする。
・1日1~2回の乳製品と果物も忘れずに食べる。ただし、脂質や糖も含まれるため、遅い時間(21時以降)は控える。
・食事を写真に撮ると、肉が多い、副菜が少ないなど、自分の食事の傾向が分かりやすい。

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更年期ダイエット Step4: 生活の活動量や運動量を増やす

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活動量や運動量を増やすことは、メンタルにも良い影響を及ぼし、睡眠の質も上がりやすくなる、骨の健康維持にも役立つなど、ダイエットの他にもさまざまなメリットがある。筋力トレーニング*と有酸素運動**の両方をとり入れるのが理想的だが、ハードな運動である必要はない。いつもより運動量を少しだけ増やすことを目的にして、楽しく気軽に取り組んでみて。1日5回の腹筋も1カ月なら150回! 簡単なことをちょっとだけ行うことから始めて、自分に合った運動を見つけて習慣化しよう。

【毎日ちょこっと運動のすすめ】
・TVのCMのときに腹筋5回くらいをトライ。やり始めて5回以上できそうなら、増やしていく。
・ご飯の用意をする前に、スクワット5回。
・エスカレーターじゃなく、階段も使ってみる。
・いつもよりも早歩きをしてみる。
・掃除の回数を増やしてみる。
・少し遠回りしていつものスーパーに行く。

【運動を始めるなら】
・ウォーキングは手軽に始められるのでいちばんのおすすめ。
・DVDやゲームなどを利用して、遊び感覚で体を動かす。
・YouTubeやオンラインのエクササイズを利用する(自分のレベルに合わせて受講できるヨガもおすすめ)。
・手軽に通えるジム(カーブスやチョコザップ等)を利用する。
・活動量計(アップルウォッチやFitBit、ガーミン等)を使用すると、活動量や睡眠も見える化できて、モチベーションアップに繋がる。
・アプリのコミュニティにつながって励ましあう。
・運動は三日坊主でもOK。でも休むのも3日までにすれば1週間の半分はできていることになる。
・体重管理のために体重を毎日測ってみよう(アプリ「朝はかるだけダイエット」など)。朝起きてトイレに行った後の体重が比較的安定している。しかし、水分量の影響により体重は変化するので、日々の増減に一喜一憂せずに長いスパンでみよう。

筋力トレーニング*: 筋肉を増やし、基礎代謝を上げるためのエクササイズ
有酸素運動**: 心肺機能を高め、脂肪を燃焼させる運動

更年期ダイエットのまとめ

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jacoblund//Getty Images

1. 優先すべきは、睡眠の改善

更年期におけるダイエットの成功の鍵は、質の良い睡眠。睡眠不足は食欲を増進させ、代謝が低下。太りやすくなるだけでなく、ストレスや日中の疲労感もアップ。睡眠不足の状態でダイエットをしようとしても上手くいかない。

2. 次に重要なのは、ストレスマネジメント

ストレスが体重管理に大きく影響を与えるため、自分に合ったストレス解消法を見つけよう。また、無理をせず、仕事や家庭での負担を軽減する考え方も大切。

3. 非常に重要!食事の見直しと栄養管理

食事を抜いたり、偏ったダイエットは、筋肉量の減少や代謝の低下を引き起こし、結果的に体重が増加しやすくなる。主菜・副菜・主食をバランスよく、3食をできたら決まった時間にしっかりと食べること。特にたんぱく質や炭水化物の適切な摂取量に注意して。

4. 次に取り組むべきは、運動習慣の導入

運動も重要だが、日常生活に無理なく取り入れることがポイント。簡単なエクササイズやウォーキング、階段の利用など、毎日少しずつやっていこう。

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お話を聞いたのは 管理栄養士の篠原絵里佳さん

40代以降の女性はだれでも太る  管理栄養士による更年期ダイエット決定版

日本抗加齢医学会認定指導士、睡眠改善インストラクター、上級睡眠健康指導士、野菜ソムリエプロ。総合病院、腎臓・内科クリニックを経て独立。長年の臨床経験から、体の中から健康に美しくなる生活習慣を見い出し、わかりやすく発信することを得意とする。また、働く女性の健康支援に注力し、フィーカ レディースクリニックにて、栄養相談・睡眠相談を担当。更年期世代に特化したダイエットプログラムも実施している。全国での講演会、セミナー講師、コラムの執筆、テレビや雑誌などのメディア出演など、精力的に幅広く活動。ericashinohara.com

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