ファッションウィークが終わるやいなや、デザイナー交代の動きが始まった。2025年2月13日(現地時間)、「ヴェルサーチェ」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるドナテラ・ヴェルサーチェが退任し、ダリオ・ヴィターレが後任に就くというニュースが報じられたが、さらにもう一つの大手ブランドも新たなデザイナーを迎えた。

2015年より「バレンシアガ」のクリエイティブ・ディレクターを務めるデムナが、同じくケリング傘下の「グッチ」のアーティスティック・ディレクターに就任することが決定した。前任のサバト・デ・サルノは今年2月に退任し、「グッチ」2025フォールコレクションはインハウスのデザインチームによって制作された。ただし、デムナは当面「バレンシアガ」にも留まる予定で、7月にはオートクチュール・コレクションを発表すると報じられている。

ジョージア出身のデムナは、アントワープ王立芸術アカデミーで学び、「メゾン マルジェラ」や「ルイ・ヴィトン」で経験を積んだ後、2014年に自身のブランド「ヴェトモン」を設立。DHLロゴ入りTシャツなどユーモアの効いたデザインや、「ヘインズ」「ジューシー クチュール」といったブランドとのコラボレーションが話題を呼び、瞬く間にファッション界の注目を集めた。その成功が、彼を「バレンシアガ」のポストへと導いた可能性は高い。

ジョージア出身のデムナは、アントワープ王立芸術アカデミーで学び、メゾン・マルジェラやルイ・ヴィトンでの経験を積んだ後、2014年に自身のブランド「ヴェトモン」を設立。DHLロゴ入りTシャツのようなウィットに富んだデザインや、HanesやJuicy Coutureといったブランドとのハイ&ローなコラボレーションが瞬く間にファッション界の話題をさらい、それがバレンシアガのポストをつかむ要因となった可能性が高い。

「バレンシアガ」では、クロックスをランウェイに登場させたり、キム・カーダシアンを警告テープのキャットスーツで包んだりと、型破りなアイデアで世間を驚かせてきた。こうした大胆なアプローチが、彼のデザイン哲学を象徴している。

balenciaga: outside paris fashion week haute couture fall/winter 2024 2025
Jacopo Raule//Getty Images
「バレンシアガ」のオートクチュールショーに出席したミシェル・ヨー。

デムナ就任について、ケリング会長兼 CEO であるフランソワ=アンリ・ピノー氏をはじめとする主要幹部は下記のように述べている。

「デムナがファッション業界、『バレンシアガ』、そしてグループ全体の成功にもたらした貢献は計り知れません。彼のクリエイティビティこそ、まさに『グッチ』が必要としているものです。過去 10 年間に彼が成し遂げてきたことすべてに感謝するとともに、彼がグッチの新しいアーティスティック・ディレクションをどのように形作るのかを楽しみにしています」(ケリング 会長兼 CEO フランソワ=アンリ・ピノー)
「デムナのコンテポラリー・カルチャーに対する深い造詣と数々の革新的なプロジェクトを構想してきた豊富な経験により、彼は、世代を代表する最も影響力のあるクリエイティブな人物のひとりとして確立されました。デムナのアーティスティック・ディレクターとしての就任は、『グッチ』の創造的なエネルギーに再び火をつける素晴らしいきっかけとなるでしょう。デムナとステファノが協力して『グッチ』を新たな成功の時代へ導くことを楽しみにしています」(ケリング ブランド開発担当副CEO フランチェスカ・ベレッティーニ)
「私はデムナの独特で、力強いクリエイティブアプローチを常に敬服してきました。ブランドを象徴するレガシーを尊重しながら、コンテンポラリーな感性を取り入れる彼の能力は並外れています。『グッチ』の強固な基盤を足掛かりにして、デムナはブランドに新たなファッションの権威をもたらし、永続的で文化的な影響力を持ち続けるでしょう」(「グッチ」CEOステファノ・カンティーノ)
「『グッチ』ファミリーの一員になれることに非常に興奮しています。深く尊敬し、長年憧れてきたメゾンに貢献できることは大きな名誉です。ステファノやチーム全員と共に、グッチの素晴らしい物語の新しい章を書き進めることを楽しみにしています」(デムナ)

2025年9月に発表されるデムナによる新生「グッチ」に、世界中の注目が集まることは間違いない。新たなクリエーションを楽しみに待ちたい。

From: ELLE US