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オールニーク リユースダイヤモンド
Hearst Owned

【リユースダイヤ】に大注目! 資源を循環させるリメイクジュエリー市場を探る

“透明化”と“循環性”が重要課題のファッション界。スタイルインサイダーのRENと共に、リユースダイヤモンドの可能性とサーキュラーエコノミーについて学ぶ。

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社会問題意識の高い大学院生でありエル・スタイルインサイダーのRENが聞き手となり、サステナビリティの創造性を探る連載。今回は、創業77年目のブランドリユースショップKOMEHYOが2022年にスタートした天然ダイヤモンドのリメイクジュエリーブランド、「オールニーク」を直撃。

ラボグロウンダイヤモンドの台頭や、天然資源の減少がささやかれる中、国内に眠る良質なダイヤモンドがデザインの力でリプロダクトされて、より幅広い層に広がっている。この取り組みについて、ブランドのディレクターである向出 美貴子さんに聞いた。

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状態の良いリユースダイヤモンドをモダンなデザインにアップデート

リユースダイヤモンド
Risako Sueyoshi

――すべて(ALL)に、そのモノや人にしかない魅力(UNIQUE)があるという思いを込めた「オールニーク」。そのシステムと、リユースダイヤモンドについて教えてください。

「1970年から本格的に宝飾の買い取り、販売を行ってきたKOMEHYOでは、限りある資源であるダイヤモンドを循環させて次のステージにつなげていきたいという思いがありました。そこで、今の時代に合わないジュエリーや破損したジュエリーの宝石を再利用し、新たな価値を創造する試みをリメイクジュエリーと呼び、2011年頃から取り組みをスタートしました。そこから、より多くの人々にアプローチするため、天然ダイヤモンドをリメイクしたジュエリーブランドとして2022年に設立したのが『オールニーク』です。

ユーズドでも状態が良いダイヤモンドジュエリーは多く、クリーニングなどの過程を経てプレラブド品として提供することは可能です。ただし、デザインや状態によっては、時代や嗜好(しこう)の変容にあわせてリメイクする必要があると実感しました。検品やメンテナンス、リデザインすることで、新たな価値を加えて多くの人に届けたいと考えています」

環境への関心の高まりが追い風となり、リメイクが脚光を浴びている

リユースダイヤモンド
Risako Sueyoshi

――確かに若い世代的には、古いプレラブドだと重厚すぎると感じることはありそうですね。ジュエリーのリメイクは業界では常識的なことなのでしょうか?

「ダイヤモンド自体は硬度が高く、キズもつきにくいのでリメイクしやすい素材なんです。元々ジュエリーだったものを素材に戻したダイヤモンドとして流通させ、再びジュエリーにしていくこと自体は、わりと昔から行われていました現代では、循環型社会の概念の広がりから、選択肢のひとつとしてダイヤモンドのリユースやリサイクルという言葉も少しずつ浸透してきているように感じます」

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リメイクするジュエリーはすべて国内で素材へと戻す

リユースダイヤモンド
Risako Sueyoshi

――ジュエリーはどのような工程でリデザイン&リメイクされていくのでしょうか?

「リメイクするジュエリーは、選別や鑑定を経て山梨の甲府をはじめとした国内の工房でダイヤモンドと地金に分けられます。ダイヤモンドはクリーニングを経て鑑定へ、地金は新たな純金素材へと生まれ変わります。

ダイヤモンドもサイズや形で仕分けられるのですが、ひとつひとつ形がまちまちで、例えばペアシェイプ(洋ナシ型のダイヤ)だけを集めても、下部が太かったり細かったり、バランスが違ったりと個性がある。そこを一石ずつ見極めてサイズ分けしていきます」

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写真:鑑定後、サイズによって細かく分けられたダイヤモンド。

石の個性を引き立てるデザイン

a gold and silver ring

「リユースダイヤモンドはカラット数や形が一緒でも、ひとつひとつが全く同じではないため、いくら品質をそろえてアソートしてもどうしても全ての石を使い切ることができないという課題は残ってしまう。そこで、一粒一粒の石の個性を引き立たせるようなコレクションも提案しています。

デザインに至るまでの選別に最もコストや手間がかかるが一般的な悩みですが、選別からデザインまでを社内で一貫して行えていることは私たちの強みと言えると思います」

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写真:バゲットカットとラウンドブリリアントカットという異なるシェイプのダイヤモンドが重なり合うデザイン

イヤカフ¥110,000/オールニーク

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ポップとベーシック、シーンや好みにあわせて選べるコレクション

a gold and silver sword

――「オールニーク」はデザインの幅の広さが魅力ですが、軸にしているものは何なのでしょうか?

「現在9つのラインがあるのですが、3つはクリエイターさんとのコラボ、それ以外はブランドのオリジナルで打ち出しています。ALLNIQUEというブランド名にあるように、コラボレーションではそれぞれのクリエイターさんの個性を発揮して、ポップなものや変形の石を使ったものなどバランスよく組み合わせていただいています。オリジナルでは、シンプル&ベーシックがテーマで、重ね付けしやすく普段から取り入れてもらえるものを多く作り出していきたいなと思っています」

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写真:シーンを選ばず、重ね付けも楽しいシンプルなデザインが魅力のコレクション。
ピアス(片耳用)¥36,300/オールニーク

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買い取りしたダイヤモンドを資格のある鑑定士が検品

リユースダイヤモンド
Risako Sueyoshi

――査定や鑑定はどのような仕組みなのでしょうか?

「店舗に買取担当者が常駐していますので、まずはお客さまのお品物を判断してお値段を決定するというのが第一段階です。その後、ひとつひとつそのままの状態で販売できるか、素材としてリテールに回すのかを社内で判断します。検品に入る前にクリーニングの工程を挟むのですが、そちらも基本的には国内の工房で行っています。磨きをかけて、さらに検品によって品物の状態や刻印などの情報が実際と適合しているか、といったチェックを細かく行います。

刻印と実際の素材が違っていたということもよくありますし、石に行き過ぎた処理がされてないかを真贋(しんがん)も含め、米国宝石学会(GIA)が定めたGG(宝石学修了者)の資格を持つ鑑定士がしっかりとチェックしていきます」

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写真:KOMEHYOで買い取った、リメイクに使用されるジュエリーの一部。

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ダイヤモンドを新たに採掘するのではなく、循環させる

リユースダイヤモンド
Risako Sueyoshi

――天然ダイヤモンドの発掘においては一部で環境破壊や労働環境などの問題がうたわれており、それらを回避するためにリユースダイヤモンドは有効です。一方で、出自のわからないダイヤモンドも一斉にバージンとして売られるなど、曖昧さも気になります。御社では透明性に対する対策を行っていますか?

「確かに市場ではダイヤモンドの選択肢はさまざまです。その中で私たちはリユースダイヤモンドを選択しています。現在『オールニーク』で使ってるダイヤモンドに関しては、全てKOMEHYOでお買い取りしたジュエリーから取り出したもの100%で作っていますので、新たな鉱山での採掘が行われることは一切ありません」

何が一番サステナブルかは個人の価値観による

rough, natural diamonds from a canadian diamond mine
Coal Photography/Alexander Legaree//Getty Images

――そういう意味では、ラボグロウンダイヤモンドもそこに混ざってくる可能性もあるのでしょうか? また、ラボグロウン・リユース・バージンなどいろいろなダイヤモンドがありますが、どれが最もサステナブルと言えるのでしょうか?

「ラボグロウンが市場に出回り始めた頃は、混在したことはありました。実際、弊社で確認しても、エタニティリングの一石だけがラボグロウン、という状態を目にしたことも珍しくはなかったです。

現段階ではいろいろな選択肢があると思っています。『オールニーク』では天然ダイヤモンドのリユースにこだわっていますが、見た目も成分も変わらないラボグロウンも選択肢の一つだと捉えています。そのうえで私たちは天然ダイヤモンドという希少かつ減少していく資源を守り、循環させる仕組みそのものにも価値を感じていただき、リユースダイヤモンドが選択肢の中に普通にある状態にしたいというのが願いです。

環境への影響を考えたときに、まだどれも完璧とは言えない状態かもしれません。それぞれ良しあしがあって、個人の価値観で選んでいただけたらいいと思います」

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”リレーユース”で地上にある資源を次の世代に受け継いでいく

リユースダイヤモンド
Risako Sueyoshi

――77年前から伝わるリユース企業としての背景を持つ「オールニーク」の強み、今後伝えていきたいこととは何でしょうか?

「KOMEHYOの理念としては、“リレーユース”という言葉を使っています。それは、今自分たちが使っているものを次の世代に受け継ぐということ。そのままでもいいし、時代に合わせてリデザインしてもいい。とにかくつなげていくというのが、1番の企業理念としてあるんですよね。

長い歴史の中で築き上げた鑑定力や社内一貫での品質管理は、高品質なアイテムを手に取りやすい価格で提供することを可能にしています。そこから2022年に生まれたのが『オールニーク』です。コラボレーションによる今の時代を感じるデザインや、長く使っていただけるシンプル&ベーシックなデザインなど、多様なコレクションを展開しています」

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写真:「オールニーク」のバゲットカットとブリリアントカットのダイヤモンドネックレスをRENさん自身のジュエリーとあわせて。

リユースダイヤモンド
Risako Sueyoshi

「ジュエリーに慣れたお客さまの中には、『オールニーク』の品質と価格に驚かれる方も多いです。気軽に重ね付けする方から老舗ジュエリーを愛用されている方など、幅広い世代でも愛用いただいています。今後も地上にある資源をいかに循環させていくかにこだわり、それを守っていくためにも多くの方にリユースダイヤモンドという選択を気軽に楽しんでいただけたらうれしいですね」


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「オールニーク」公式サイト

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PROFILE

a man in a black shirt

REN/「リメルリック」ディレクター

東京都出身。写真の歴史とジェンダーギャップについて研究する大学院生。フォトグラファーとしての活動と学業の傍ら、2023年9月にリファインメタルとデッドストックのストーンを主に使ったジュエリーブランド「リメルリック」をローンチ。

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