世界各都市のおしゃれ賢者たちに、愛用ジュエリーやコーディネートの流儀をASK。個性とセンスが宿るジュエリー使いのヒントを探して。【ベルリン編】では、「esther perbandt」創設者兼クリエイティブ・ディレクター、エスター・パーバントのジュエリースタイル哲学を深堀り。『エル・ジャポン』7月号より。
Photo:RIE YAMADA Coordination:JUN YABUNO
エスター・パーバント/ベルリン出身。幼い頃からデザイナーを志し、ベルリンやパリでファッションデザインを学んだ後、2004年にベルリンで自身の名を冠したブランドを設立。街の中心部ミッテ地区にショップを構え、現在はシーズンにとらわれず自分のペースでコレクションを発表している。2020年にアマゾン・プライムのリアリティーショー「メイキング・ザ・カット~世界的デザイナーを目指して~」に出演したことをきっかけに、グローバルにファンを拡大。
「私にとってジュエリーは、黒の世界に光を加えてくれるもの」
「幼い頃からジュエリーが大好き。8歳の誕生日にハンダごてと銀線、ビーズをもらって、自分でイヤリングを作り始め、路上で売ってみたんです。当時は誰も買ってくれませんでしたが、それがすべての始まりでした」
そう語るエスターは、2004年にベルリンで自身の名を冠したファッションブランドを設立。その後、2019年に本格的にジュエリーの販売も始めた。彼女は自らの着こなしも、提案するコレクションも、大半が黒。「黒はカラフル」をスローガンに、さまざまな質感の素材を生かして奥行きを表現している。
そんな彼女にとってジュエリーは、「黒の世界に光を加えてくれるもの」だという。「スタイリングは、たくさんのピース、特にリングの重ね着けがポイント。動くジュエリー同士で音を奏でるのが好きなんです」。
デザイナーとして20年以上活動している彼女が尊敬するのは、服だけでなくジュエリーも手掛けたガブリエル シャネル。「彼女はコスチュームジュエリーを魅力的に変え、ラグジュアリーを再定義しましたよね。彼女のおかげでジュエリーが富の象徴ではなく、スタイルや個性を表現するためのものになったと思います」
Q. ジュエリーコレクションの中身を見せて!
色はイエローゴールドが中心。「チャンキーで目立つステートメントジュエリーに夢中です」と話す彼女は、ジュエリーを自分でデザインしていることもあり、数え切れないほどのアイテムを所有。「テーブルの上や棚など、家中のあちこちにジュエリーを置いています。完璧な収納ではないけれど、ジュエリーが日常のシーンに溶け込んでいるんです」
Q. 大切にしているエッセンシャルアイテムを教えて!
【1】羽ばたく鳥のリング
羽ばたく鳥のリングは、“コンクリート・ジャングル”と題したコレクションに合わせて手掛けたもの。「空を飛ぶものが大好きなので、鳥をモチーフにしたデザインはもちろんお気に入りの一つ。デザインした時に意図していたわけではないですが、あらためて見ると、それは平和の象徴であるハトのよう。平和を求める今の時代に、より強いメッセージをもっていると感じます」
【2】コウモリのペンダント、両親の結婚指輪、ブラックダイヤモンドのリング
思い入れの深いファインジュエリーたち。コウモリのペンダントは、金細工職人の親友ダニエル・ヒラーからのギフト。中央のリングは、常に身に着けている亡き両親の結婚指輪。「両親は私が1歳の時に離婚してしまいましたが、私はいつも2人の間に深い創造的なつながりと相互理解があると感じていました。ただ、2人の関係は結婚には向いていなかったのだろうと。もう他界してしまったので、この指輪は私にとって大きな意味をもっています」。
ブラックダイヤモンドが飾られたリングは、金細工職人のルネ・タルモン・ラルメによる作品で、今年迎えた50歳の誕生日にパートナーが贈ってくれたもの。「ヴィンテージのような雰囲気を漂わせる一方で、未完のデザインと不規則に配置されたダイヤモンドがモダンなイメージ。その美しいコントラストが気に入っています」
【3】シューレースモチーフのブレスレット、“サンキュー・ユニバース”ペンダント&リング
シューレースモチーフをあしらったブレスレットは、2022年に「アディダス」のために制作したジュエリーの一つ。ペンダントネックレスとリングは、“サンキュー・ユニバース(THANK YOU UNIVERSE)”というメッセージが刻まれたコレクションで、自身が出演したリアリティーショーでの思い出が込められている。「各エピソードで勝者を決める『メイキング・ザ・カット』の収録で、最初に自分が選ばれた時に信じられずに叫んだ言葉がインスピレーションになっています」
【4】ピルモチーフのペンダント
ピルモチーフのペンダントは、映画『マトリックス レザレクションズ』のUSプレミアに出席したラナ・ウォシャウスキー監督とパートナーのカレン・ウィンスローのためにレッドカーペット用の衣装を手掛けることになった際、同作のストーリーのカギを握るピルからヒントを得てデザインしたもの。
Q. いつか手に入れたい、憧れのジュエリーは?
「『カルティエ』の“ジュスト アン クル”ブレスレット。1本の釘をモチーフにしたとてもシンプルなデザインなのに、力強い魅力を放つアイテムですよね。見るたびに、私もそんなジュエリーを生み出したいと思います」
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