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デザインのプロが明かす、2025年夏以降のインテリアトレンド

今、注目を集めているのは、自然素材と上質な生活感

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Photograph of a loggia by the sea with a table and two benches.
Photograph by Simon Upton

インテリアのトレンドに新しい波が訪れている。インテリアが設えられたばかり新築の家を訪れても、すでに生活の気配が漂っているのだ。デザイナーたちによると、彼らのクライアントは、もはや完璧さを求めてはいないのだという。洗練を究めた眺めではなく、今理想とされているのは、個性があり、ストーリーを語り、実際の暮らしのために機能する家。ベッドリネンにはシワが寄り、高価なヴィンテージグラスは好まれない。本記事では、デザイナーがすすめる今夏以降のトレンドをご紹介。なぜこれに注目すべきかも解説しているので、あわせてチェックしてみてほしい。US版「エル・デコ」より

自然素材をモダンにリフレイン

2025年夏 インテリアトレンド
The Ingalls

昨今、編み細工が、インテリア業界を席巻している。しかも、これまでにもあったような「藤編みのリバイバル」などではない。「編み細工をアクセントとして使う試みには、常に『イエス』と反応するようにしています」とスタジオ・マクギーのシェイ・マクギーは『エル・デコ』のインタビューに答える。「ラタン編みをシェードに使った照明でも、ヴィンテージの藤椅子でもいい。自然素材は、空間にテクスチャーと温もりをもたらします。ほどよい、(海辺をイメージした)コースタル・スタイルを叶えてくれます」

インテリアデザイナーのスーザン・ペトリーもこれにうなずく。彼女のクライアントは明らかに、伝統的な窓の設えからは距離を置こうとしている。「彼らは、シンプルで軽やかなカーテンではなく、細長い木板を使った『マッチスティック・ブラインド』を求めています」。実用面においても、魅力的なアイテムだ。「ここに太陽が差すと、光が美しい形で室内に映し出されます。それに、自然素材を取り込めば、どのような空間でも、あたたかさを感じることができます」

クライヴ・ロンステインも同じ意見だ。「夏の窓に、マッチスティック・ブラインドはぴったり。自然を感じさせる編み細工には温もりがあり、瞬く間にビーチにいるような雰囲気をつくり上げます」

大胆なマキシマリズムを手なずける

traditionally decorated house with turquoise and brown interior.
stocknroll//Getty Images

ミニマリスト的な禁欲スタイルを長年続けたクライアントたちは、その反動から自分たちの個性を反映した空間を欲している。「この夏は、カラーとスタイル両面においてコントラストを生かしていきたいと思っています」とホワイト・アローの設立者、カレン・リヒターは『エル・デコ』に話す。「装飾的な“ドラマ”も追求しています。タッセルやスワッグ、光沢、それから1930年代のハリウッドをイメージしたグラマラスな表現を取り入れたいですね」

ブラウンストーン・ボーイズのデザイナー、ジョーダン・スロカムとバリー・ボーディロンは、この動きを大胆な表現への移行と考えている。「マキシマリズムが再生しつつあります」と彼らは編集部に書き送ってくれた。彼らのクライアントは、パターン同士を組み合わせたレイヤー、リッチなジュエルカラー、それからアートや本、テキスタイルによってストーリーを語る部屋をつくりたがっているのだという。

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奥行きのあるアーシーカラーを取り入れる

terracotta color interior with plants, dresser, armchair and decor. 3d render illustration mock up.
YKvision//Getty Images

2025年夏のカラーパレットのテーマは、誰がなんと言おうと「アーシー」、それから「楽観的」。「今の気分は、日に焼けたような色ですね。ソフトなクレイ(粘土)カラーや、あたたかみのあるサンド(砂)カラー、セージグリーンが気になっています」とシェイ・マクギーは言う。「とても静かで、落ち着きのある色です」

デザイナーのエイミー・マッコイは、自身のクライアントがテラコッタを用いたフローリングのあたたかさに注目し、また、周囲を「パステルカラーで埋め尽くそうとしている」とコメント。彼女によると、これにより、気軽に空間をリフレッシュできるのだという。

「編みやペインティングが施された壁材を使うことが多くなっています。色はブルーやアクア、淡い黄色ですね」と言うのは、『エル・デコ』のAリストデザイナー、ジェイミー・ドレイク。一方、ブラウンストーン・ボーイズは「日に焼けたような色や、テラコッタ、モスグリーン系の色、ヴィンテージのリネン、それから筋の入ったベルベットなど触感を楽しめるような素材」を取り入れていると語る。

新しいアウトドア空間をイメージする

2025年夏 インテリアトレンド
Frank Frances

今、アウトドア空間は室内の部屋と同じような細やかさでスタイリングされている。「この夏、ぜひ試してほしいのは、ハーブガーデンを備えたアウトドア・バー。私はこれを、自分だけのハーブ・カクテル・ガーデンと呼んでいます」とデザイナーのオータム・ポチロが私たちに明かしてくれた。彼女がイメージするのは、ハーブを使ったグリーンウォールと、バーカートの組み合わせ。バジルやローズマリー、ミントがあれば完璧だ。大胆なソファを置き、鮮やかで気分を上げるようなカラーをちりばめる。それから、コードレス照明と、もちろん、揺らめく炎も加えたい。

オリーブ・アトリエズのローラ・ソテロのアプローチは、もう少しロマンチック。柔らかさと彫刻的な家具のバランスに着目し、「庭で楽しむのんびりとしたランチにインスピレーションを得た」空間をつくることを目指す。「空間は、五感を刺激すべき」というのが彼女の哲学だ。優美なディテールを備える錬鉄製のチェアとテクスチャーを感じさせるクッションを合わせ、慎重に選んだアクセントを加えていくのだ。

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パーティースペースは都度カスタマイズ

2025年夏 インテリアトレンド
Peter Murdock

今、勢いを増しているのは、人とつながることに重きを置いてデザインされた空間。ビスポーク・オンリーのメリッサ・リーは、『エル・デコ』のインタビューに「気負わないおもてなし、というアプローチが共感を集めています」と答える。シワのあるリネン、ミスマッチなグラス、それから生活感のあるテーブル……。彼女のクライアントは、それほどメンテナンスを必要としないスペースを好むようになってきたのだと言う。

ジェイミー・ドレイクは、「リラックスした集まりを開きたい」というリクエストに対し、快適さと柔軟性を優先させた空間をつくることで応えている。「張り地をあしらった巨大なソファと奥行きのあるマットレスをレイアウトします。窓辺のシーティングエリアのようなイメージですね。そこに、ボルスターやピロークッションを並べる。凹凸のあるテキスタイルで覆うのがポイントです」と彼は言い、続ける。「それから、大人数が参加するための設えも手掛けています。20人が着席できるようなダイニングテーブルを用意するのです。ポーチを使うなら、4台のテーブルを設置。そうすれば、どのような形にも構成できますから。4人で楽しむ親密なディナーから、24人(!)が参加するパーティーまで、柔軟性のある対応が可能です」


original text : JULIA CANCILL
translation : CHISATO YAMASHITA

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