大阪・無印良品グランフロント大阪で6月29日まで。
2024年冬、東京のATELIER MUJI GINZAで開かれた、クランク・藤井健一郎さんの作品展、krank『MOTHER -空想と現実のあいだにあるもの-』。現在、大阪の無印良品グランフロント大阪に巡回し、絵本のような世界が披露されている。
藤井健一郎さんは弟の輝彦さんと、福岡でヨーロッパのアンティーク家具店 「クランク(krank)」と、同じ建物内にアパレル・雑貨のセレクトショップ 「マルチェロ(marcello)」を営んでいる。と同時にアーティストとしても活動。アンティーク家具・雑貨の販売だけではなく、フランスやベルギー、イギリスなどで買い付けたの古い家具に、藤井さんのイマジネーションをプラスした木の作品を制作している。今回の展覧会は、それらのアートな木の家具を紹介するものだ。
<写真>無印良品グランフロント大阪での会場風景。
アンティークの椅子やテーブルに、動物や人物などの木の彫刻を加えたり、ランプを添えたり。そうやって詩的な世界をつくり出すのが藤井さんの作品。一つ一つがまるで絵本のような物語を秘めている。木の椅子の上ではアコーディオン弾きが仔馬に向かって音楽を演奏している。よく見れば、椅子の背もたれが彫られて、舞台の幕に。ガラス扉の木のキャビネットの中では、天使が空から降る星くずを、手を広げて受け止めようとしている。
家具に手を加える手法でつくられるのではなく、最初から木彫りの像としてつくられた作品もあり、それらにも幻想的な表現がさりげなく盛り込まれていてハッとさせられる。例えば自然の木の枝ぶりを生かした立派な角を持つ鹿の木彫。良く見ると、その角の中では小鳥の巣が。ひな鳥に餌を持って帰ってきたのか、親鳥と思われる小鳥が巣に留まっている。
三角屋根の白いボックスの丸い窓をのぞくと、そこに並ぶカラフルなグラス。照らされて、グラスのシルエットが壁の絵と一体となり、いくつものグリーンがそこに並んでいるかのような景色が生まれている。照明と影を使った、夢のあふれる見立ての楽しさも、藤井さんの作品の一つの特徴だ。
翼があって鳥みたいに飛べたなら、動物と話ができたなら。子どもの頃はのびのびと空想したことを、大人になったら意識しなくなってしまうもの。けれど藤井さんは言う。それは「見ることをすこしだけ忘れているだけのような」ものかもしれない、と。確かに、藤井さんの作品を見ていると、幼い時に夢見た情景が連想されて思わずほほ笑んでしまう。<写真>藤井健一郎さんは、福岡県生まれ。2002年にmarcello、2004年にアンティーク家具krankを設立。2010年sleepを設立。作品制作・空間プロデュース・舞台演出、音源制作にも携わる。
C・S・ルイスの小説『ナルニア国物語』に出てくる大きな洋服ダンスを思わせる、素敵な仕掛けも。ぜひ大きな木の扉を開けて、藤井さんの世界に浸ってほしい。6月20日からは、クランク・藤井健一郎の作品を購入できるオンライン企画「Aurora by KRANK」もスタートするのでこちらも併せてチェックを。
Life in Art“OSAKA ARTSCAPES 2025” 特別巡回展krank『MOTHER -空想と現実のあいだにあるもの-』展会期/ 開催中~2025年6月29日(日) 開場時間/11:00 - 21:00 会場 /無印良品 グランフロント大阪4F Open MUJI大阪府大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪ショップ&レストラン北館2-4F料金/入場無料公式サイトAurora by KRANK 販売期間:2025年6月20日(金)12:00頃〜7月1日(火)10:00
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