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花と暮らす アイデア 平田倫子 岡本美穂
MASAAKI INOUE

花のプロが教える花と暮らすアイデア4

フローリストの岡本美穂さんと、ベルギーの花器ブランド、ヘンリーディーンを扱うティストゥーの平田倫子さんに聞いた。

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日常の風景にさりげなく素敵に花を飾りたい。そう考える人は多いはず。フローリストの岡本美穂さんと、花屋から支持を集めるベルギーの花器ブランド、ヘンリーディーンを扱うティストゥーの平田倫子さんは、共に海外で修行し花が日常にある暮らしを体感してきた花のプロ。2人に教えてもらった、毎日の暮らしの中で生かせる花を飾るアイデアを紹介する。「エル・デコ」2025年6月号より。

花があることで豊かになるその魅力を伝えたい

花と暮らす アイデア 平田倫子 岡本美穂
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日本では花は贈り物としての需要がほとんどだが、ヨーロッパでは日常の景色に生けた花があるのが当たり前。パリの巨匠フローリスト、ジョルジュ・フランソワの下で経験を積んだフローリストの岡本美穂さんは、ヨーロッパで人々と花との距離の近さを肌で感じた。

「ファッションメゾンから依頼がくるような一流の生花店にも、近隣の住人が日常の花を買いに来たり、近所のお花屋さん的な側面がある。花がとても身近な存在なんです」

ベルギーの花器ブランドを日本で展開するティストゥーの平田倫子さんも、大学卒業後にフローリストを目指しベルギーで修業を積み帰国。そこで彼女が驚いたのは、日本の生花店に花瓶がないことだった。今でこそフラワーショップで花器が販売されているのは珍しくないが、平田さんが日本に戻った27年前は花だけを売る場所で、その花すらガラスではなく業務用のプラスチックバケツに入れられていた。

<写真>「ジュー」のベース( 右から2番目・φ10×H14cm)¥12,760 「ヘンリーディーン」のベース(右から5番目・W11×D6.5×H16cm)¥7,150/共にティストゥー ※他フローリスト私物

花と暮らす アイデア 平田倫子 岡本美穂
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「ベルギーでは、一般の人の家に行って花を生ける仕事も多く、どの家も戸棚を開ければいくつも花瓶が並んでいました。日本でも花を飾りたくなる素敵な器があったら、日常の風景がもっと豊かになるんじゃないかと思ったんです」と平田さん。ベルギー時代に愛用し、輸入することを決めた「ヘンリーディーン」は、日本の住環境に取り入れやすい特別サイズをオーダー。岡本さんをはじめプロに愛されるブランドとなった。

「私は花瓶を選ぶ時に、花をたっぷり生けても受け止めてくれる重さ、花を飾らなくても美しい佇まい、洗いやすさを大事にしています。平田さんが扱う器は、その条件を満たしていて、やっぱり花を生ける側の視点があると感じます」と岡本さんは語り、続ける。「花はその存在自体が美しいもの。堅苦しく考えず、その時自分が素敵だと感じた花を自由に飾って楽しんでほしいです」

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ゲストを招く日は脚付き花器で特別感を

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ゲストを招いてのパーティは、ぜいたくに花を生けてみよう。「花選びの時に洋服を選ぶのと同じ感覚で、同系色でまとめる人が多いと思うんです。でも花は寒色と暖色をミックスしてもまとまるし、むしろ華やかになることも。洋服でできない冒険を花でチャレンジしてほしいですね。もしくは、フローリストに自宅に来てもらって生けてもらうのもおすすめ。お花屋さんをもっと頼っていいんです」と岡本さん。今回はアジサイやフリチラリア、ダリアなど一輪で存在感のある花に、クレマチスなど、茎に動きがあるものを合わせた。

「生ける時は、高低差を意識すると動きが出て、花が生き生きとして見える。花器は脚付きのものを選ぶと、それだけで特別感が増しますよ」と平田さん。

<写真>花器はフローリスト私物

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ハレの日の花を一輪挿しに生けかえる

花と暮らす アイデア 平田倫子 岡本美穂
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集いの日に飾った花を楽しんだ後は、一輪から数本ごとに分けて生けかえると、アレンジメントの時とは違った風景が生まれる。「細い径の花器を選ぶと、茎の位置が固定されてしまうので、初心者には飾るのが難しい。5~10本くらい入る径のもののほうが、汎用性があります」と平田さん。

「生ける時は、器に対して花を1~1.2倍ぐらいの長さと考えて活けるとまとまりやすいです。ただ写真のブーゲンビリアのように、ふちに花がかかるのもかわいいので、飾る花と器のバランスで選んで」と岡本さん。また、花を長持ちさせるコツを尋ねると「花器を毎日洗剤で洗うこと!」と二人。水の中に雑菌が繁殖してしまうので、水を替えるだけでなく器を毎日洗剤で洗うことが重要だ。

<写真>「ヘンリーディーン」創始者の孫が立ち上げたブランド「ジュー」の花器。(右から2番目・φ10×H14cm)¥12,760 (右から3番目・φ8×H23cm)¥12,100/共にティストゥー ※他フローリスト私物

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枝物を1本で生ける

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生花に比べて長持ちする枝物は長く花のある暮らしを楽しみたい人にぴったり。植物の種類にもよるが、枝の重さを支えてくれる器を選ぶことが大切だ。「『ヘンリーディーン』のぽってりとした厚みは、しっかり枝を支えてくれます。力強いガラスに負けない、パンチがあるグレビレアを選びました。枝が分かれているものを選ぶと1本でもボリュームが出せますね」と岡本さん。

大きな器はしまう場所に悩んでしまいそうだが、二人は「飾っていない時も絵になる、オブジェのような器を選ぶこと」を勧める。「何も入れずインテリアとして置いてもいいし、日用品を入れて使ってもいい。もちろん水場も大丈夫ですから、私は洗面台で小物を入れたりしています」と平田さん。

<写真>東欧の吹きガラスの技術を生かした「ヘンリーディーン」のコレクションライン。アートピースのような存在感を放つ。(W18×D11×H32cm)¥110,000/ティストゥー

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同じ花5本だけで生ける

花と暮らす アイデア 平田倫子 岡本美穂
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「 同じ花だけで生けるのは、やっぱりまとまりやすい。だからまずお花屋さんで気に入った花を5本買うことから始めてみてほしいです!」と岡本さん。今回選んだバラは季節問わず花屋で見かける花だが、初夏に旬を迎える品種も多い。咲いているものだけでなく、つぼみや葉のついた茎をアクセントにすることで、単調にならず、グッと花の個性が際立つ。

「岡本さんのように花の高さに高低差を出して生けてもいいし、茎が柔らかくて花が垂れるチューリップなどは、動きが出るので高さをそろえて飾っても素敵に見えますよ」と平田さん。花器は岡本さんが富山のガラス作家、岸本耕平さんとつくった“モニ”。ふくよかな女性をイメージ源にした有機的なフォルムが特徴。

<写真>“モニ”。ブラックは4月に発売になった新色。(約W16×H20cm・口径φ8.5cm)¥31,680/モニフラワーベース

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教えてくれたのは...

花と暮らす アイデア 平田倫子 岡本美穂
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平田倫子
ヨーロッパの花器や照明、家具を扱うティストゥーの代表。大学卒業後にドイツやベルギーのフラワーアーティストの下で修業し、帰国後に会社設立。2024年ベルギー王国大使より王冠勲章シュヴァリエ章を授与される。

岡本美穂
フローリスト。マミフラワーデザインスクールで学んだ後、生花店などを経て独立。2012年に渡仏し、パリでジョルジュ・フランソワに師事。展示会などの装花やディスプレー、広告撮影のスタイリングを手掛ける。


Photo:MASAAKI INOUE

Flower Styling:MIHO OKAMOTO

『エル・デコ』2025年6月号

『エル・デコ』2025年6月号
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