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アトリエマティック
Hirotaka Hashimoto

【ルームツアー】悩みながらつくり続ける、アトリエマティックの温かな住まいと仕事場

デザイナーユニットがつくり上げた、アトリエ兼住居を訪ねた。

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夫婦で活動するアトリエマティックの2人が郊外に自邸を建てて2年が過ぎた。快適な家と仕事場を求め、作品制作のような家づくりが進行している。「エル・デコ」2025年4月号より

空間をポジティブに彩る──アトリエマティックがエル・デコ ショップに登場

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Hirotaka Hashimoto

自然が残る多摩地域の住宅街に2022年末、一軒家を建てたアトリエマティックの外山翔さんと妻の岩田麻希さん。アトリエマティックは空間デザインに加え、石や土、アクリルなどを用いた作品制作も行うデザインスタジオ。2020年から岩田さんが外山さんの仕事を手伝うようになり、「生活と仕事を一緒にやっていきたい」と思うようになったことが、家を建てるきっかけとなった。

<写真>自分でつくれるものはつくってしまうのが外山さん流。ダイニングテーブルはラワン無垢材の脚にクスノキの一枚板を組み合わせたもの。ランプシェードも自作。

床も壁も夫婦で施工する暮らしながらの家づくり

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「この土地には特別な縁はないのですが、広い場所が確保できたことなど、いくつかの条件に合致したので購入しました。設計や施工は、ますいいリビングカンパニーという工務店を兼ねた建築設計事務所にお願いしたのですが、ここはセルフビルドを取り入れた家づくりを得意としている会社で、建材などの持ち込みも可能。できるところを自分たちでやることで費用を抑えられるのも魅力でした」と外山さん。

<写真>アトリエ側から吹き抜け階段や小上がりスペースを見渡したところ。階段の4段目までを土間と同じモルタル仕上げにしたのは当初ここに、まきストーブを置く予定であったため。

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1階は2人が作業するアトリエと、デスクワークや作品などを展示収納する小上がりエリアで構成し、2階は小学生の息子との生活スペースにと大枠のプランを考え、設計士とやりとりを重ねて家づくりを進めた。

<写真>愛犬テトが駆け回るリビングスペース。パストーのサイドボードの前に置かれたスツールとローテーブルも外山さんがデザインした。

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<写真>階段の踊り場には家族の本棚がある。この真下の空間はシューズクローク。階段の手すりはまだ錆止めの塗料を塗っただけの状態だ。

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「1階のアトリエは靴のまま入れるようモルタル仕上げの土間に、小上がりエリアの床にはリノリウムを自分で張りました。2階は20畳ほどのLDKから寝室まで、全てオーク材の浮造りのフローリングです。涼しい家にしたかったので、リビングはあえて北側に、寝室を南側に配置しました」

<写真>小上がり側から土間のアトリエを見る。引き戸を設けて、空間を仕切れるようにしている。突き当たりに見えるのはアトリエと駐車場をつなぐ引き戸。この引き戸も住み始めて5カ月たってから塗装した。階段の床材にはクリの無垢材を採用している。

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什器の製作も自身で手掛けているので、キッチンと洗面も夫婦で製作。床や壁など、できることは自分たちで行った。

<写真>キッチンも外山さんのデザイン。天板にはブラジリアンカシミールという御影石を採用。面材のリノリウムは自分たちで張り込んだ。壁面のタイルは2024年末にようやく張ることができた。





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<写真>以前はコーヒーの仕事をしていた麻希さん。コーヒーミルや電気ケトルはキッチン横にそろえる。











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<写真>洗面台は自分たちで流し込みや削り出しを行って製作。











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「2階の壁と天井は漆喰仕上げ。天井は左官屋さんに任せましたが、壁は下地から自分たちで塗りました。住みながら少しずつ作業したので、なかなか進まなくて。外構や植栽にもこだわり、1年目は庭いじりにはまっていました。キッチンのタイルは先日張ったばかりなんです」

<写真>小上がりのスペースに置かれた棚には、京都の左官職人・三谷涼とのコラボレーションによる「版築」の作品やテラゾーの作品などを収納。 

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時間はかかっても、アトリエの環境が整い制作にも良い影響を与えている。「お湯の出る作業場が夢だったのでうれしい。以前の仕事場は冬は寒く、夏は暑かったのですが、今は本当に快適になりました」と岩田さんはほほ笑む。

<写真>南向きの窓から光が入る、小部屋のような空間。主に岩田さんが樹脂の作業などを行う。





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この先は寝室やアトリエ前のカースペースなどに着手予定。今後、この家がどう成長していくか楽しみだ。

<写真>ガラスのコップに小さな石を付けた作品「floating stone(フローティング ストーン)」。 

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設計/ますいいリビングカンパニー 町田分室 
敷地面積/339㎡
構造/木造2階建て           
延床面積/193㎡ 1階/108㎡ 2階/85㎡
家族構成/夫婦+子ども1人+犬1匹



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ATELIER MATIC

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Hirotaka Hashimoto

2012年に外山翔が設立。店舗設計や会場構成などの空間デザインを手掛けながら、大理石や鉱物、土などの自然素材とアクリルや樹脂などを使用した作品を制作。2020年から岩田麻希も加わる。近年は秋保石を広める活動も行う。

公式サイト





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