記事に移動
daft about draft no15 山下 泰樹
Hearst Owned

椅子の原型を追求した新作チェア 「DAFT about DRAFT」の“No.15”

家具から都市空間まで幅広い分野で活躍しているデザイナー・建築家の山下泰樹が新作チェア“No.15”を発表した。目指したのは“椅子の原型”だ。

By EMI UEMOTO

デザイン会社DRAFTを率い、家具から都市空間まで幅広い分野で活躍しているデザイナー・建築家の山下泰樹。「DAFT about DRAFT」も手掛ける彼が、新作チェア“No.15”を発表した。目指したのは“椅子の原型”だという。

daft about draftの「no15」

「デザイナーなら、生涯に1つでいいから椅子の原型と言えるものをつくってみたい。椅子は4本の脚と座面、背板など限られた要素で構成されているがゆえに、ごまかしがききません。椅子の原型をつくることは、26文字のアルファベットに新たな1文字を加えるような作業だと思うんです」

背板のラタンが軽やかさを添え、モダンでありながらトラディショナルな雰囲気も感じさせる。体にフィットするよう座面を丁寧に削り出し、小ぶりであるがゆったりとした座り心地を実現した。

「まずは曲線だけで構成された椅子をつくろうと思いました。限られたパーツの組み合わせで全方向から見て美しい造形を追求するのは至難の業ですが、座りやすさを追求していくと、自ずと美しいシェイプになるんです」

daft about draftの「no15」

山下は建築やインテリアを多数手掛けているが、プロジェクトに合う椅子をどんな基準で選ぶのだろうか。

「空間を支配するわけではないけれど、雰囲気をつくる要素として役立つ、それがいい家具だと思っています。特に椅子選びは、映画のキャスティングと似ていると思うんですよ。空間と調和するのは大前提だけれど、ほどよく個性は欲しい。ラウンジチェアなら彩りも、といった具合ですね」と山下。“No.15”はシンプルな造形の中に、かわいらしさや優雅さなど多彩な顔を持つ、まさにキャスティングに応えてくれる一脚だ。

<写真>“No.15”の名は15番目に描いたスケッチに由来する。ラウンドする背板が体を優しく受けとめ、包み込まれるような座り心地を実現している。軽量で持ち運びも容易だ。フレームカラーはブラック、ブラウン、ナチュラルの3色展開。“No.15”(W50.5×D50×H80.5×SH43.5cm)¥169,950/DAFT about DRAFT

ADの後に記事が続きます
daft about draftの「no15」

椅子の原型の追求は「難しいけれど面白かった」と言う山下に、次にデザインしてみたいものを尋ねると「照明」との答えが。新たな挑戦の成果が今から楽しみだ。

<写真>「曲木と削り出し、それぞれの高い技術を持つ作り手が日本で見つかり、この形に辿り付くことができました」と山下。


Taiju Yamashita(山下 泰樹)
デザイナー・建築家

1981年東京都生まれ。2008年にDRAFT設立。「空間は人を中心にデザインされるべき」という思想を掲げ、建築設計からインテリア、家具などのプロダクトデザイン、ブランディングまで幅広い領域で活動している。

Page was generated in 8.3825531005859