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エルデコ8月号
Hearst Owned

ニューヨークで注目を浴びる、永田絵梨子の花の世界

フラワーデザイナーの永田絵梨子に、トップメゾンとのプロジェクトに至るまでや花への想いを聞いた。

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トップクリエイターが切磋琢磨する街、ニューヨークで活躍するフラワーデザイナー・永田絵梨子。余白を持つ花が好評を博している。

「エル・デコ」2024年8月号より

初めてのニューヨークで自分の可能性に気付いた

フラワーデザイナー フラワーアレンジメント 永田絵梨子 インテリア エルデコ 8月号
HIROSHI ABE

フラワーデザイナー・永田絵梨子がニューヨークで起業したのは約8年前。現在クライアントにはグッゲンハイム美術館やニューミュージアムなどの美術館、「ディオール」や「ロエベ」などのメゾンの名が並ぶ。高い創造性を求めるクライアントばかりだ。


永田絵梨子
兵庫県出身。花の建築家とも称されるダニエル・オストの作品に感銘を受け、花の道へ。ザ・リッツ・カールトン東京などを経てヨーロッパで活動。2016年、ニューヨークで起業。

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東京やパリでキャリアを積んだが、起業はニューヨークで、と決めた。

「初めてニューヨークを訪れ、建築やインテリアを見た時に、現代的なものと伝統的なものがあって、それらが融合されているのが面白く感じました。ただ、花に関してはクラシックなアレンジが多く目に付き、そうではない自分のスタイルはチャンスがあるんじゃないかと感じたんです」

<写真>スタジオはマンハッタンのフラワーディストリクトにも近い場所へ、5月に移転したばかり。テラスからはエンパイアステートビルも眺められる。

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渡米前には改めてパリへ赴き、約1年かけて自分のクリエイティビティを最大限に表現するポートフォリオを作成した。「シャネル」や「エルメス」などトップメゾンとの仕事で経験を積んだほか、自分のスタイルを徹底的に追求した作品を写真に収めるため、フォトグラファーと協働して撮影するなど精力的に行動。2016年に満を持してニューヨークへ。一緒に仕事をしたいと思う会社へ連絡をとった。

「ほぼ何のコネクションもなかったのですが、この街の素晴らしいところは、来たばかりのフローリストへも門が開いていたこと。1カ月もしないうちにファッションウィークの『ザ・ロウ』のショーで植栽を担当することになりました」

<写真>「クリスチャンディオール」協賛のニューミュージアムのガラパーティ。ディオールの食器類に合わせて花をデザインした。

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くしくもテーマは「イサム・ノグチ」。彼女が最も尊敬するアーティストだった。「日本的な感性にモダニティが融合されているところが素晴らしい。日本人のルーツを持ちアメリカで活動された、僭越ながら自分の指標ともしたい方です」

ノグチの作品に貫かれる精神性とミニマリズムは彼女の花の表現にも通じるところがあるかもしれない。左右非対称で、花と花の余白が際立つアレンジメントは、彫刻的とも見てとれる。「儚いものが好き。花はいつか死んでしまうものですが、その瞬間を残したいと思います」という優美さを携えた無常感が彼女の個性として、作品にも生かされている。

<写真>イサム・ノグチ財団・庭園美術館で開催された、ロエベ財団クラフトプライズの発表の際の花を手掛けた。

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「今、花はゴージャスに足していくというよりは引き算のアレンジがトレンド。日本の生け花の伝統からすると、私の作品はミニマルではないかもしれませんが、こちらではIKEBANA的と称されることも多いです」

花材はできるだけ旬のものを使い、最近は環境にも配慮してなるべく廃棄物を出さない仕事の仕方も心がけている。四季に対する感覚の豊かさと、自然を敬愛する繊細な感性は特に海外ではアドバンテージとなり、活躍の場も増えそうだ。

<写真>クライアントワークとは別に、スタジオで作品撮りを行うことも。

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<写真>ニューミュージアムにてアーティストのジョージ・コンド、ミカリーン・トーマスをイメージした花の装飾。解体作業は花材を肥料にしてくれる業者を選び、再生可能な素材を多く使った。


Photos : HIROSHI ABE(portrait, studio)
Text : AKIKO ICHIKAWA






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