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藤田京子先生 フラワーセッション
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フローリスト・藤田京子さんが提案する、フランス・フラワーデコレーションの旅

フレンチスタイルのフラワーデコレーションの先駆者、藤田京子さんが今年5月、ノルマンディとパリでフラワーセッションを開催した。

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藤田さんは、まだ日本でフラワーデコレーションが認知されていない1988年にフランスに渡り、フランスのフローラルデコレーション界の巨匠ジョルジュ・フランソワさんの元で修行した。その後、首相公邸や高級ブランドのガラなど華々しいイベントのフラワーデコレーションを担当。フレンチスタイルの第一人者と呼ばれている。

現在は東京・南麻布でフラワーサロン「レフレシール」を運営。京都でも定期的にレッスンを開催している。“レフレシール”とはよく考えるという意味だが、自分が考えてきたことをよく考えて花を表現したいという思いと、時間に追いたてられる日常でも少し立ち止まって考えてみて欲しいという思いとが込められているという。

インテリアのトレンドとリンクするフラワーデコレーション

フラワーデコレーション

風や香りを感じさせるフラワーデコレーションで空間に生き生きとした美を添えてきた藤田さん。

「フラワーデコレーションはインテリアの一部。インテリアの流行とフラワーデコレーションはリンクしています」

藤田さんが初めてフランスに渡った時、花のトレンドは、丸いブーケであり、花だけではなく野菜も使うことが大流行だった。当時、日本はまだピンクの薔薇くらいしかなかった時代だ。2000年代になると野の花を使った田舎風のシャンペットル・スタイルが一世を風靡。ナチュラルであまり作り込まない傾向になったという。

「エキゾチックな花材を使ったZENスタイルも流行りました」。これは、直線的な竹のような植物でミニマルにまとめるスタイルだ。現在はシャンペットル・スタイルが発展し、「以前の田舎風よりカラフルに、ドラマチックになった印象です」。パリに行くとディオール本店を訪れる藤田さんだが、そのフラワーデコレーションはナチュラルであり、彩りが華やかだったのが印象的だったという。

フラワーデコレーションは小さなモノでなく空間でとらえる

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藤田さんはこれまで師匠のジョルジュ・フランソワさんを日本に招聘してフラワーセッションを開催してきたが、今回開催したのは逆にフランスに生徒を連れて行くスタイル。生徒には、「アレンジメントという小さなモノではなく、デコレーションの一部なので、空間や背景を広い感覚で捉えて欲しい」。だからこそ、実際にフランスを体験することに大きな意味がある。

「私は現場主義なんですね。現場に行かないとわからないことがあると思っています。やはりフランソワさんがいつもいるところで彼のお花を見てもらいたいと思いました」

セッションには、光も風も匂いも違う国にきて、ただ見るだけでなく、自分の手を動かして体験することに価値を見出している人々が集まった。

<写真>フラワーセッション中のジョルジュ・フランソワさん。

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ノルマンディの由緒ある城でのロマンチックなセッション

フラワーデコレーション

最初のセッションはフランス北部ノルマンディ。かつて高級手織りレースで知られたアランソン近郊の城シャトー・ド・サン=パテルヌで、2泊3日で開催した。フランス王アンリ4世も滞在したという15世紀に建てられた由緒ある城だ。デコレーションの講師を務めるのは、藤田さんの師匠フランソワさん。フランソワさんのデコレーションはクラシカルでエレガントなのが持ち味だ。

セッションではキャベツに、薔薇、スイトピーなどの可憐な花をさし、赤いベリーのラズベリー、いちごを飾った。エレガントで、同時に田舎の素朴さも感じさせるアレンジメントに仕上げた。

フラワーデコレーション

ワークショップでフラワーデコレーションを学んだ後は、生徒たちが制作したアレンジメントをテーブルや暖炉の上に飾ってランチ。午後もワークショップを続け、同じく作品を飾ってディナーを堪能した。エレガントに飾られた花々がクラシックな城のインテリアに映えてロマンチック。初めてのノルマンディの田舎、そして、中世の城のたたずまいに、生徒たちはとても感動した。








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フラワーデコレーション

<写真>石造りの壁と木枠の窓辺に、野の花を集めたようなデコレーションが映える。












藤田さんのパリのアパルトマンで、セッションを開催

フラワーデコレーション

次のランチョン・セッションはパリにある藤田さんのアパルトマンで開催された。セーヌ川に面した一等地だ。ここではフランソワさんの弟子で、ダリアの生産者でもあるデコレーターのアルマン・ワグネルさんと、同じくデコレーターのアリックス・オビルヌさんが講師。彼らによって飾られたフラワーデコレーションに囲まれて、芍薬、薔薇などフランス産の花だけを使用したパリらしいフレンチシックな飾り方を学ぶ1日だった。

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藤田さんはアリックスさんのテーブルデコレーションに惚れ込んで、今回の講師と飾り付けを依頼した。

「パリのフラワーデコレーションのトレンドが、野趣のある大胆なもの。それにノルマンディで田舎を感じてもらったので、パリでは逆に、都会のパリから見た“田舎”をイメージするように、テーマは“パリの中にある田舎のテーブル”に」と藤田さんはリクエスト。

フラワーデコレーション

<写真>テーブルの上は小さな森と可憐な花畑のようなデコレーションで飾られた。

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食器類は、アリックスさんの私物。食器は、「マニュファクチュール デ エモー ドゥ ロンウィ」の“上海”モデルと、カトラリーはアリックスの祖母のイニシャル入りの「クリストフル」。ともにフランスを代表する老舗メゾンの一級品が使われた。

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ランチは、パリ近郊の山下農園から取り寄せた野菜を使った1つ星店「フルール・ド・パヴェ」のケータリング。山下農園の野菜は希少で高級店でも入手が難しいが、藤田さんが山下さんに頼んで実現した。藤田さんのコネクションの力がなせる技だ。野菜がメインの、彩りも爽やかな料理が並んだ。

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ノルマンディとパリでのセッションは大好評。パリのセッションではアパルトマンまで自分で来てインターフォンを押して中に入るというパリの日常も味わった。参加者は「夢のようだった!」と大満足。フランスから戻ったら、参加した生徒たちのフラワーデコレーションの腕が格段に上がったという。

「言葉ではなかなか通じない部分を実際に行ってみて感じることが重要なのだと思いました」

次回の開催を待ち侘びる声も多い。

<写真>藤田さんのアパルトマンの窓からノートルダム寺院が見える。

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海外でのセッションはオーガナイズが煩雑で苦労も多いが、藤田さんは生徒たちの笑顔を思い浮かべて、「また機会があれば」と次回の開催に心が動かされている。

<写真>左から、デコレーターのアリックス・オビルヌさん、藤田京子さん、デコレーターのアルマン・ワグネルさん。

公式サイト






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