空間を格上げする「天井」リフレッシュのアイディア20

この洗練されたパントリーで、見る者の視線を釘付けにするのは、ロンドンを拠点とするデザイナー、ベアタ・ヒューマンによるグラフィカルなモチーフ。空間全体をまとめ上げるために、デザイナーのアレクサンドラ・ケーラーは、このカラフルなパターンとグリーンのキャビネット（色は「ベンジャミンムーア」の“エセックス・グリーン”）、それから「タイル・バー」で購入した光沢のあるモザイクでしつらえたバックスプラッシュを組み合わせた。

アレクサンドラ・ケーラーは、「シカゴ・オーナメンタル・プラスタリング」と手を組み、この天井のためにしっくいを用いたメダリオンをデザイン。全てハンドメイドの製品だ。「インスピレーション源は、タンポポの綿毛に息を吹きかけた瞬間です」と彼女は言う。「ジュリー・ネイル」でカスタマイズした“マルティーニ・2-タイヤ・シャンデリア”との相性も完璧。

好きな壁紙があれば、それを全面に貼ろう。このキッズルームでは、ヘリングボーン柄の壁紙が壁から天井まで貼りめぐらされ、扱いが難しそうなコーナー部分も巧みに演出されている。

「ラスティックでモダン」。コートニー・ビショップがデザインした軽やかなリビングでは、この2つの言葉が見事に融合している。白く塗られた天井が無垢材を使った梁に視線を集め、この空間をさらに魅力的なものにしている。

「縁取り部分、とりわけ壁と天井の間をペイントするやり方は、部屋全体にスパイスを加えたい時におすすめです」とアニー・スローン。ここでは、マントルと天井、縁取りには白を使って、壁やドアと対照的に仕上げ、インパクトをもたらした。「予算が限られているのなら、ペンキを使うのが一番。安価でも十分個性を表現することができますよ」

部屋にテクスチャーが足りないのなら、天井の全面に木材を張り込んでみよう。空間に深みと温もりをもたらすことができる。明るい色でまとめたニュートラルなシーティングエリアとのコントラストを生む効果も。

「天井にベニア板を使うと、雰囲気があたたかくなり、写真のようなグルーブの効いた部屋には、刺激がもたらされます」と、リンフレットLtdのデザイン部門を率いるシンディ・リンフレットは言う。シェブロン柄のフローリングに光沢があるブルーの壁、天井を彩るソフトなグリーン。家主がこの部屋を「ディスコ・ルーム」と呼ぶのも納得できる。

ニューヨーク州ウェストチェスターにあるチューダー様式の家。写真のダイニングルームは、天井にシャンパンを思わせる艶と装飾的なしっくい飾りを加えることで、ラグジュアリーに装いを変えた。クリスタルのシャンデリアを少しだけ暗くして点灯すると、空間にドラマチックな表情が生まれる。

高いアーチ型の天井が目を引くのは、リンフレットLtdがデザインしたマンハッタンのセカンドハウス。建物の竣工は、戦前だ。この空間の魅力は「長く仕上げたガーデンによって高められています。そしてラグを彩るパターンが全体のカラースキームを引き締めています」とシンディ・リンフレットは言う。

「このサウザンプトンの家では、シンプルでエレガントな壁パネルが天井まで続いています。色もソフトなホワイトで統一されていますね」とデザイナーのヤング・フーは言う。「リッチな風合いのダークウッドと明るい色の組み合わせを使えば、さわやかであると同時に魂の通った空間が完成します」。さらに天井と壁はオールホワイトを徹底することで、圧迫感を与えかねない傾斜した天井でも軽やかな印象が期待できる。

ポルトガルの建築にインスピレーションを得たデザイナーのニナ・ファーマーは、リサイクルした木材をダイニングの梁として使用。「この家が積み重ねてきた時間を考えると、新しく取り入れた梁には『ずっとこの場所にあった』という空気をまとってほしいと思いました」と彼女は言う。これを叶えるため、天井を深みのある黒色でペイント。梁には手作業で模様をつけた。

このマスターベッドルームの壁はソフトピンク、天井には深紅が使われている。デザインを担当したニナ・ファーマーに着想源を与えたのは、モロッコへの旅だった。ダークウッドとライトな色の木材の組み合わせが、居心地のよい雰囲気を強調する。「彩度の高い色で天井を塗るのには勇気がいりますが、実際に仕上がってみると温かく、包み込まれるような感覚が生まれます」とファーマー。

ニューヨーク州アマガンセットに立つこの家のアルコーブを見てみてほしい。ラグジュアリーでありながら親密な空気感に大きく貢献しているのは、家具と壁に用いられたリッチなブルーだ。「ドラマチックな壁紙が貼られた天井により、私たちが意図していたような洗練された部屋をつくり上げることができました」とデザイナーのアリシア・マーフィーは言う。壁紙は「ザック＋フォックス」のもの。これを彩るパターンについてマーフィーは「複雑でクール」とコメント。「この天井は、彩度の高いブルーの塗料、それからソファの張り地と調和しています」

壁と天井の間を帯状に覆う王道のクラウンモールディングもすてきだけれど、部屋をリフレッシュしたいなら、もう少し複雑なデザインの方が役に立つことも。「インスピレーション源は、美しく生地が張られた白い壁。これを起点に、この部屋の周りを飾るデザインをつくり上げました」と言うのは、デザイン会社ミラードのデザイナー、エヴァン・ミラード。彼は、フラー・アーキテクチュラル・パネルズと組んでこの縁取りを完成させた。

このドリーミーな3Dアートは、ダムール・ドレイクのデザイナー、マリリン・ダムールとファイバー・アーティストのシエナ・マーツによるコラボレーション。イメージしたのは、日本の森の中での「森林浴」。自然とつながる感覚を味わってほしい、という思いを込めた。

グレーで統一されたリビングでも、天井の全面にモールディングを施し、腰壁にも同様に立体的なモチーフを加えれば、華やかにアップグレードすることができる。ブラック×ホワイトのラグとテーブルに飾られたクリスマスツリーが祝祭気分を盛り上げる。

サンルームを一変させたのは、エメラルドグリーンに彩られた木製の天井。開口からの借景を見事に引き立てている。藤編みのチェアや木製のパネルから、燭台を模したシャンデリアまで、さまざまなテイストのインテリアアイテムの中で、アクセントとして見事に機能している。

キッズルームでも、「5つ目の壁」の存在は忘れないで！　このデザインをみると、天井をグラフィカルな壁紙で覆うだけで視線を集められることがわかる。壁やベッド、そのほかのデコレーションにも同系色を使うことで、統一感を出そう。

ストライプは、部屋を実際より広く見せてくれるクラシックなパターン。好きなカラーパレットと、イメージに合うストライプのデザインを選ぼう。ストライプを手描きするのもおすすめだ。

ア・ビューティフル・メスのブロガー、ラウラ・ガンマーマンは、天井にウェルドテックス（仕上げに使う木材、ミッドセンチュリー家具に使われることが多かった）の合板を採用。グレー部分が2色に塗り分けられているように見えるが、これは目の錯覚。パネルの木目を交互に直交して貼ると光の加減で市松柄に見えるのだ。