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トップデザイナーに聞く、キッチンデザインでやってしまいがちな11の失敗

理想のキッチン作りを目指すなら、要チェック!

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bertoia stools at counter in contemporary kitchen
Andrea Rugg//Getty Images

夢のキッチンをデザインすることは、簡単なことではないだろう。キッチンの改装をする場合でも、1から新しいキッチンを作る場合でも、キッチンのスタイルやキャビネット、家電製品、照明、汚れ止めパネルなど、たくさんある選択肢の中から最適な1つを選ばなければならないし、一見小さなディテールでも、見落としていたり、間違った選択をしてしまうと、その“失敗”は後から修正することができないかもしれない。

さらに、キッチンが家庭や日常生活に溶け込むようになると、真っ白なキッチンやさまざまな色を使ったキッチン、モダンなキッチン、あるいは小さなキッチンなど、自分のスタイルを反映した調理スペースがより重要になる。

キッチンに自分の好きなデザインスタイルを自由に取り入れ、細かいディテールでさえもこだわることで、そこに住む全員が大切にする機能的で美しい空間を作れるはず。

今から紹介するこれらのヒントを参考に、自分のキッチンを見直してみて!

US版「ベランダ」より。

選択肢を検討せずに、白一色のキッチンを選ぶ

sommers kitchen paint colors veranda
William Waldron

「白を基調としたベーシックなキッチンでは物足りない! 家の他のエリアと同じように、さまざまな素材や色を重ねてダイナミックなスペースにしてみてください」—フランプトン・カンパニーのエレナ・フランプトン

「私は、ダークでムーディなキッチンと、黒と白の組み合わせが大好きです。黒と白は最もクラシックな色で、組み合わせるとラグジュアリーで上品な雰囲気に仕上がります。あるいは、『デクトン』の“スペクトラ”のような高光沢なカウンタートップや黒いキャビネット、家電製品をダークなカラーで取り入れるのもいいでしょう。その見た目は、驚くほど豪華になります」—コンター・インテリア・デザインのニナ・マゴン

四季を考えずに、屋外キッチンをデザインする

trex outdoor kitchen
Steven Paul Whitsitt Photography

「屋外のキッチンをデザインする際は、四季を通じてどのように機能させるかについて考る事が大切です。一年中使えるアウトドア空間をデザインする上で、最も見落とされている要素のひとつが、選ぶべきキャビネット。パウダーコーティングされたステンレススチールのキャビネットは、どんな天候にも耐えられるように設計されており、冬場でも使用することができます。また、丈夫なキャビネットだけでなく、このピザ釜のような設備もあればより充実したアウトドアでの食事が楽しめるでしょう。ホリデーシーズンを迎えるにあたり、このスペースを作ることで、ゲストを招いてのアウトドアパーティもより盛り上がるはずです」—エヴェット・リオス

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小さなディテールを見逃す

kips bay dallas 2020 decorator show house
Stephen Karlisch

「光沢のある塗料、あるいは壁紙を追加するなど、天井にも手を抜かないようにしてください。また、キャビネットの取手もこだわって選ぶようにしましょう。そうすれば、全体のキッチンのスタイルと雰囲気を高め、より特別な空間になります」 —チャド・ドーシー・デザインのチャド・ドーシー

「アイランド型のシンクは、コンロの真向かいに配置しないようにしてください。誰かが料理をしているときに、別の人がシンクを使っていると、混雑の原因になります」—イエローハウス・アーキテクツのエリザベス・グラツィオロ

複数人で料理をする状況を想定していない

whealon kitchen paint colors veranda
William Waldron

「一般的なキッチンのレイアウトは、シンクの近くにメインの調理スペースが1つあり、複数の人が料理をしたりその準備をしたりすると混雑してしまいます。パンデミックを通して、カップルや友人、家族が家で料理をすることが増えた今、料理を準備したり、調理したりするスペースを広く設けることが重要です。もし余裕があれば、今あるシンクに加えて2つ目の小さめのシンクを追加し、コンロの近くにもっとゆったりとしたカウンタースペースを設けることを検討するといいですね」—マリカ・メイヤー・インテリアズのマリカ・メイヤー

「バースツールを一列に並べるのではなく、向かい合わせにしたり、カーブを描くようにキッチンをデザインしてみるのもいいでしょう。カーブを取り入れることで、会話の流れもよくなります」—ジリアン・シーガル・デザインのジリアン・シーガル

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キッチン上部のキャビネットは必須と考える

dekton kitchen
Dekton

「ほとんどの人は、収納スペースがなくなることを心配して、キッチン上部にキャビネットを設置したくなります。私だったら、代わりに引き出しの下に多くの収納スペースを作り、カウンターの上にはスチールや真鍮で作られた宝石のような特別なものをデザインしたいですね」 —チャド・ドーシー・デザインのチャド・ドーシー

「キッチンの上部に設置されたキャビネットは高い位置にあるため、機能的ではありませんし、見た目にも圧迫感を与えてしまいます。代わりに、簡単にアクセスできるアイランドキッチンやシンク下、通常のキャビネットなどで収納スペースを最大限に活用することをおすすめします。また、上部のキャビネットを設置しないことによって、スタイリッシュなデザインの汚れ止めパネルを際立たせたり、アートを飾るスペースも確保でき、よりデザイン性の高い空間に仕上がります」—コンツアー・インテリア・デザインのニナ・マゴン

適切な大きさのキャビネットを設置しない

mcmillen kitchen paint color veranda
Annie Schlechter

「キッチン上部のキャビネットは、大皿が入る大きさであるかどうか確認してください。30センチほどの大皿が入らない場合が多いことに驚く人も多いでしょう」—イエローハウス・アーキテクツのエリザベス・グラツィオロ

「キッチンの天井の高さが、約3メートル未満である場合、キッチンキャビネットは、天井まで届く高さのものを選ぶようにしましょう。天井との間に微妙な隙間ができると、見た目もすっきりせず、そこがデッドスペースになってしまいます」—リドゥ・ホーム+デザインのロリ・パランジャペ

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自分のライフスタイルに合ったニーズを考えていない

chad dorsey modern kitchen
Stephen Karlisch

「クライアントと一緒に仕事をするとき、私はクライアントがどのように料理をしたり、キッチンを利用するのか、深く掘り下げて考えます。すでにあるキッチンに何があるのかを細かくチェックし、新しいキッチンに必要な収納スペースを決めます。そして、カトラリーや食器、ラップなど、それぞれの用途に合った引き出しやキャビネットをデザインしていきます。最終的には、このプロセスによって、引っ越し時にはすべてが整理され、レイアウトされた状態で各アイテムを配置することができます」—チャド・ドーシー・デザインのチャド・ドーシー

「“日常”という現実を忘れてはいけません。私たちはいつも、住みやすさと優れたデザインがいかに両立できるかを話し合っています。毎日の習慣を考え、具体的な収納方法を計画し、すべてのアイテムが収納できる場所を確保しましょう」 —フランプトン・カンパニーのエレナ・フランプトン

「イメージやインスピレーションだけでなく、自分のニーズや求めているものが何なのか、よく考えてみてください。例えば、さまざまなキッチンガジェットが大好きで、毎日のように使っているのなら、すぐに取り出せるような十分な収納スペースを用意しましょう。他にも、パスタを作るのも食べるのも好きなのであれば、いろんな種類のパスタをディスプレイするように飾るスペースや収納方法を見つけてみるのもいいアイデアだと思います。“理想のキッチン”とは、トレンドを全て詰め込むのではなく、あなたのライフスタイルに何がふさわしいかをよく考え、取り入れることです」—モーリーン・スティーブンス・デザインのモーリーン・スティーブンス

個人のスタイルよりも再販価値を重視する

decorating with antiques
Nickolas Sargent

「再販価値を考慮したデザインについてよく質問されますが、美しい家は必ず売れます。誰もがその美しいデザインを作る創造力を持っているわけではありませんが、人々はインスピレーションに満ちたデザインにお金を払うものです。キッチンにあるステンレススチールの家電製品に嫌気がさしているのなら、大胆なデザインや色のコンロを追加して、フォーカルポイントを作ってみてください。私は、「ベルタゾーニ」の赤、黄、オレンジの色から選べる“プロフェッショナルシリーズ”のコンロや、自分の家に設置したばかりの“ヘリテージシリーズ”のコンロのようなクラシックなスタイルが大好きです」—ローリー・マーチ・ホームのローリー・マーチ

「木製のキャビネットや、編んで作られたバースツールなど、キッチンに何らかの質感を追加してみてください。私は他の家のキッチンをたくさん見ていますが、立体感がなく冷たい雰囲気のものをよく見かけます」—JDPインテリアズのジョイス・ダウニング・ピケンズ

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照明の優先順位を下げる

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Arnona Oren

「デザイン性を重視した照明器具を取り入れるのは、勇気がいるかもしれません。でも、一度設置すると、すぐにキッチンの中でお気に入りの要素になるはずです。特におすすめなのは、「アーテリアズ」の“アパラタス・スコンス”。光の演出に意外性を持たせ、ロマンティックな雰囲気と温かな光を与えてくれ、空間のアートピースとしても機能します」—ライアン・サギアン・インテリアズのライアン・サギアン

「大きい照明を避けないでください。大きなアイランドキッチンに反比例して小さなペンダントライトが吊り下げられているのをよく見かけますが、これは全体のバランスに違和感を持つだけでなく、デザイン性をグッと高めるペンダント照明を取り入れる絶好の機会を逃すことになります」—ティファニー・リー・デザインのティファニー・リー・ピオトロウスキー

「キッチンの照明の選択を間違えると、空間全体に大きな影響を与えることがあります。具体的には、埋め込み型の照明を付けすぎるという失敗です。明るさを重視するあまり、埋め込み型の照明をたくさん設置するのがいいと思われがちです。適切な場所に埋め込み型の照明を取り付け、ペンダント照明や燭台ランプなどのアクセント照明は必要に応じて追加するという、しっかりとした計画が必要なのです。不適切に照明を設置してしまうと、その空間が不快に感じてしまいます。また、埋め込み型の照明だけでは、空間の美しさを損なってしまう傾向にあるので、注意してください」—ステファニ・スタイン・インコーポレーティッドのステファニ・スタイン

蛇口のことをよく考えずに選ぶ

barbara sallick kitchen
William Abranowicz

「私たちデザイナーは、蛇口はキッチンを美しく彩る重要アイテムであると考えていて、クライアントには少しお金をかけてでもいいものを取り入れるようすすめています。美しい蛇口の備わった新しいキッチンほど、うっとりするものはありません」—ティファニー・リー・デザインのティファニー・リー・ピオトロウスキー

「背の低いキッチン用の蛇口は、注ぎ口からシンクの底までの距離が短くなり、洗い物をしたり手を洗ったりするとき、とても不便です。代わりに背の高い蛇口を選ぶことで、大きな食器の洗い物も楽になりますよ」—イエローハウス・アーキテクツのエリザベス・グラツィオロ

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安すぎるコンロを取り入れる

ceiling height wall tiles in alternating dimensions and reclaimed brick flooring and oak countertops anchor the kitchen in beautiful rusticity
DOUGLAS FRIEDMAN

「キッチンをデザインする上で、コンロは最も重要なアイテムです。使用頻度が高いだけでなく、キッチンの主役であるコンロの見た目や素材は、キッチン全体の美しさを引き立てることも、損なうこともあるからです。カウンタートップも同様です。合成石ではなく、本物の石材に投資することで、キッチン全体の価値が上がり、使用寿命もはるかに長くなります。自然が作り出す何とも言えない石の模様と、美しく磨き上げられた表面は比べものになりません」—ステファニ・スタイン・インコーポレーティッドのステファニ・スタイン

「ステンレススチールのレンジフードは冷たく感じてしまうので、避けるようにしています」—JDPインテリアズのジョイス・ダウニング・ピケンズ


original text : LAUREN WICKS

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