記事に移動
東京建築祭 泰明小学校
Hearst Owned

建築初心者向け「東京建築祭」で楽しむ名建築散歩

5月24日(土)、25日(日)に無料かつ徒歩で回れる名建築をモデルコース付きでご紹介。

By Shunsuke Kurakata

年を重ねるほどに規模を拡大し、今年は90ほどが参加する「東京建築祭」。“建築鑑賞”というキーワードが新たな趣味の分野としても注目されつつある昨今、建築初心者の方でも楽しめる必訪の建築を建築史家の倉方俊輔氏が3時間弱のおすすめルートとともに解説。

【東京建築祭2025】倉方俊輔が推す、建築好きが見るべき名建築5

【東京建築祭2025】建築好きが行くべき、特別公開の名建築25

築地本願寺

東京建築祭

スタート地点:築地本願寺

東京の名所は、日本でも他にない形をしている。江戸時代から大きなお寺だったが、関東大震災によって木造の本堂を焼失。1934年に現在の形で再建された。正面中央のアーチ型は、インドの石窟寺院の入口の形から採ったもの。その他、エジプトや中近東、ヨーロッパや中国といった世界各地の建築の様式が組み合わされている。日本の伝統をさらに進化させようとした設計者・伊東忠太の思想が、仏教を近代の生活に合ったものにしたいという「築地本願寺」の考えと出合って生まれた。

「東京建築祭」では、通常非公開の講堂、講堂裏控室、講堂裏講師控室が特別公開される。伊東忠太らしさがインテリアにも発揮されていることが分かる空間だ。普段から開放されている本堂内部や外観も、この機会にじっくり鑑賞したい。入念な小さな細部からも、伊東忠太と「築地本願寺」の大きな思想がうかがえるだろう。

公開/5月24日(土)10:00-16:00
住所/東京都中央区築地3-15-1
※現在大規模修繕工事中のため、写真の状況とは異なる。

詳細はこちら

カトリック築地教会

東京建築祭

築地本願寺→カトリック築地教会(徒歩約8分)

「カトリック築地教会」は古代ギリシア神殿によく似た、全国でもあまり見ない形の教会だ。このことは築地という場所と深く関係している。横浜に遅れること10年、明治初めに東京・築地にも外国人の居留を認める居留地が設けられ、キリスト教の宣教が始められた。1874年に東京で最初のカトリック教会が献堂、1920年に現在の東京カテドラルに移転するまで司教座が置かれていたのが、まさにこの場所なのである。現在の聖堂は関東大震災後に再建され、記念碑的な外観を通じて信仰の永遠を祈っている。

内部はどんな感じなのだろうか? 「東京建築祭」では、聖堂内部と資料室を見学できる。明治期の聖堂から救われた鐘をはじめ、歴史の厚みを物語る品々にも目を留めてほしい。

公開/5月24日(土)10:00-17:00、5月25日(日)13:00-17:00
住所/東京都中央区明石町5-26

詳細はこちら

ADの後に記事が続きます

旧宮脇ビル

東京建築祭

カトリック築地教会→旧宮脇ビル(徒歩約15分)

建物が連なる昭和通りに、「旧宮脇ビル」は一段と低く構えている。道幅の広い昭和通りは、関東大震災の後の復興事業によって開通した。「旧宮脇ビル」は開通から4年後の1932年に完成。今も銀座の昭和通り沿いに残る唯一の戦前の建築として、国の登録有形文化財に登録されている。大正から昭和戦前に建てられたのだと思わせるのが、鉄筋コンクリート造の外観を覆う味のあるタイル。特にこのビルには全国的にも珍しい陶板のような加飾タイルが使用されているので、近づいて観察したい。一時期は傷みが進行していたビルだったが、建築好きの現オーナーによって保存された。

「東京建築祭」の公開期間中、特徴ある内部空間をギャラリーに改修した「MUSEE GINZA」が特別公開。それに合わせて『建築保存に導いた現代アート MUSEE GINZA 川崎コレクション展』が開催される。

公開/5月24日(土)10:00-17:00、5月25日(日)10:00-17:00
住所/東京都中央区銀座1-20-17 川崎ブランドデザインビルヂング

詳細はこちら

泰明小学校

東京建築祭

旧宮脇ビル→泰明小学校(徒歩約18分)

有楽町で歴史を刻む小学校だ。「東京府公立泰明小学校」として創立したのは明治初めの1878年。最初は煉瓦造、次が木造。それが1923年の関東大震災で全焼し、今ある鉄筋コンクリート造の校舎が1929年に完成した。耐震耐火で子どもたちの命を守り、再び震災が起きた際には避難場所ともなるよう、多額の費用を投じて建設された「復興小学校」の一つである。さらに「泰明小学校」の場合は、ゆかりのある地元から多額の寄付金が寄せられた。

「東京建築祭」で特別公開される立派な講堂や体育館は、その象徴。同じく公開期間中のみ立ち入れる校庭から、校舎全体のモダンなデザインも鑑賞したい。未来を担う子どもたちのために最先端の建築を。そんな思いが伝わる。

公開/5月24日(土)10:00-16:00、5月25日(日)10:00-16:00
住所/東京都中央区銀座5-1-13

詳細はこちら

ADの後に記事が続きます

有楽町マリオン(有楽町センタービル)

東京建築祭

泰明小学校→有楽町マリオン(徒歩約6分)

「有楽町マリオン」は1984年に開館した都市再開発の先駆けである。「マリオン」とは、ガラスを取り付ける時に用いる縦の桟の意味。方立(ほうだて)とも言い、その規則的な繰り返しが、巨大な建物に繊細さと統一感を与えている。建て替え前にも存在した映画館、劇場、オフィス、それに加えて2つの百貨店が入る複合施設として計画された。

「東京建築祭」の会期中、かつての有楽町の風景から工事中の様子までを記録した多くの写真が特別展示される。会場となる8階センターロビー自体が、鏡面仕上げの壁面と照明が生み出す幻想的な空間だ。「有楽町マリオン」に施された、人々を楽しませる工夫の数々に出合えるだろう。

公開/5月17日(土)~25日(日)10:00-21:00
住所/東京都千代田区有楽町2-5-1

詳細はこちら

Page was generated in 8.7448830604553