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建築好きが行くべき、フォトジェニックな沖縄の名建築
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【沖縄】建築好きが行くべき、フォトジェニックな名建築20

前川國男や黒川紀章による市庁舎、沖縄の建築界をけん引した国場幸房によるランドマーク、スキーマ建築計画のヴィラなど、ディテールまで目を凝らして楽しみたくなる新旧の名建築をご紹介。

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透き通る青い海に世界有数のサンゴ礁、どこまでも続く白い砂…。石垣島、宮古島、西表島など個性あふれる島々に心を奪われ、「やんばる」と呼ばれる北部の地域まで足を伸ばせば、そこには深い森や神秘的な滝が点在する。

沖縄県に立つ建築は、この地域ならではの気候風土を反映したものが多い。そして、多くの悲劇を生んだ第二次世界大戦の体験も色濃く残る。本記事では、そんな深く豊かな歴史や自然と融合した新旧の沖縄建築をご紹介。思わずカメラを向けたくなるものばかりなので、新しい視点で沖縄を巡るためのガイドとしてチェックしてみて。

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那覇市役所/那覇市

建築好きが行くべき、フォトジェニックな沖縄の名建築

老朽化が進んでいた1965年築の旧市庁舎を建て替え、地上12階地下2階建ての「那覇市役所」新庁舎が完成したのは、2012年。建築設計を担当したのは、県内では「沖縄美ら海水族館」や「ムーンビーチホテル」なども手掛けた国場幸房だ。

「みどりあふれる庁舎」というコンセプトを掲げた国場と、国場が代表を務めた国建は、「施設全体を積極的に緑化するため、ひな壇状の屋上庭園や緑化ルーバーを施し、亜熱帯庭園都市-那覇のシンボルとなるよう」設計計画を進めた。

建築好きが行くべき、フォトジェニックな沖縄の名建築

庁舎内では市の事業としても推進する「緑のカーテン」を設置。ベランダなどからツル性植物を這わせた。そのほか、植栽には、地域特有の90種類あまりの植物を選定。低層部にはブーゲンビリアやアラマンダ、中層部にはカエンカズラやツキヌキニンドウなど、開花時期や色彩の異なる樹木や草木を複数品種選び、1年を通して緑の風景を楽しめるように演出している。

那覇市役所
住所/沖縄県那覇市泉崎1-1-1

公式サイト

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沖縄県庁舎行政棟/那覇市

建築好きが行くべき、フォトジェニックな沖縄の名建築
Yoshiaki Ida

沖縄の本土復帰10周年記念事業として建設され、1990年に新庁舎として完成した、沖縄県警察本部の北側に建つ「沖縄県庁」。那覇市役所の隣に位置する。設計を担当した黒川紀章は、外壁に異なる色彩と材料を使い、三層で構成。下から上に向かって黒、グレー、白と色調を変え、頂上の三角屋根のフォルムも相まってシンボリックな印象を強めている。


建築好きが行くべき、フォトジェニックな沖縄の名建築
Yoshiaki Ida

建物西側には琉球石灰岩を用いて、首里城をイメージしたデザインを採用。さらに、正面エントランス上部には5体のシーサーを設置し、1階に入る吹き抜けの県民ホール(写真)には首里城正殿のディテールを取り入れるなど、「伝統と現代の共生を目指した」設計を実現した。







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建築好きが行くべき、フォトジェニックな沖縄の名建築
Yoshiaki Ida

地上14階・地下2階建ての建物の最上階には展望台が設けられ、ここから那覇市内を一望できる。一般にも開放されているので、那覇市を訪れたら、ぜひ訪れてみてほしい。

沖縄県庁舎行政棟
住所/沖縄県那覇市泉崎1-2-2

公式サイト





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沖縄県立博物館・美術館 (おきみゅー)/那覇市

建築好きが行くべき、フォトジェニックな沖縄の名建築

博物館と美術館が併設された全国でも珍しい施設。博物館常設展では常時3000点を超える資料を展示し、美術館コレクション展では沖縄にゆかりのあるアーティストの作品を展示している。

設計を担当した石本建築事務所と二基建築設計室は、太陽光の影響を軽減するため、鉄筋コンクリートづくりの外壁に(あらかじめ応力が与えられ、ひびわれしにくい)プレストレストコンクリートを設置し、ダブルスキン構成とした。

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石本建築事務所によると、外壁が描くゆるやかなカーブは「琉球石灰岩の素材感などは、沖縄のグスク(城)から引用」。エントランスホールは「木陰のオアシス」をモチーフとし、展示室の照明計画では自然光を最大限に生かすなど、沖縄という土地の風土を感じられるような空間を目指した。

館内には、 沖縄の民具や玩具、博物館常設展の内容とリンクしたキットで遊べる 「ふれあい体験室」や、沖縄の民芸品などを販売するミュージアムショップも。

沖縄県立博物館・美術館 (おきみゅー)
住所/沖縄県那覇市おもろまち3-1-1

公式サイト

4

沖縄サントリーアリーナ/沖縄市

沖縄サントリーアリーナ

「コザ運動公園」内に建設された多目的アリーナ。バスケットボールをはじめとするプロスポーツ興行や人気アーティストのライブ、MICEなどの利用が可能な1万人規模を収容できる施設。2023年には「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の会場となった。沖縄市をホームタウンとする、琉球ゴールデンキングスのBリーグ公式戦のホームアリーナでもある。

アリーナ正面の広場には、バスケットボールが象徴的に描かれている。

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設計は、梓設計・創建設計・アトリエ海風共同企業体。梓設計は、観客席が熱気や興奮を最大限味わえるよう、「客席をコート面に近づけるとともにすり鉢状の断面とする」ことで、観戦する時の一体感や臨場感を演出した。

また、多彩な観戦スタイルが叶う30室のスイートルームやゆったりとくつろぐことができるラウンジを配置し、スポーツを含むエンターテイメントの特別な楽しみ方を提案する。



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沖縄サントリーアリーナ
住所/沖縄県沖縄市山内1-16-1

公式サイト










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沖縄こどもの国ワンダーミュージアム/沖縄市

建築好きが行くべき、フォトジェニックな沖縄の名建築

1970年に本土復帰記念事業の一環として開園した「沖縄こどもの国」の中でも、「ワンダーミュージアム」は「理解と創造は驚きに始まる」というコンセプトのもと、子どもたちが自ら不思議や驚きを見いだし、感性を大きく働かせて楽しく学ぶ機会を提供する場。

設計を担当したのは、カイ・コーポレーションほか。思わず手を触れたくなるようなデザインの展示や、子どもたちの注意を引く仕掛けをちりばめた。

建築好きが行くべき、フォトジェニックな沖縄の名建築

園内には、丹青社による「ワンダーアニマル」と呼ばれるふしぎな動物造形が随所に設置されている。例えば、エントランスで来場者を迎えるのは、多彩な意匠で仕上げたステンレスのパネルに彩られた「うごらいおん」(写真)。日照方向によってモニュメントが作る影が動くことからこの名が採用されている。

館内では、「科学」「哲学」「芸術」の3要素からなる体験型の展示が子どもたちの好奇心を刺激。自分の体で感じながら、身近な不思議について考え、学ぶことができる。



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沖縄こどもの国ワンダーミュージアム
住所/沖縄県沖縄市胡屋5-7-1

公式サイト









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国立劇場おきなわ/浦添市

国立劇場おきなわ

国の重要無形文化財である組踊を中心とする沖縄伝統芸能の保存・振興を図ることを目的に生まれた劇場。設計者の高松伸が、特徴的な外観のモチーフとしたのは、琉球王朝時代の家屋や、(沖縄本島北部において、神を招き祭事を行う小屋を指す)「神アシャギ」。

外観を覆う、プレストレストコンクリートを用いたひし型格子状のパネルに関しては、同じく琉球時代の民家に見られた「アマハジ」と呼ばれる大きなひさしの張り出しと、網代状に竹を編み込んだ「チニブ」の意匠をインスピレーション源とした。

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国立劇場おきなわ

組踊り用の可変舞台を持つ大劇場は、いわゆる「芝居小屋」の形式を、現代風に解釈。壁面には木格子が設えられており、回り舞台、花道も備える。館内では、小劇場や稽古室のほか、舞踏や劇場にまつわる企画展を行う資料展示室なども入るので、こちらにも足を伸ばしてみたい。

国立劇場おきなわ
住所/沖縄県浦添市勢理客4-14-1

公式サイト


7

浦添市立図書館/浦添市

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戦前から米軍統治時代を経て、県立図書館以外に図書館サービスがなかった沖縄県。そのような状況の中、1980年代に入り、市民に社会教育・生涯教育の機会を提供しようと当時の市長による主導のもと、最先端の図書館として建設されたのが、「浦添市立図書館」だった。1985年に開館、戦後沖縄の地域図書館のモデルとなった。

設計を担当したのは、菊竹清訓の下で実績を積んだ後独立し、「世田谷美術館」や皇居・吹上御苑の新御所などを手掛けた建築家の内井昭蔵。特徴的な赤瓦屋根のモチーフは、浦添城址(うらそえじょうあと)から出土した高麗瓦から着想を得たもの。

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内井が、本に囲まれた「書斎の延長としての図書館」、「長くとどまりたくなるような場」を目指したという一般閲覧室は吹き抜けになっており、上階に立つと全体を見渡せる。

2019年には、「25年以上の長きにわたり、建築の存在価値を発揮し、美しく維持され、地域社会に貢献してきた建築」を登録・顕彰する日本建築家協会による「JIA25年賞」を与えられた。

浦添市立図書館
住所/沖縄県浦添市安波茶2-2-1

公式サイト

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浦添市美術館/浦添市

建築好きが行くべき、フォトジェニックな沖縄の名建築

1990年、日本初の漆芸専門美術館・沖縄初の公立美術館として誕生。八角形のドーム屋根と外壁に正方形のタイルを敷き詰めた高い塔の姿が特徴的だ。

設計を担当したのは、「浦添市立図書館」も手掛けた内井昭蔵。テーマに掲げたのは、「塔と回廊による構造」。内井は、これについて「建築は垂直方向に展開される塔性と、水平方向に展開される回廊性によって構成される」と解説し、続ける。「塔性とは足で地をつかんでいる人間、一つの世界を表現し、回廊性とは人と人、世界をつなぐ存在を表現する」

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建築好きが行くべき、フォトジェニックな沖縄の名建築

「浦添市美術館」では、16世紀から現代までの優れた琉球漆器のコレクションを中心に、広く周辺諸国の漆芸品を収集。

館内に足を踏み入れると、ドーム天井のエントランスホールが。その先を進むと、それぞれドームをのせた展示室に行き当たる。常設展示室では年3回のテーマ展示を行い、16世紀から現代までの琉球漆器を通して、琉球・沖縄の歴史や文化を紹介している。

浦添市美術館
住所/沖縄県浦添市仲間1-9-2

公式サイト

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佐喜眞美術館/宜野湾市

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1994年、米軍の返還地に開館した美術館。那覇市出身の建築家で「佐敷町文化センター」などを手掛けた建築家、真喜志好一によるコンクリート打ち放しの建物は、6月23日「慰霊の日」の日没線に合わせ、最上段の窓から太陽の光が差し込むように設計された。







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