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道の駅
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【全国版】建築&デザイン好きが行くべき、話題の道の駅15

「道の駅」を目的に出かける感度の高いデザイン好きたち増加中! 隈研吾やSANAAなど、建築家の個性とセンスが光る道の駅を全国からピックアップ。

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建築やデザイン好きにとって、旅の途中で立ち寄る道の駅はただの休憩スポットではなく、建築美や空間デザインを楽しむ絶好のチャンス。スター建築家が設計した建物からユニークなリノベーション建築まで、旅の目的地にしたい15の道の駅を紹介。

旅好きエディターが推す、今行きたいおしゃれ道の駅5

1

道の駅たのはた 思惟の風(岩手県)/古谷誠章+NASCA

道の駅たのはた

三陸海岸の絶景を望む岩手県田野畑村に位置する「道の駅たのはた 思惟の風」は、東日本大震災から10年目の2021年にリニューアルオープン。設計を手掛けたのは古谷誠章率いるNASCAで、周囲のなだらかな地形と呼応するリズミカルな曲面屋根を採用しつつ、断面は雪の多いこの地域に見られる腰折れ屋根に。まるで風が形になったような建物は、「思惟の風」という名前のとおり、訪れた人に思索や癒やしをもたらす落ち着いた空間となっている。

道の駅たのはた

柱や梁には、地域の風土を感じられる岩手県産の木材を使用。館内には田野畑村の特産品がそろう直売所や、三陸の海の恵みを味わえるレストランが併設され、地元の食文化を体験できる場としての機能も充実している。田野畑牛乳の良さを最大限に引き出した「たのはた生乳ソフト」は訪れたらぜひ試したい逸品だ。さらに、地域の歴史や震災復興の歩みを伝える展示スペースも設けられているので、この機会に田野畑村の文化にも触れてみよう。

道の駅たのはた 思惟の風
岩手県下閉伊郡田野畑村菅窪151-6
公式サイト

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2

道の駅 平泉(岩手県)/関・空間設計

道の駅平泉
photo:川澄・小林研二写真事務所

世界遺産の玄関口に佇む「道の駅 平泉」は、関・空間設計が手掛けた木造平屋建築。平泉の歴史的建築物の意匠を踏襲しつつ、現代の建築スタイルと調和させた「新和風」デザインを採用しているのがポイントだ。低層で水平的なフォルムの外観は周囲の田園風景にすっと馴染み、大きな屋根の下は、ゆったりとした居心地のよい空間が広がる。

道の駅平泉
photo:川澄・小林研二写真事務所

不整形な敷地形状から生まれたのは、伸びやかに大地に浮遊する独創的な屋根の建築。平面形状が直角三角形の屋根のなかでも、30度のコーナー部分には鉄骨補強を組み合わせ、木材とのコントラストが美しい仕上がりに。三角形の大屋根は軒を大きく張り出すことで、伝統建築の重厚感とモダンな軽やかさを両立させている。






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道の駅平泉
photo:川澄・小林研二写真事務所

内外ともに、岩手県産の木材をふんだんに使用。屋根を支える方杖の柱が連続する空間は、林の中にいるような開放感をもたらし、平泉の歴史と風土を五感で体感できる。館内には、平泉ならではの特産品が並ぶ直売所や、地元食材を活かしたレストランを併設。観光案内所も備えられ、世界文化遺産に登録された中尊寺や毛越寺を巡る前の情報収集にも最適だ。

道の駅 平泉
岩手県西磐井郡平泉町平泉伽羅楽112-2
公式サイト

3

道の駅さんさん南三陸(宮城県)/隈研吾

道の駅さんさん南三陸

特産品直売所、震災伝承施設、観光交流施設、JR志津川駅が一体化した「道の駅さんさん南三陸」。なかでも、隈研吾が設計し、2022年に開館した「南三陸311メモリアル」は、未来に漕ぎ出す船をイメージしたダイナミックな建物が魅力だ。外壁には、FSC認証を取得した地元産の南三陸杉をふんだんに採用し、持続可能な森林活用を意識しつつ、地域らしさを建築に落とし込んでいる。

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道の駅さんさん南三陸

館内では、震災の記憶を未来へとつなぐ展示を展開。南三陸の住民による証言映像や写真を基に、震災当時の状況を追体験できるほか、写真家の浅田政志が撮影した町民の笑顔の写真を見ることができる。さらに、フランスの現代アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーのインスタレーション作品も常設。命の尊さや記憶の重さを感じる空間となっている。

<写真>展示ギャラリーでは、震災にまつわるさまざまなエピソードを町民たちの証言とともに紹介。

道の駅さんさん南三陸

地元の食材を生かしたグルメやお土産がそろう「南三陸さんさん商店街」。こちらも、隈研吾設計によるもので、地元産の南三陸杉を用いて、日本に古来より伝わる「在来木造」で建設した。各店舗には、大きく張り出した庇に覆われた「縁側」を設え、人と人が楽しく交流できる昔ながらの商店街を再現。震災復興祈念公園へとつながる「中橋」も隈氏が手掛けているので忘れずに立ち寄ろう。

道の駅さんさん南三陸
宮城県本吉郡南三陸町志津川字五日町200-1
公式サイト

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4

道の駅おおゆ(秋田県)/隈研吾

道の駅おおゆ

「道の駅おおゆ」は、約800年の歴史を誇る大湯温泉の文化と魅力を発信する拠点として2018年に誕生。隈研吾の設計によるこの施設は、地域の伝統工芸「曲げわっぱ」から着想を得たデザインが特徴だ。建物は東西に長く伸びるチューブ状の形をしており、南側を大きく開くことで開放感をもたせつつ、この地域特有の東西に風が流れる環境を活かし、自然換気が行えるよう設計されている。

<写真>外壁には地元産の杉材が使われ、自然素材の風合いが周囲の風景と調和。

道の駅おおゆ

館内では、秋田県立大学木材高度加工研究所が研究を重ねて生み出した、円筒状に加工された積層木材をスクリーンやベンチ、レジカウンターなどに活用。曲線を描く木の要素が空間に柔らかさをもたらし、地元の技術力を感じさせる。売店では、地元・鹿角市の特産品を生かしたオリジナルブランド「KAZUNO CAN」の商品が並び、カフェでは、2025年1月にGI認定を受けた地元ブランド牛「かづの牛」を使ったメニューが楽しめる。




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道の駅おおゆ

建物中央にある半屋外の吹き抜け空間「えんがわゲート」を抜けると、芝生広場や足湯、じゃぶじゃぶ池が広がる憩いの場へ。特に、芝生の小高い「草すべりの丘」は、季節ごとに草滑りや雪遊びが楽しめるユニークなエリア。また、大湯温泉郷の源泉を引いた「じゃぶじゃぶ池」は、子どもたちが安全に遊べる水遊び場として人気だ。カフェ前にも足湯があり、ともに無料で利用できる。温泉文化と建築が融合した空間で、旅の疲れを癒やしてみては。

道の駅おおゆ
秋田県鹿角市十和田大湯字中谷地19
公式サイト

5

道の駅ふたつい(秋田県)/西方設計

道の駅ふたつい

世界自然遺産である白神山地の玄関口として知られる「道の駅ふたつい」。米代川や七座山といった雄大な景観と調和しつつ、独創的な建築美を誇る道の駅を手掛けたのは、秋田県を拠点に活動する西方設計だ。訪れてまず目に留まるのは、アーチ型の大屋根。インターチェンジからアクセスすると、建物の中央を貫くように視界が開け、まるで自然へと誘われるような感覚を生み出す。


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道の駅ふたつい

建物の妻面に採用したガラスカーテンウォールは開放感だけでなく、美しい自然を建物内部からも楽しめるのが魅力だ。加えて、「東洋一の木都」と称される能代市らしく、構造材から外装材、内装材に至るまで、地元産の秋田杉をふんだんに使用しているのもポイント。伐採適期を迎えた秋田杉の大径材を無垢のまま使用することで、資源を無駄にせず、持続可能な森づくりに貢献している。







道の駅ふたつい

館内には、地元で採れた新鮮な食材を楽しめる産直・お土産品コーナー、こだわりのメニューを提供する軽食コーナーを併設。さらに、キッズコーナーや3×3バスケットコート、ドッグランといった多彩な施設も完備し、夏季には米代川でカヌー体験も可能。地域の魅力が凝縮された体験型の道の駅は、建築好きだけでなく、アウトドア派のファミリーも楽しめそうだ。

<写真>日本一背の高い天然秋田杉、7つの峰が連なる七座山、曲がりくねった米代川など、二ツ井の自然をモチーフにした遊具が並ぶキッズコーナー。

道の駅ふたつい
秋田県能代市二ツ井町小繋字泉51
公式サイト

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6

道の駅さかい(茨城県)/隈研吾

道の駅さかい

日本で初めて海外に茶を輸出した「さしま茶」の産地として知られる茨城県境町。「道の駅さかい」内にある「茶蔵」は2019年に新設されたレストラン棟で、隈研吾が設計した。茨城県産の杉材をふんだんに用いたファサードは、茶畑の緑を背景にやさしく溶け込み、角度を変えながら配置されたプランターが、風にそよぐ茶の葉のリズムを思わせる。茶を育てるプランターは、この建築のためにデザインされたもの。

<写真>商家を模った蔵造り風の物産館の横に建つ「茶蔵」。

道の駅さかい

「茶蔵」の内部で目を引くのは、「さしま茶」の歴史を感じさせるユニークな意匠。古い茶箱を積み重ねて作られたカウンターや壁が、温かみのある空間を生み出し、訪れる人々を迎える。さらに、天井から吊るされた緑色の布は、茶葉を染めた特別なもの。光を透かして揺れるその姿は、自然の柔らかさと爽やかさを演出し、空間全体に心地よいリズムをもたらしている。

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道の駅さかい

1階のSHED「シェド」は、地元産の食材を生かしたグルメや厳選された調味料、調理器具などが並び、食の楽しみを深められる場となっている。また、パティシエが手掛ける菓子類は、訪れるたびに新しい味との出会いがあるのも嬉しいポイントだ。物産館にある日本で唯一の沖縄県国頭村に特化したアンテナショップや、近隣のサンドイッチ店「さかいサンド」や「S-Gallery粛粲寶(しゅくさんぽう)美術館」といった隈建築も要チェック!

道の駅さかい
茨城県猿島郡境町1341-1
公式サイト

7

道の駅ましこ(栃木県)/マウントフジアーキテクツスタジオ

道の駅ましこ

江戸時代から続く陶器の産地、栃木県益子町。そんな益子の魅力を存分に感じられるスポットが「道の駅ましこ」だ。原田真宏と原田麻魚が率いるマウントフジアーキテクツスタジオが設計を手掛け、3つ連なった大きな三角屋根は山々の稜線と呼応し、周囲の風景に溶け込むようにデザインされている。

<写真>施設北側の芝生広場。ゴザを敷いて建築と風景を眺めながらくつろぐことができる。

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道の駅ましこ

館内は、当時の町長からの要望であった「土の中から生えてきたような建物」をイメージし、商品が並ぶ台形の壁に益子焼の陶土を使用。地元の左官職人がていねいに仕上げ、町の標語である「土のおもてなし」を体現した。さらに、梁には栃木産の八溝杉を用いて地元林業に貢献するなど、町の持続性までもがデザインに組み込まれている。

<写真>益子焼の作品が陳列された棚。横にあるデータベースで気になる作家を検索して工房を訪ねるのもいい。


道の駅ましこ

手仕事の町ならではの工芸品をそろえるマルシェでは、地元で採れた新鮮な野菜のほか、地場産食材を活用したジャムなど、手作りの加工品も販売。なかでも、益子町薄場養鶏場の卵を使った「とろたまぷりん」は自分土産にマストのおいしさだ。美しい里山風景と「ましこのごはん」が楽しめる地産地消のレストランにも立ち寄ってみよう。

道の駅ましこ
栃木県芳賀郡益子町長堤2271
公式サイト

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