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【広島】建築好きが行くべき、フォトジェニックな名建築20

村野藤吾に丹下健三、槙文彦、安藤忠雄、山本理顕……。日本近代建築史に名を残す建築家たちによる名建築を、深い歴史と瀬戸内の美しい景色を感じながら堪能しよう。

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古くから文化交流の拠点としての役割を果たしてきた瀬戸内海を望む広島県には、豊かな歴史や伝統、海と山からの恵みを享受する風土から生み出された名建築が数多く立つ。戦争の記憶を今に伝える象徴的な施設に、世界で活躍する日本人建築家たちが設計したモダンな公共建築も。今年は「ひろしま国際建築祭」が初開催されるなどますます注目が集まるこの地域で特に見逃せない20件をご紹介。

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1

広島平和記念資料館および平和記念公園/広島市

広島平和記念資料館
広島平和記念資料館提供

国内外から多くの人々が訪れる「平和記念公園」。東西に走る平和通りを背に、公園内を見通すと、「広島平和記念資料館」、「原爆死没者慰霊碑」、その先には「原爆ドーム」が南北方向に一直線に配置されているのがわかる。




広島平和記念資料館
広島平和記念資料館提供

戦後日本の建築界を牽引した丹下健三が設計を手掛けた資料館(本館)が竣工したのは、被爆10周年にあたる1955年。丹下は、「原爆ドーム」に向かう眺めを遮ることがないように、1階部分を壁のないピロティとした。1.4m間隔で取り付けられた縦ルーバーや、台形に仕上げられた柱が、このモダン建築を特徴づける。

1994年には、東館が開館。「広島平和記念館」(1955年竣工)を改築したもので、地上部分の柱、梁を石貼とし、同じ石貼の自立壁で囲った。こちらは、本館に比べやや重厚な印象。「広島平和記念資料館」は、2006年、戦後建築物としては初めて、国の重要文化財に指定された。

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広島平和記念資料館
広島平和記念資料館提供

広島平和記念資料館および平和記念公園
広島県広島市中区中島町1-2
公式サイト











2

世界平和記念聖堂/広島市

世界平和記念聖堂

世界で最初に被爆した広島の地に平和のシンボルとして献堂されたカトリック教会。原爆がもたらした惨禍に身をもって体験したフーゴー・ラッサール神父が、犠牲となった人々の追憶と慰霊のため、また全世界の友情と平和のシンボルとして発案。設計を担当したのは、日生劇場や新歌舞伎座などで知られる村野藤吾だ。全長57mで、東端に花弁型ドラム(ドームを持ち上げる部分)、北西寄りには高さ45mの鐘塔を備えるなど堂々とした佇まいが、強い存在感を放つ。

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世界平和記念聖堂

外観は、鉄筋コンクリート打ち放しの柱梁をそのまま露出。さらに、その間に灰色がかったモルタルレンガを積み上げた。聖堂入口の7つの秘跡を表した彫刻は、円鍔勝三によるもの。ドームの頂点に鳳凰がとまっていたり、松・竹・梅のデザインを窓枠に採用していたりと、日本の伝統を取り入れた意匠も特徴的だ。








世界平和記念聖堂

世界平和記念聖堂
広島県広島市中区幟町4-42
公式サイト










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3

広島市現代美術館/広島市

広島市現代美術館
Photo: Kenichi Hanada

全国で初めて現代美術に本格的に取り組む公立美術館として1989年に開館。黒川紀章が設計を手掛けた建物は、市内を見渡す緑豊かな比治山公園に位置する。自然の景観と調和しながら、現代美術を扱う施設としての先駆性も表現、垂直軸に沿って下から順に自然石、タイル、アルミと変化する素材は、過去から未来への文明の発展や時間の流れを表し、「共生の思想」を体現している。

広島市現代美術館
Photo: SATOH PHOTO Kazunari Satoh

美術館の中央付近に位置する正面玄関の「アプローチプラザ」では爆心地に向かって切れ込みが入れられ、この街の歴史を思い起こさせる。館内では「第二次世界大戦以降の現代美術の流れを示すのに重要な作品」、「ヒロシマと現代美術の関連を示す作品」などを収集の基本方針としたコレクションを展示。野外でも、18点の彫刻を鑑賞することができる。







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広島市現代美術館
Photo: Kenichi Hanada

広島市現代美術館
広島県広島市南区比治山公園1-1
公式サイト










4

広島市環境局中工場/広島市

広島市環境局中工場

隣接地にあった清掃工場の老朽化に伴って建て替えられ、2004年に誕生。新工場を設計したのは、谷口吉生。モダンな外観が印象的だが、注目すべきは、建物を貫通する「エコリアム」。これはガラス張りの通路で、来場者はここから稼働するゴミ焼却設備を見ることができる。ネガティブなイメージをもたれがちな一連の設備を隠さずに、あえて美しく見せ、ミュージアムのような空間をつくり上げた。壁に開けられた窓や手すりなどの細部も丁寧にデザインされており、シンプルで洗練された空間づくりへのこだわりが伺える。

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広島市環境局中工場

最新の技術を採用し、排ガス中の煤塵(ばいじん)やダイオキシン類をはじめとする有害な物質を除去し、騒音、悪臭を外部に出さない施設となっている点にも注目したい。また、焼却炉の余熱は工場内の冷暖房や給湯に利用。蒸気タービン発電機により工場内で使用する電気をまかない、あまった電気は電力会社へ売却される。






広島市環境局中工場

広島市環境局中工場
広島県広島市中区南吉島1-5-1
公式サイト











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5

広島市西消防署/広島市

広島市西消防署

平和大通り沿いに立つ消防署の庁舎。設計は、山本理顕。建物全体が約2400枚のガラスルーバーで覆われ、外からも中で働く消防士の姿を見ることができる、市民に開かれた消防施設だ。随所に取り入れられた赤の要素がリズムを生み出す。

この建物は、消防署としての機能はもちろんのこと、西消防団福島分団研修室、救急教育センター及び消防音楽隊レッスン室を併設した多目的の庁舎となっている。

広島市西消防署

庁舎の中に入ると、地下1階、地上8階建までの吹き抜け空間が広がる。消防士はここで人命救助に必要なトレーニングを行う。4階には、展示ロビーと見学者テラスを配置。ここからはアトリウムの風景が見え、救急教育センターでは実習風景など、消防士による日常のさまざまな活動を見学することができる。







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広島市西消防署

広島市西消防署
広島県広島市西区都町43-10
公式サイト

6

ひろしま美術館/広島市

ひろしま美術館

1978年に創業100周年を迎えた広島銀行が、地域とともに歩んだ歴史の記念事業として設立した美術館。「愛とやすらぎのために」をテーマに、構想には10数年をかけ、人々の希求に応える香り高い美の殿堂として誕生した。

建築を担当した日建設計の與謝野久(よさの ひさし)は、原爆ドームをイメージしてドーム型の本館を設計。これを取り巻く回廊は、同じく世界遺産であり、広島県を代表する建築である厳島神社に着想を得た。

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ひろしま美術館

館内では、天井から光が差し込むホールを囲むように配置された展示室などに、マネ・モネやゴッホといった印象派を中心としたフランス近代絵画と、日本洋画や日本画などの日本近代絵画が約80点常設展示されている。

美術館正面入口の前庭には、ピカソの子息クロードより贈られたマロニエの木が植えられており、毎年5月初旬頃になるとピンクの愛らしい花をつけるので、タイミングが合えばぜひ目を向けてみてほしい。

ひろしま美術館
広島県広島市中区基町3-2
公式サイト

7

おりづるタワー/広島市

おりづるタワー

原爆ドームに隣接する、オフィスや飲食店、展望台などが入る複合商業施設。1978年に竣工したビルが、三分一博志による設計のもとでリノベーションされ、来場者が投入した折り鶴が積み重なる「おりづるの壁」をファサードとした現在の姿となった。

三分一は、ビルの東側に1Fから屋上展望台までを歩いて上り下りできる「スパイラルスロープ “散歩坂”」を増築。9層で構成されるスパイラルスロープの壁面では戦後100年への願いを描いた巨大なウォールアートの展示を楽しむことができる。

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おりづるタワー

12階には、来場者が折り鶴を投入する「おりづるの壁」のある“おりづる広場”が広がる。屋上は、周囲をメッシュで覆ったウッドデッキの展望スペース。床にヒノキ材、天井にはスギ材を採用した。風がそのまま通り抜ける設計となっているため、「今」の広島にただよう空気を感じながら、平和記念公園・原爆ドーム、晴れた日には宮島の弥山(みせん)まで望むことができる。






おりづるタワー

おりづるタワー
広島県広島市中区大手町1-2-1
公式サイト










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