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寒河江市役所 市庁舎建築 黒川紀章
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建築好きが行くべき、スター建築家が手掛けた庁舎建築

前川國男や黒田紀章など、スター建築家が手掛けたユニークな庁舎建築をチェック。

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派手さはないが、都道府県や市区町村の行政機関の建築には個性的なものが多い。本記事では日本の近代建築を牽引した巨匠をはじめ、日本人建築家が手掛けた、全国の都庁・県庁・市庁舎建築をリストアップ。また、建築ツアーを実施している庁舎もあるのでチェックしておこう。

1

香川県庁舎 東館

香川県庁

設計/丹下健三

1958年竣工の香川県庁舎東館は、丹下健三による設計で戦後の庁舎建築としては初めて国の重要文化財に指定された。当時の香川県知事、金子正則はイサム・ノグチや猪熊弦一郎と親交があり、猪熊から紹介された建築家が丹下健三だった。小梁(こばり)と大梁が連なる日本建築のデザインをコンクリートで再現し、県民のために開かれた庁舎をつくりあげた。モダニズム建築と日本的な美学が融合された建築で、海外からの評価も高い。

香川県庁

1階ロビーには香川県出身の芸術家、猪熊弦一郎による巨大な壁画『和敬清寂』が飾られている。陶製の椅子やブックシェルフ付きベンチなど、丹下健三が手掛けた貴重な家具も注目ポイント。










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香川県庁

平日の8時30分から17時15分までは、ピロティ、1階ロビー、南庭の共有スペースが見学可能だ。

香川県庁
住所/香川県高松市番町4丁目1-10
公式サイト







2

東京都庁

東京都庁

設計/丹下健三

東京の西新宿エリアにそびえる、東京都庁舎。都政の中枢機能としてだけではなく、東京のアイコンとして君臨する高層ビルは1990年に竣工し、翌年の4月より都庁としての業務が始まった。設計は東京カテドラル聖マリア大聖堂や国立代々木競技場などを手掛けた、丹下健三。2005年に逝去した丹下にとって、この東京都庁は最晩年の作品といえる。第1本庁舎は地上48階、地下3階建てで、45階には展望室を備える。さらに第2本庁舎と都議会議事堂、都民広場があり、働く職員の数は1万人を超える。

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東京都庁

執務スペースなどを除いて、都庁舎は予約不要で自由に見学が可能。都庁のすぐ近くにある新宿パークタワーも丹下健三の設計のため、併せて巡るのもおすすめ。

東京都庁
住所/東京都新宿区西新宿2丁目8-1
公式サイト






3

目黒区総合庁舎/東京都

目黒区役所
提供:目黒区

設計/村野藤吾

1966年竣工の目黒区総合庁舎は、もともとは千代田生命本社として建築家の村野藤吾が設計した建築を転用したもの。アルミ鋳物の格子でビル全体を覆った外観は、当時インパクトが強く話題を呼んだ。2002年から改修工事を行い、2003年1月に目黒区役所となった。


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目黒区役所
提供:目黒区

村野藤吾建築のディテールの中で、特にその美学が反映されているのが階段だ。繊細な手すりと緩やかな曲線の階段は、当時のオフィスビルとしては画期的なデザインであった。











目黒区役所
提供:目黒区

大理石を使用した壮大な玄関ホールは、光が差し込む設計。天井の円いトップライトなど、細かな部分もじっくり観察したい。

目黒区総合庁舎
住所/東京都目黒区上目黒2丁目19-15
公式サイト







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4

寒河江市役所/山形県

寒河江市役所 市庁舎建築 黒川紀章

設計/黒川紀章

1967年竣工の寒河江市の市庁舎は、黒川紀章初期の代表作だ。2階の面積が狭く、大きくせり出した3階と4階を4本のコアが吊る珍しい構造が目を引く。新陳代謝を意味する「メタボリズム運動」の中心人物であった黒川。この市庁舎の設計にも、その理念が感じられる。


寒河江市役所 市庁舎建築 黒川紀章

吹き抜けにある「光る彫刻・生誕」は、岡本太郎の作品。さらに1階と2階の入り口の取っ手も、岡本太郎のデザインなので併せてチェックしておこう。


寒河江市役所
住所/山形県寒河江市中央1丁目9-45
公式サイト

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5

弘前市役所/青森県

弘前市役所

設計/前川國男

ル・コルビュジェに師事し、日本の近代建築に大きく貢献した前川國男。実は弘前市には、前川が帰国後の初仕事である木村産業研究所を含め、多くの前川建築が現存している。弘前市の市庁舎もその一つで、本館は1958年、新館は1972年に完成した。周囲の景色となじむ低層ビルで、柱は鉄筋コンクリートの打ちっ放し、外観には明るいオレンジのレンガを使用。2015年には本館が国の登録有形文化財に登録された。

弘前市役所

本館2階のホワイエ部分。広く取られた開口部から、桜の名所で有名な弘前公園など周囲の景色も望める。












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弘前市役所

市内にある「弘前市立博物館」などの前川國男建築や、田根剛が手掛けた「弘前れんが倉庫美術館」など、弘前市で建築巡りを楽しむのもおすすめだ。

弘前市役所
住所/青森県弘前市上白銀町1-1
公式サイト







6

横浜市役所/神奈川県

横浜市役所

デザイン監修/槇文彦

2024年6月に逝去した、槇文彦がデザイン監修を手掛けた横浜市の市庁舎。2020年に竣工し、地上32階地下2階の高層ビルで横浜市の新たなシンボルとなっている。

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横浜市役所

開放感のある、3層吹き抜けのアトリウム。まちのにぎわいを創出する場として、1~2階には商業施設も入る。

横浜市役所
住所/神奈川県横浜市中区本町6丁目50-10
公式サイト







7

福生市役所/東京都

福生市役所

設計/山本理顕

2024年にプリツカー賞を受賞した、建築家の山本理顕が設計を手掛けた東京都福生市の庁舎。敷地周辺には低層の建物が多いことから2棟に分けて敷地全体に建築を展開し、できる限り低層に抑えている。2棟をつなぐスペースは丘の広場として市民に開放し、フォーラムと呼ばれる空間も設けた。角のない柔らかい印象の庁舎は、周囲環境に配慮し、市民のための建築という理念が随所に感じられる。

福生市役所
住所/東京都福生市本町5
公式サイト

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8

豊島区役所/東京都

豊島区役所
出典:豊島区ホームページより引用

設計/隈研吾、日本設計

2015年竣工の豊島区の庁舎は、隈研吾と日本設計の共同設計。日本で初となる、区役所とマンションが一体化した複合ビルとして注目を集めた。1本の巨大な樹木のような建築をめざし、エコヴェールと名付けた多機能型環境調整パネルで、建築を包み込んでいるのが特徴だ。



豊島区役所
出典:豊島区ホームページより引用

議場も木材を多用した開放的な空間。10階には屋上庭園も設けられ、緑にあふれた庁舎となっている。

豊島区役所
住所/東京都豊島区南池袋2丁目45-1
公式サイト







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9

岡山県庁

岡山県庁舎 庁舎建築 前川國男

設計/前川國男

前川國男が初めて手掛けた庁舎建築でもある岡山県庁本庁舎本館。1957年に落成した地上9階、地下1階建ての建築でピロティや屋上庭園などル・コルビュジェが提唱した、近代建築の5つの要点を備えている。外壁は黒で塗装することで、重厚感ある印象に仕上げている。


岡山県庁舎 庁舎建築 前川國男

1階には前川建築・県庁舎ギャラリーを設置。解説付きの建築見学ツアーも定期的に実施されているので、参加してじっくり観察するのもおすすめだ。

岡山県庁
住所/岡山県岡山市北区内山下2丁目4-6
公式サイト






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