草間彌生のアートが堪能できる、国内スポット10
あなたはいくつ行った? 「ベネッセアートサイト直島」や「松本市美術館」など、草間彌生の作品に会える国内アートスポットはここ!

草間彌生は今日、世界で最も知名度の高い日本の芸術家の一人。草間は、幼少の頃から光の点滅、オーラ、点の集まりといった幻覚や花の声などの幻聴が自分を包み込むような感覚を覚えた。これが生涯を通じて草間の芸術に重要な影響を与える こととなった。そんな草間の生み出す作品は、彼女の内面世界にある心理的、性的、精神的テーマの探求を表現し、世界へ発信し続けている。ここでは常設作品を中心に、草間作品を鑑賞、体験できる国内のスポットをご紹介。
※すべての画像は転載不可。
草間彌生美術館/東京都

草間本人が設立した美術館。エントランスからトイレまで草間ワールド全開! 年に約2回の展覧会で展示される作品コレクションや、さまざまな講演会を通して、草間が作品に込め、繰り返し訴えてきた“世界平和”と“人間愛”というメッセージを伝え続けている。ここでしか手に入らない限定グッズも合わせてチェックして。
写真 Exterior view of the Yayoi Kusama Museum Photo by Kawasumi-Kobayashi Kenji Photograph Office

現在開催中の「宇宙からの音響」展では、幼少からの幻覚・幻聴と創作活動が深く結びついてきた草間彌生の芸術の根源に迫る。初期のオブセッションに駆られたドローイングから、自己消滅をテーマにした渡米後の作品群、そして精神科病院で制作された小作品、巨大なインスタレーションまで、多様な作品と資料を展示。病という個人的な経験が、いかに壮大な宇宙観へと昇華していったのか。本展を通して、草間が作り出す芸術の深奥さに触れることができるだろう。
写真 3F Gallery Installation View © YAYOI KUSAMA
「草間彌生美術館」
住所/東京都新宿区弁天町107
開館時間/11:00~17:30
休館日/月~水曜(祝日は除く)
※日時指定の事前予約制、チケットはウェブサイトでのみ販売(美術館窓口での販売は無し)
「宇宙からの音響」
展示期間/2025年4月24日~2025年8月31日
東京都庁舎/東京都

東京のランドマークのひとつである東京都庁の45階、南展望室に配置された「都庁おもいでピアノ」。都民の寄贈を受けたグランドピアノに、草間監修によって水玉で覆われている。黄色をベースに黒い水玉のデザインで存在感を放つこのピアノは、実際に弾くこともでき、東京都庁が音楽を通じて、国内外から訪れる人々の交流が広がるように、との思いが込められている。
写真 都庁おもいでピアノ ©YAYOI KUSAMA
「東京都庁舎」
住所/東京都新宿区西新宿2-8-1
「都庁おもいでピアノ」
場所/南展望室
展示期間/常設
入室時間/9:30~21:30
休室日/第1・3火曜、年末年始(12月29日~31日、1月2日~3日)、都庁舎点検日
クルックフィールズ/千葉県

千葉・木更津の農、食、アート、自然を軸とした複合施設「クルックフィールズ」。広大な土地に青々と生い茂る木々の中にポツンと佇むのは、草間の代表作品であるミラールームシリーズの《無限の鏡の間- 心の中の幻》。
外から見ると四角形のミラーが周囲の自然を映し出し、異素材でありながらも美しく溶け込んでいる。中に入ると、無数に空いたカラフルなガラスの穴から太陽の光が差し、宇宙空間にいるような幻想的な雰囲気を楽しめる。また、世界各地に点在する本シリーズだが、屋外に設置され、電気ではなく、自然光だけを活用している作品を体験できるのは、国内ではここだけ!
写真 無限の鏡の間- 心の中の幻 ミクスト・メディア(2018) ©YAYOI KUSAMA

もうひとつの作品は、広大な農場を背景にして展示されている《新たなる空間への道標》。いくつかの小さな池に、赤に白の水玉が施されたさまざまなサイズのオブジェが配置されているという、強いインパクトを与える作品。ひときわ目立つ作品だけれど、そのオーガニックなフォルムは、そこに自然に存在し、生息している生き物のようにも見える。
写真 新たなる空間への道標 鋳造アルミニウム(2016) ©YAYOI KUSAMA
「クルックフィールズ」
住所/千葉県木更津市矢那2503
営業時間/10:00~17:00
定休日/火・水曜
《無限の鏡の間- 心の中の幻》《新たなる空間への道標》
展示期間/常設
十和田市現代美術館/青森県

十和田市現代美術館のアート広場に設置されている大規模屋外インスタレーション作品《愛はとこしえ十和田でうたう》。少女の“十和田のハナコちゃん”を中心に、犬やきのこ、かぼちゃなど、色鮮やかな水玉がデザインされた8つの彫刻群で構成されており、ひとつひとつの作品から力強いエネルギーを感じさせる。
一番大きな《十和田で発見された私の黄色カボチャ》は、中に入ることができる作品で、暗闇の中で7色の光が点滅し、外とはまた違う世界が楽しめるようになっている。
写真 草間彌生 愛はとこしえ十和田でうたう(2010) photo by 小山田邦哉 ©YAYOI KUSAMA
「十和田市現代美術館」
住所/青森県十和田市西二番町10-9
開館時間/9:00~17:00
休館日/月曜(祝日の場合はその翌日)、年末年始
《愛はとこしえ十和田でうたう》
展示期間/常設
越後妻有 大地の芸術祭/新潟県

「大地の芸術祭」では、広大な土地を美術館に見立て、常設でも200点以上のアート作品が散りばめられる。アーティストと住民が協働することで、アートを通して地域資源や文化を世界に発信し、地域を活性化させるプロジェクトだ。3年に1度のトリエンナーレ以外にも、通年でプログラムを展開している。
まつだい「農舞台」にあるのは、妻有を訪れる人を出迎えてくれるように大きな花を咲かせる《花咲ける妻有》。妻有の空気と降り注ぐ太陽の光を受ける様子は圧巻!
写真 草間彌生 花咲ける妻有 大地の芸術祭作品(2003)photo by Nakamura Osamu ©YAYOI KUSAMA
「越後妻有 大地の芸術祭」
住所/新潟県十日町市、津南町全域
《花咲ける妻有》
場所/まつだい「農舞台」(新潟県十日町市松代3743-1)周辺
展示期間/~2023年11月5日
定休日/火・水曜(祝日を除く)、冬期
原美術館ARC/群馬県

《ミラールーム(かぼちゃ)》と題されたこの作品は、鏡張りの2メートルの立方体の中に、大小のかぼちゃが無限に展開していて、まるで万華鏡を覗いているかのような不思議な感覚に陥る。
写真 草間彌生 ミラールーム(かぼちゃ)(1991/1992) ©YAYOI KUSAMA

1992年、草間監修のもと、原美術館がオリジナルで企画して制作されたインスタレーションで、第45回ヴェネツィア・ビエンナーレでも好評を博した。現在は、原美術館ARCで常設展示されている。
写真 草間彌生 ミラールーム(かぼちゃ)(1991/1992) ©YAYOI KUSAMA
「原美術館ARC」
住所/群馬県渋川市金井2855-1
開館時間/9:30~16:30(最終入館は16:00)
休館日/木曜(祝日と8月を除く)、展示替え期間、1月1日、冬季
《ミラールーム(かぼちゃ)》
展示期間/常設
松本市美術館/長野県

鑑賞、表現、学習場、交流の4つの“場”を軸に、大人から子供まで松本の地域に開かれた美術館である「松本市美術館」。松本市出身で、この地に縁が深いということもあり、草間の作品も多数展示されている。
美術館正面には、ひときわ目を引く《幻の華》が設置されていて、松本市美術館のトレードマークにもなっている。高さは10メートル、幅は18メートルという大迫力なこの作品は、草間の野外彫刻作品の中では最大のものとなる。
写真 幻の華(2002) ©YAYOI KUSAMA

通年展示されている「草間彌生 魂のおきどころ」では、活動初期の1950年代から最新シリーズ「わが永遠の魂」までの作品群やその軌跡をたどる内容となっている。写真の《大いなる巨大な南瓜》は、草間の代表作である黄色い南瓜を空間いっぱいに堪能できるよう、壁や床にも南瓜と同じ黄色に黒の水玉が施されている。
写真 大いなる巨大な南瓜(2017) ©YAYOI KUSAMA
「松本市美術館」
住所/長野県松本市中央4-2-22
開館時間/9:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日/月曜(休日の場合は次の最初の平日、8月は無休) 、年末年始(12月29日~1月3日)
《幻の華》「草間彌生 魂のおきどころ」
展示期間/常設
TAOYA志摩/三重

“温泉と旅の楽しさをもっと気軽に何度でも”をテーマに国内各地に温泉宿を展開する大江戸温泉物語が手掛ける温泉リゾートホテル「TAOYA志摩」。インフィニティ温泉や全室オーシャンビューの客室など、海との一体感が味わえるホテルだ。
館内にはたくさんの現代アートが散りばめられているが、ひときわ存在感を放つのは、草間の代表的作品である《南瓜》。カラフルな南瓜とは打って変わって、目の前に広がる青い海を見て思いにふけっているような落ち着いたトーンの色合いは、周囲の風景に溶け込み、また新しいインスピレーションを掻き立ててくれる。
写真 南瓜(2014) ©YAYOI KUSAMA
「TAOYA志摩」
住所/三重県鳥羽市浦村町1826-1
《南瓜》
展示期間/常設
ベネッセアートサイト直島/香川県

現在は直島のシンボル的存在となっているベネッセアートサイト直島の《南瓜》。初めて設置・公開されたのは、1994年に直島で開催された「Open Air '94 "Out of Bounds" ―海景の中の現代美術展―」。当時、高さ2メートル、幅 2.5メートルというサイズは、これまで制作された《南瓜》の中でも最大級の規模だった。また、この《南瓜》は草間が場所の特徴を強く意識した作品で、どこにでもある瀬戸内の風景を特別なものへと変えた。
2021年8月に発生した台風9号の影響で破損してしまったが、復元制作を経て、2022年10月4日同じ場所で再度展示されている。1994年から長年瀬戸内海を見守るように立つ《南瓜》は、眺めているときっと感慨深いものになるだろう。
写真 草間彌生 南瓜(2022) ©YAYOI KUSAMA
「ベネッセアートサイト直島」
場所/香川県香川郡直島町
《南瓜》
展示期間/常設
霧島アートの森/鹿児島県

霧島地域の自然と調和する、芸術性の高いアート作品を配置した野外美術館「霧島アートの森」。
写真はメインゲート前に配置されている、《シャングリラの華》。“不老不死の桃源郷に色あざやかに咲きほこる花”をテーマにした作品で、生命・魂・希望を表現している。ビビットな原色カラーの色使いや、今にも動き出しそうな躍動的なフォルムに心も体もパワーをもらえそう!
写真 シャングリラの華(2000) ©YAYOI KUSAMA

「霧島アートの森」に展示されている草間のもうひとつの作品はアートホール内にある《赤い靴》。かぼちゃや花を題材とした作品は多数あるが、靴を題材とした作品は見たことがないという人も多いのでは? しかし、誰が見ても草間の作品だと一目見てわかる無数の水玉を配したハイヒールは、草間が“女性の自立を象徴するもの”として掲げるアイテムのひとつ。
「霧島アートの森」内限定で販売されている《赤い靴》のキーホルダーはぜひ手に入れて!
写真 赤い靴(2002) ©YAYOI KUSAMA
「霧島アートの森」
住所/鹿児島県姶良郡湧水町木場6340-220
開園時間/9:00~17:00(7月20日~8月31日の土・日曜、祝日~19:00)
休館日/月曜(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月2日、2月13~19日
《シャングリラの華》《赤い靴》
展示期間/常設

YAYOI KUSAMA STORE

アートグッズ公式オンラインストア「YAYOI KUSAMA STORE」が2025年1月にオープン! 「草間彌生美術館」の限定グッズや、オンラインストア限定のポスターやカップ&ソーサーなど、草間彌生の世界観を日常に取り入れられるアイテムが豊富に揃う。国内外問わず、全世界228の国と地域から購入可能。草間彌生のアートを、より身近に感じてみて。
「YAYOI KUSAMA STORE」