【ベネチア国際映画祭2024】『ジョーカー』続編や北野武の新作も。注目トピックスを総まとめ

映画祭の開幕を飾るのはティム・バートン監督の『ビートルジュース ビートルジュース』。今年のアウト・オブ・コンペティション部門にノミネートされている。

本作は、1988年に公開された超常現象コメディ『ビートルジュース』の続編で、“死後の世界からやってきた推定年齢600歳の人間怖がらせ屋”が主人公。出演者としてマイケル・キートン、ウィノナ・ライダー、キャサリン・オハラが再集結。日本では9月27日（金）から公開予定。今年を代表するハロウィン映画になりそうだ。

なおティム・バートンはベネチアでは過去、2007年に功労賞の金獅子賞を受賞。『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』（1993）と『ティム・バートンのコープスブライド』（2005）を上映している。

第81回ベネチア国際映画祭　コンペティション部門　ノミネート一覧

『The room next door』ペドロ・アルモドバル監督（スペイン）
『Campo di battaglia』ジャンニ・アメリオ監督（イタリア）
『Leurs enfants après eux』リュドヴィック・ブケルマ監督、ゾラン・ブケルマ監督（フランス）
『The Brutalist』ブラディ・コーベット監督（英国）
『Jouer avec le feu』デルフィーヌ・クラン監督、ミュリエル・クラン監督（フランス）
『Vermiglio』マウラ・デルペロ監督（イタリア、フランス、ベルギー）
『Iddu』ファビオ・グラッサドニア監督、アントニオ・ピアッツァ監督（イタリア、フランス）
『Queer』ルカ・グァダニーノ監督（イタリア、米国）
『Kjærlighet』ダーグ・ヨハン・ハウゲルード監督（ノルウェー）
『April』デア・クルムベガシュヴィリ監督（ジョージア、フランス、イタリア）
『The Order』ジャスティン・カーゼル監督（カナダ）
『Maria』パブロ・ラライン監督（イタリア、ドイツ、米国）
『Trois amies』エマニュエル・ムレ監督（フランス）
『Kill the Jockey』ルイス・オルテガ監督（アルゼンチン、スペイン）
『ジョーカー：フォリ・ア・ドゥ』トッド・フィリップス監督（米国）
『Babygirl』ハリナ・ライン監督（米国）
『Ainda Estou Aqui』ウォルター・サレス監督（ブラジル、フランス）
『Diva Futura』ジュリア・ルイーズ・スタイガーヴァルト監督（イタリア）
『Harvest』アティナ・ラヒル・ツァンガリ監督（英国、ドイツ、ギリシャ、フランス、米国）
『Qing Chun Gui (Youth – Homecoming)』ワン・ビン監督（フランス、ルクセンブルグ、オランダ）
『Stranger Eyes』ヨー・シュウホァ監督（シンガポール、台湾、フランス、米国）

コンペティション部門の最優秀賞として選ばれる金獅子賞。今年は話題作が目白押しで混戦が予想される。

まずは、トッド・フィリップス監督の最新作『ジョーカー：フォリ・ア・ドゥ』。ホアキン・フェニックス＆レディー・ガガが主演。2019年に金獅子賞を受賞した『ジョーカー』の続編に期待。

パブロ・ラライン監督は、アンジェリーナ・ジョリーが伝説のオペラ歌手マリア・カラスを演じる『Maria』をプレミア上映する。 ナタリー・ポートマン主演『ジャッキー／ファーストレディ 最後の使命』（2016）、クリステン・スチュワート主演『スペンサー ダイアナの決意』（2021）を世に送り出してきた監督の新作に注目したい。

スペインの巨匠、ペドロ・アルモドバル監督『The Room Next Door』は“深い誤解が生じて引き離された、不完全な母親と意地悪な娘の物語”というストーリー。ジュリアン・ムーアとティルダ・スウィントンを主演に迎えた。監督は、1988年に『神経衰弱ぎりぎりの女たち』で同映画祭の脚本賞を獲得している。初の金獅子なるか。

ニコール・キッドマン、ハリス・ディキンソン主演、A24のエロティックスリラー 『Babygirl』は、ハリナ・レインが脚本と監督を担当。ヴァラエティ誌によれば、職場における力関係とセクシュアリティを描いた作品。権力を持つ女性CEOをニコール・キッドマンが演じ、若くカリスマ性のあるインターンと泥沼不倫に陥るという。

昨年、ゼンデイヤ主演の『チャレンジャーズ』がベネチア国際映画祭のオープニングに選ばれたルカ・グァダニーノ監督の新作『Queer』は、ウィリアム・S・バロウズの原作をダニエル・クレイグ主演で映画化。前作『チャレンジャーズ』と同様に、脚本をジャスティン・クリッケス、衣装デザインをロエベのクリエーティブディレクター、ジョナサン・アンダーソンが手掛けた。

気になるコンペティション部門の審査員長はイザベル・ユペール。共に審査員を務めるのは、ジェームズ・グレイ、アンドリュー・ヘイグ、アグニエシュカ・ホランド、クレベール・メンドンサ・フィーリョ、アブデラフマネ・シサコ、ジュゼッペ・トルナトーレ、ジュリア・フォン・ハインツ、そしてチャン・ツィイー。

日本勢は、アウト・オブ・コンペティション部門に、北野武監督の最新作『Broken Rage』、黒沢清監督の『Cloud クラウド』が名を連ねた。

北野監督といえば、1997年『HANA-BI』で金獅子賞、2003年の『座頭市』で銀獅子賞を受賞。『Broken Rage』では出演者“ビートたけし”として浅野忠信、大森南朋と共にその名が公表されている。あらすじなど、詳細な追加情報を待ちたい。

黒沢清監督も、2020年『スパイの妻』で銀獅子賞を獲得するなど、ベネチアの常連。新作の『Cloud クラウド』は、集団狂気を描くサスペンススリラー。菅田将暉の主演作が三大映画祭に出品されるのは本作が初となる。

このほか日本勢では、革新的で作家性の強い作品の集まるベニス・デイズ部門に、五十嵐耕平監督の最新作『SUPER HAPPY FOREVER』が出品。同作は9月27日（金）に国内公開予定。

新たな潮流を感じさせる映画作品が集まるオリゾンティ・コンペティション部門には、空音央監督の『HAPPYEND』が出品。昨年のアウト・オブ・コンペティション部門では同監督の『Ryuichi Sakamoto | Opus』が上映されている。

このほかの話題作をみていこう。ジョン・ワッツ監督のアクションコメディ映画『WOLFS』は、ブラッド・ピット、ジョージ・クルーニーが『バーン・アフター・リーディング』（2008）年以来の豪華共演を果たす。ブラッド・ピットは、コンペティション部門にノミネートされている『Maria』主演の元妻アンジェリーナ・ジョリーとあわやニアミスもあるだろうか？

ハーモニー・コリン監督の『Baby Invasion』もアウト・オブ・コンペティション部門でプレミア上映。インディーワイヤー誌によると同作は「超現実的な住宅侵入スリラー」で、ハーモニー・コリンが率いるAIアーティストとビデオデザイナーチーム「EDGLRD」が制作。AI技術を使って侵入者の顔を乳児の顔に置き換え、一人称視点のシューティングゲームとして撮影されたという。百聞は一見に如かず、映画という枠組みを超えた新たな表現がどう仕上がっているのか、注目だ。