セックスって、スキンケアと似ていると思っている。適当に「こんなもんか」とあきらめながら“致す”のと、「気持ちよくなあれ」と心を込めて丁寧に触るのでは、結果だって全然違ってくる。そう、スキンケアと一緒で、気持ちよくなりたいという意志とちょっとしたコツさえ掴めば、ベッドでの快感はもっと高められる。
セルフプレジャーからキス、ブロウジョブまで。ラブライフアドバイザーのOliviAさんが教えるセックスライフを楽しむためのとっておきの奥義で、プレジャーライフのアップデートを目指して。
私、恋愛コラムニストのさかいもゆるがOliviAさんに会ったのは、某プレジャートイ会社のワークショップでのこと。快感を高めるマッサージ「LOVEもみ」の講師として登壇していたOliviAさんと挨拶をした際に彼女が言った「クリトリスは時計回りに攻めろ」というパワーワードが忘れられず、今回セックスとマスターベーションのテクニックについての取材を申し込んだ――時計回りって、どういうこと!? 気になるではないか。
教えてもらったのは、①セルフプレジャーで自分が気持ちよくなる、②パートナーとのセックスで相手を感じさせる、それぞれの方法。気持ちいいからまたしたくなる、快感のポジティブなループをぜひ味わってみてほしい。
【Part1】セルフプレジャーでもっと感じるための6つのテクニック
1.クリトリスは時計回りに攻めろ!?
「女性は自分自身の性器を見たことがない人も多いですが、感じるためには、まずは構造を知るところから。米粒大サイズのクリトリスは、神経が集まるデリケートな部分。普段は埋もれていますが、興奮して血流が集まってくると硬く大きくなります。神経走行的には上下に撫でると感じやすい人が多いはずですが、どう触るのがいちばん気持ちいいかは人によって様々。上下に擦るとイキやすい人もいれば、左右の方がいい人もいる。クリトリスを時計と見立てて、その時計のどこがピンと来るのか、ポイントをみつけて。時計回りに触ったり、反時計回りに触ったり。触れ方も、一本の指で“点”で感じる派と、クリトリスの周りからじわじわと攻めていく“面”派も。自分がイキやすいタッチを色々試してみて。いつもと違うやり方をするだけでも新しい快感をみつけられます」
2.中イキへの鍵は、いかにクリトリスを充血させるか
「挿入系のバイブレーターは、前戯をしっかりした上で濡れていないと快感を得づらいのでセルフプレジャー上級者向き。クリトリスは、よく聞くGスポットが外側に露出したもので実は繋がっている同じ器官。ですからオーガズムに達するには、膣周りの“外側”からほぐして、クリトリスをいかに充血させるかが重要です。ローターのようなプレジャートイで全体的に振動を与えて外から内側をほぐしていくと、中イキもしやすくなりますよ」
3.“足ピン“してクリトリスを触るとイキやすくなる
「女性はいわゆる“足ピン“、足をピンと伸ばす体勢のほうがイキやすいという人が多いんです。これは内転筋から骨盤底筋にテンションがかかるため。この体勢でクリトリスを触るとオーガズムを得やすくなるので、ぜひお試しを。ちなみに挿入系ならば逆に足に力を入れずに脱力したほうが気持ちいいので、使い分けてみて」
4.クリトリスとGスポットの挟み撃ちでWオーガズム
「クリトリスと膣の両方を同時にW責めすることで快感は絶頂に。このとき、性器の外を十分刺激してから指を挿れると、膣内が充血してくるのでGスポットがみつけやすくなります。プレジャートイを使用するなら、クリトリスに当てながら挿入もできる、ふたまたに分かれた“ラビットバイブ”や“C型バイブ”と呼ばれるタイプのものを。パートナーとのセックスでは、外を舐めてもらいながら指を挿れてもらうのも気持ちいいですよ」
5.秒速5センチ、桜の花びらが舞い落ちるスピードで優しくタッチ
「人間が最も心地よさを感じるのは、1秒間に5センチの速度でのタッチといわれています。これは桜の花びらが舞い落ちるスピードとほぼ一緒。温かい手で肌の表面を凹ませない程度のソフトな圧でそっと触れるのが、気持ちいいタッチのポイント」
6.快感の呼び水になるローションはマスト!
「強くおすすめしたいのは、潤滑剤になるローションを使うこと。特に挿入タイプのバイブレーターを使うときは挿れやすくするためにもマストですが、最近人気のクリトリスを吸引するタイプのトイも、ローションを塗ってからだと高まりやすくなります。脳が濡れていると錯覚するので、快感の呼び水に。手で触るときも、ローションがあった方が断然気持ちいい。注意したいのはローション選び。色付きのものや配合成分によっては肌トラブルが出たりすることも。また、油性の成分だとシリコン製バイブは劣化してしまうので、ウォーターベースの水溶性のものを選んで。触感も、サラサラしすぎているとトイから流れてしまうのでほどよく粘着性があるものがベター。プレジャートイの会社から出ているものにいいものが多いです。私のおすすめは、イギリスの『イエス』というブランドのもの。どんなトイとも相性がよく、無味無臭なので安心して使えます」
【Part2】パートナーを感じさせるための5つのテクニック
1.キスは“擬似挿入”をイメージしながら舌を抜き差し
「キスするときは、セックスの挿入のイメージで舌をゆっくりと抜き差ししたり絡めたり。NGなのは、舌に力を入れて早く動かすこと。舌は脱力させた方が柔らかくて生温かい、エロティックな感触を与えられます。Mっ気のあるパートナーならば、舌を甘噛みするのもウケるかも」
2.乳首は外側から螺旋状にじわじわと攻める
「乳首を攻めるときには、外側からじわじわと円を描いて螺旋状に愛撫を。くちびるを使うならば、キスする、くちびる表面を押し付ける、舌先で転がす、甘噛みするなど変化をつけるとより楽しめます。縦横上下のほか、時計回りに逆時計回りなど感じるポイントをじっくりと探って。強度もソフトがいいか強めがいいか、好みは人それぞれなので確かめながら一緒に気持ちのいいやり方をみつけていくのがベスト。このとき、相手の両手をロックして拘束感を出して受け身にさせておくと、快感が高まるはず」
3.“お預け“で焦らして昂らせる
「いちばん感じる場所にすぐに到達するのではなく、お預けを食らわして相手の欲望を煽ります。局部に触れる前にアンダーウェアの上から鼠蹊部に触り、そこから徐々に移動。さらに優しい刺激から、強い刺激にと緩やかに移行させることで快感に導いて」
4.ブロウジョブは舌を密着させながら口と手のW使いを
「男性器の亀頭の裏の窪みの部分である包皮小帯は、感じるポイント。ここに舌を密着させながら、裏筋から先端にかけてをソフトタッチ。先っぽを口に含みながら手でその下を抑えて上下に動かすW刺激。舌をローリングさせながら時計周りに舐めて、ハンドは上下にスライドするのもおすすめの必殺テク。どんな強さや動かし方が気持ちいいのか、相手の反応を見ながら調整を」
5.亀頭はなでなでして軽い刺激からスタート
「男性器への愛撫は、いきなり強い刺激からスタートするのではなく、軽めのタッチから段階を踏んでディープな刺激に移るのが基本。まずは硬くなった亀頭をいい子いい子するように撫でて焦らして。ブロウジョブも、口に含む前に表面にキスをしたり触ったりして焦らす時間を作ることで、『もっと欲しい』『イカせて』と懇願させてしまいましょう」
とても具体的で実用的なアドバイスの数々は、すぐに試してみたくなるものばかり。
「まずは自分自身で感じる身体を普段から準備して意識して開いておくと、パートナーとのセックスもより楽しめるようになります。自分の身体も相手の身体も、感じるやり方や性感帯を試しながら、攻めや受けの役割もフレキシブルに変えていく。そうやってパターンを作らないことで、マンネリを防いで毎回新鮮な行為を味わえるようになるのではないでしょうか」
PROFILE
OliviA(オリビア) ラブライフアドバイザー、日本性科学会会員。2001年よりセクシュアリティやジェンダーの調査研究を始め、2007年から性に関する総合アドバイザーとして活動。メディア出演、執筆、講演、カウンセリング、商品開発など幅広い分野で「女性のセクシュアルウェルネス」や「コミュニケーションを重視した性生活のあり方」を提案している。著書は日本・台湾で出版。近著に「セックスが本当に気持ちよくなるLOVEもみ」(日本文芸社)。
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