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【終戦80年】原爆を改めて知るための、ドキュメンタリー&フィクション11選

貴重な記録映像から巨匠の人間ドラマまで、「原爆」をさまざまな角度から見つめる11本を厳選。

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【終戦80年】「原爆」を改めて知るための、ドキュメンタリー&フィクション
clumpner//Getty Images

2025年は、終戦から80年を迎える年。戦争の、そして核兵器の恐ろしさを忘れないためにも、ここで紹介する広島と長崎に落とされた原爆にまつわるドキュメンタリーとフィクションを通して、知識を深める時間をとってみてはいかがだろうか。

当時の日本やアメリカのこと、放射線の影響のこと、被爆者のこと――新たな学びや気付きが得られるかもしれない。

1

『オッペンハイマー』(2023)

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【本予告】『オッペンハイマー』3月29日(金)、全国ロードショー
【本予告】『オッペンハイマー』3月29日(金)、全国ロードショー thumnail
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“バーベンハイマー”の炎上ミームでも注目を集めた、クリストファー・ノーラン監督作。第2次世界大戦下のアメリカで原爆の開発を指揮し、「原爆の父」と呼ばれた理論物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの半生を描く。時間軸を行き来しつつ、観客にロバートのジレンマを追体験させるナラティブが特徴だ。

キャストには、キリアン・マーフィーやロバート・ダウニー・Jr、エミリー・ブラント、フローレンス・ピュー、マット・デイモンら豪華メンツが集結、第96回アカデミー賞では同年度最多の13部門にノミネートされ、作品賞や監督賞、主演男優賞、助演男優賞など7部門で受賞した。ベースとしたのは、カイ・バード&マーティン・J・シャーウィンによる、ピュリッツァー賞受賞作『オッペンハイマー』。

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2

『オッペンハイマーの真実』(2023)

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アジアンドキュメンタリーズ配信「オッペンハイマーの真実」予告編 https://asiandocs.co.jp
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そんなオッペンハイマーの残した足跡、思想や人間性に迫る、イギリス製作のドキュメンタリーがこちらだ。

1939年、アルベルト・アインシュタインと彼の元助手レオ・シラードは、ルーズベルト大統領に向け、ナチス・ドイツの核兵器開発の可能性を伝える書簡を送る。これに後押しされ、「ドイツが原爆を手にすれば、世界がファシズムに染まる」という危機感を背景に米国でも原爆研究が始まり、1942年にはオッペンハイマーを責任者とする「マンハッタン計画」が始動。

だが、自身が生み出したものが甚大な被害をもたらしたことを知ったオッペンハイマーは、「もし再び世界大戦が起こったら、文明社会は滅びる」と、核軍縮と管理に取り組み始める。

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『太陽の子』(2021)

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【戦後80年上映】柳楽優弥×有村架純×三浦春馬『映画 太陽の子 特別版』/2025年8月29日より期間限定公開
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2020年にNHKで放送された同名のTVドラマを新たな視点で映画にした本作は、太平洋戦争末期に実在した「F研究」と呼ばれる日本での原爆開発を軸に、時代の波に翻弄されながら生きた若者の姿を映し出す青春群像劇。

若き科学者・修(柳楽優弥)と研究員たちは、海軍の密命を受け原爆の研究開発を進めていた。そんななか、建物疎開(空襲による火災の拡大を防ぐため、前もって建物を取り壊し空地を作る政策)で家を失った幼なじみの世津(有村架純)が修の家に居候することに。さらに、修の弟・裕之(三浦春馬)が戦地から一時的に里帰り。3人は久々の再会を喜ぶが――。

NHK朝ドラ『ひよっこ』や大河ドラマ『青天を衝け』などに携わってきた黒崎博監督が、広島の図書館で偶然見つけた科学者の日記の断片を着想源に、およそ10年間温め続けた企画だという。2020年にこの世を去った俳優・三浦春馬の最後の劇場公開作品でもあり、2025年8月29日(金)より期間限定で劇場公開が決定している。

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4

『ヒロシマ・ナガサキ:75年前の真実』(2020)

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【予告編】Hulu × ヒストリーチャンネル共同製作ドキュメンタリー映画「ヒロシマ・ナガサキ:75年前の真実」
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広島と長崎に投下された原爆はどのように開発され、世界に何をもたらしたのかに改めて迫る、Huluとヒストリーチャンネルが共同製作したドキュメンタリー。

研究者や科学者、軍人、被爆者など日米双方の当事者の肉声や、世界初公開を含む貴重なアーカイブ映像資料の数々とともに、原爆を生み出した「マンハッタン計画」の全貌や開発の裏側、そして原爆が与えた痛ましい被害を時系列で振り返る。

エミー賞を含む多数の受賞実績を誇るイギリスの著名製作会社「October Films」が映像を手がけ、当事国ではない客観的な立場からの視点がもたらされているといえる。

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5

『ヒロシマの記録 “地上の地獄”は映像に遺された』(2024)

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【原爆特番】原爆の惨状を記録したフィルム「ヒロシマの記録 “地上の地獄”は映像に遺された」(2024年8月6日放送)
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こちらは、原爆や戦争にまつわるプログラムを製作し続けている広島の放送局、中国放送(RCC)による特別報道番組。

原爆投下から2カ月後の広島を収めた記録映像の、ユネスコの「世界の記憶」(世界的に重要な記録物への認識を高め、保存やアクセスを促進することを目的に、1992年よりユネスコが開始した事業)への登録を目指す取り組みや、放射線の被害、フィルムの中の人々の戦後の生きざま、被爆80年に向けてのフィルムのカラー化作業などを追いかける。

被爆者が減り、原爆の実体験が語られる機会もますます減るなかで、その価値を改めて認識できる非常に貴重な映像だ。「もしいま核兵器が使われたら……」との思いを巡らさずにはいられない。

6

『おーい、聴こえますか? 被爆75年・ヒロシマから』(2020)

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【原爆特番】原爆小頭症の被爆者たちとその家族の現実「おーい、聴こえますか? 被爆75年・ヒロシマから」(2020年放送)
【原爆特番】原爆小頭症の被爆者たちとその家族の現実「おーい、聴こえますか? 被爆75年・ヒロシマから」(2020年放送) thumnail
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妊娠早期に母親の胎内で近距離被爆したことにより細胞が傷付けられ、先天性の知的障がいや身体障がいを負う「原爆小頭症」の名を聞いたことがあるだろうか?

同じくRCC製作の本作では、この症状にフォーカスを当てながら、ときには身内からさえも見捨てられてしまう患者や家族を取り巻く差別と偏見、患者とその家族で結成した組織「きのこ会」の活動、そして、平和の本質とは何かを問いかける。観終わったあとは、タイトル「おーい、聴こえますか?」に込められた意味を改めて考えてみたくなるはずだ。

なおRCCのYouTubeチャンネルには、ほかにも原爆や平和関連の動画があるので、気になったらチェックしてみてほしい。

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7

『誰がための放影研』(2020)

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被爆75年TSS報道特別番組『誰がための放影研』For Whom does RERF Exist?
被爆75年TSS報道特別番組『誰がための放影研』For Whom does RERF Exist? thumnail
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日米両政府が出資し、放射線の人体への影響などを調査している共同研究機関、「放射線影響研究所(放影研/RERF)」。広島市と長崎市にあるが、その存在を知っている人は、現在では決して多くはない。前身は、原爆の長期的な影響調査を行うために1947年にアメリカが設立した「原爆傷害調査委員会」(略称「ABCC」)だ。

被爆75年を迎えた2020年に、テレビ新広島(TSS)が製作したこのドキュメンタリー番組では、ABCCの非人道的な検査により心にトラウマを負った被爆者をはじめ、元職員&現職員、放影研のアメリカのトップらを取材。被爆者と70年以上かかわってきた放影研の歩みを辿りながら、これからのあり方を考える。

8

『千羽づる』(1989)

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千羽づる 予告編
千羽づる 予告編 thumnail
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広島平和記念公園を訪れたことがある人なら、色鮮やかな折り鶴に囲まれた「原爆の子の像」(「千羽鶴の塔」とも呼ばれる)を見たという人は多いだろう。では、この像のモデルになった少女、佐々木禎子さんのことはどのくらいご存じだろうか。

2歳のとき爆心地から約1.6キロの自宅で被爆した彼女は、その後成長するも、小学6年生になった1954年に白血病を発症する。「生きたい」と願い鶴を折り続ける彼女だったが、病は徐々にその体を蝕んでゆき……。

ハチ公物語』や『ひめゆりの塔』などを手がけた、神山征二郎監督作。劇中にはABCCでの検査の様子も登場する。

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9

『キノコ雲の上と下 祖父は、ふたつの原爆を見た』(2023)

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キノコ雲の上と下 祖父は、ふたつの原爆を見た【ドキュメンタリー】
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広島テレビ製作のこのドキュメンタリーに登場するのは、原爆にまつわるドキュメンタリーを撮り続けているアメリカ人映像作家アリ・ビーザーさんと、アリさんの活動を支える長崎在住の被爆3世、原田小鈴さん。

アリさんの祖父ジェイコブ・ビーザーさんは、広島と長崎に原爆を落とした2機のB-29に搭乗していた唯一の人物であり、そして原田さんの祖父・山口彊(つとむ)さんは、広島と長崎でそのB-29が落とした原爆により2度被爆した“二重被爆者”である。

キノコ雲の上にいた軍人と、下にいた被爆者――2人の孫どうしが手を取り合い、国境を越えて反戦と平和を訴える姿を収めた。

10

『二重被爆』(2006)

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アジアンドキュメンタリーズ配信「二重被爆」予告編
アジアンドキュメンタリーズ配信「二重被爆」予告編 thumnail
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いっぽうこちらは、前出の山口彊さんをはじめとする、広島と長崎の両方で原爆の放射能を浴びてしまった二重被爆者にスポットを当てるドキュメンタリー。

原爆投下後2週間以内に広島・長崎の両市を訪れ、残留放射能を浴びた二重被爆者の数は165名、そして、2度の原爆に直接遭遇した被爆者は9名いることが確認されているという。本作では、長いあいだその存在をほとんど知られてこなかった彼ら7名の証言を通じて、二重被爆の実態と、なぜアメリカは2度も日本に原爆を落としたのかを振り返る。

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『父と暮せば』(2004)

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父と暮せば 60秒スポット(高野悦子劇場放送)
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井上ひさしの同名戯曲を、『美しい夏キリシマ』などを撮ってきた黒木和雄監督が映画化したヒューマンドラマ。

舞台は原爆投下から3年が経った広島。生き残ったことにずっと負い目を感じている娘・美津江(宮沢りえ)と、彼女の前に幽霊となって現れた、原爆で死んだ父・竹造(原田芳雄)との、心温まる4日間の交流を描く。

美津江はある青年・木下(浅野忠信)に対し恋心を抱いていながら、「自分には幸せになる資格はない」と幸せになることを拒否し続けている。劇中では、その悲しい理由を明かしつつ、原爆がもたらしたむごい現実を我々に知らしめる――。

本作と対になっている、長崎の原爆をテーマとした『母と暮せば』(2015)もあわせて鑑賞しておきたい。

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