2006年に亡き母ダイアナ元妃を偲んでチャリティ組織「サンタバリー」を立ち上げたヘンリー王子。今年3月にパトロンの立場から退くことを発表し、世間を驚かせた。王子は組織を離れる理由として新会長に就任したソフィー・チャンダウカ博士の存在を挙げ、彼女の辞任を求めている理事たちと行動を共にすると説明した。一方のチャンダウカ博士は、組織内で人種差別やいじめ、女性蔑視が行われていると反撃した。
博士の告発を受けてイングランドとウェールズの慈善団体を監督する機関、チャリティ委員会は組織を調査していたが、それがついに終了。現地時間8月5日(火)に委員会が結果を発表した。それによると「広範で組織的ないじめ、ハラスメント、女性蔑視もしくは黒人女性に対する蔑視の証拠は見つからなかった」。つまり王子らに対する疑惑は晴れたということ。しかし委員会は「公の場で争いを繰り広げた」として関係者を批判。「争いを内部で解決できなかったことがこの組織の評判に深刻な影響を与え、チャリティ組織全般に対する一般の信頼を損なう危険性をもたらした」とコメント、王子や博士がマスコミを通じてお互いを攻撃しあっていたことを注意した。
ところが王子も博士も、委員会からのこの指摘を聞き入れるつもりはないもよう。委員会が結果を発表した後に両者は声明を発表、その中でお互いを改めて攻撃している。
王子はスポークスパーソンを通じて、いじめや差別に関する証拠が一切出てこないことは「驚くべきことではない」とコメント、博士側の主張に根拠がないことを再度強調。チャリティ委員会の報告書に「多くの点で深刻な不備がある」とし、調査した委員会のことも批判した。またサンタバリーのパトロンに復帰するつもりはないと宣言し、「サンタバリーの本来の使命を胸に刻み」「レソトとボツワナの子どもたちを支援し続けるための新たな方法を探求することに注力する」と説明、新組織の設立も匂わせている。
一方のチャンダウカ博士も、王子や委員会を批判。博士は今年2月、つまり王子がパトロンを辞任したことが報じられる前、チャリティ委員会に組織の内部統制に関する懸念を内密に申し立てている。博士は、争いが表沙汰になったのは3月に辞任したヘンリー王子や共同設立者であるレソトのセーイソ王子が、「博士の予期していなかった悪質なメディアキャンペーン」を仕掛けたからだと主張。それがサンタバリーの活動に「計り知れない損害をもたらした」としている。調査は終了しても、両者のバトルは収まらないもよう。王子の新活動を含め、次の動きに注目が集まっている。