俳優のシドニー・スウィーニーが出演したアパレルブランド「アメリカン・イーグル」のキャンペーンがアメリカで物議を醸している。議論が続く中、ドナルド・トランプ大統領がシドニーとブランドの味方についた。
このキャンペーンは同社の代表的アイテムであるジーンズをPRするもの。動画に登場するシドニーもジーンズを履いているのだが、同じ発音の「Genes(遺伝子)」をかけて「遺伝子は親から子へと受け継がれる。多くの場合、髪の色や性格、目の色などの特徴を決める」と語っている。そして動画の最後でカメラはシドニーの顔をクローズアップ。青い目のシドニーが「私のジーンズは青」と締めくくると、キャッチコピーの「シドニー・スウィーニーのジーンズ(Jeans)は素晴らしい」というフレーズが映し出される。ちなみに動画には「シドニー・スウィーニーの遺伝子(Genes)は素晴らしい」というキャッチコピーが「Jeans」に書き換えられるバージョンもある。
この動画が公開されると、マスコミもネットも大騒ぎに。白人至上主義的で優生学を肯定するものだという声が上がった。優生学は悪質な遺伝を淘汰し、優秀な遺伝子だけを残し繁栄させること目指す理論だが、ナチスドイツの優生政策を初めとする人種差別などの礎になったことから否定的な評価を受けている。このキャンペーンもその考え方を助長するものだとして批判されている。またシドニーも、疑問を抱かず出演したことでバッシングされている。
そんな中、彼女が共和党支持者であることが明らかになった。ニュースサイト「バズフィード」によると少なくとも大統領選挙が行われた昨年、シドニーは共和党員として登録していたという。この報道をきっかけに、シドニーが一部の共和党支持者やトランプ大統領支持者と同じように白人至上主義者なのではないかと疑う声が改めて上がっている。
シドニーに対する風当たりがますます強まる中、強力なサポーターが現れた。それはドナルド・トランプ大統領。今週初めにペンシルベニア州でレポーターと話していた大統領は、シドニーが共和党員であることを知らされると「彼女が共和党員だって? それを聞いて彼女の広告を気に入ったよ」とコメント。大統領は「本当に? シドニー・スウィーニーが?」と続けると「共和党員が多いことに驚くだろう。(彼女がそうだとは)知らなかったけれど、教えてくれて礼を言う」と付け加えていた。シドニー本人は炎上騒ぎに対して沈黙を貫いている。どう収拾するのか、アメリカマスコミの注目が集まっている。