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グレタ・トゥーンベリに続く、持続可能な未来を担う若手アクティビストたち

持続可能な生き方を実践し、自分たちの世代や未来を担う人々に強いインパクトを与える若き環境活動家たちが、ワールドワイドに台頭し始めた。エル・ジャポン8月号より。

By ELLE Japan
若手アクティビスト
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Photo PATRICIA GALLEGO, KAVIAN BORHANI-KHOMANI, Aflo
Interview MARGARET WAPPLER
Text MAYUMI YAWATAYA

ジェイミー・マーゴリン(18歳/環境活動家 「Zero Hour」代表)

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将来の大統領候補!? 粘り強い市民活動が世界を変える

シアトル在住の環境活動家、マーゴリンのツイッターにはしばしば、#FUTUREPOTUS(未来の米大統領)と書かれる。これまで彼女が成し遂げたことを見れば、それも大げさとは言い切れないだろう。

すでに8歳のとき、学校で「グリーンクラブ」と書いた手づくりのピンバッジを友人に配り、「地球を救うことに関心があったら、仲間になって」と声をかけていたという。15歳になる頃には解決策も見つけ出し、ワシントンDCでのデモへの参加をインスタグラムで呼びかけ、2017年にはオンライン上に環境活動のプラットフォーム「Zero Hour」を立ち上げた。'18年には ニューヨークやロンドンなど、世界規模の若者の抗議パレードを主催。 同年、他の若者2人とアメリカ連邦 政府を訴えてもいる。

「私たち世代の命、自由、幸福を追求する権利と、ワシントン州の州法が示す天然資源への私たちの権利を、政府が否定しているからです」

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昨年はグレタ・トゥーンベリら10代の活動家たちと米国評議会で証言に立ち、国の行動を「恥ずべき」で「臆病」だと糾弾し、9月に「国連ユース気候サミット」、 10月にコペンハーゲンでの「C40世界市長サミット」に参加している。今年6月には初の著書で環境活動家的な生活を始めるためのハンドブック「Youth to Power」を上梓。高校3年生ながら、地球を健全にするための活動を最優先にしている。







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「差し迫る気候災害は常に現実のもの。初めて知ったのがいつだったか思い出せないほど、人生のほとんど の時間、この問題は私の心の中にある」と話すマーゴリンは、長く取り組んでいても進展がないことを悔し がりつつ、世界中で政府への世間の圧力が高まっていることに力を得ている。世論形成の大切さを訴え、粘 り強い市民活動が変化のきっかけになるというのが彼女の信念。

「誰もが気候変動について話すようになったのは、私たちや前の世代の活動家たちの行動があったからこそ。 世論の大きな変化は政策の変化につながります。政策変更は期待したほどの速さでは進んでいませんが、もう手が届くような気がします」

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エンジニアの父、フードバンクの運営に携わる母も力強い味方だ。 ヘッドフォンで音楽を聴き、小説や脚本を書いたり、絵を描いたりすることが幸せな時間だと話す、創造性豊かなティーンエイジャーとしての顔ももつ。活動をすることで人の目を引き、ネット上での嫌がらせ、中傷、批判の的になることもあるが、それすら彼女を止めることはない。

「Zero Hour は人々を触発し、動かした。私にはそれがすべてです」

米国下院議員アレクサンドリア・オカシオ= コルテスを“お手本”とするマーゴリンは、世の中を変える力をもつ議員を目指している。

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アレクサンドリア・ビジャセニョール(14歳/環境活動家 「Earth Upriging」代表)

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抗議デモに若者を集めたスーパー中学生

「ストライキは世界のリーダーたちにプレッシャーをかけるベストな方法です」

ビジャセニョールは14歳にして、街頭での抗議デモの若者モデルをつくった。 国連本部前にひとりで初めて座り込んだ のは、2018年12月14日。プラカードに 「気候のための学校ストライキ」と書き、 冬のNYの凍える寒さのなかで毎週座り、他の賛同者を巻き込むまでになった。

きっかけはその1ヵ月前。カリフォルニア史上最悪の山火事、キャンプ・ファイアに遭遇し、屋内にいながら有害な煙を吸って、喘息の発作を起こした。災禍を促しているのが気候変動だと気づいたとき、 国連イベントでグレタ・トゥーンベリを知り、あとに続きたいと世界中のリーダーが集まる国連でのストライキを思いついた。

その機運をつなげようと立ち上げたのが、若者向けのオンラインコミュニティ「Earth Uprising」だ。世界中の若いリーダーを結び、気候変動についての教育 を行う。教育は「Earth Uprising」の基盤であり、「行動する力の源で社会的な運動を成功させる鍵」とも話す。

最近の国連の報告によると、2030年までにエネルギーや輸送などのシステムを変え、産業革命以前の気温から1.5°C の上昇に抑えることが人類には課されている。それでも火災や洪水、干ばつなどの自然災害のリスクはなお残るのだ。

「若者が権力のある地位に就くまで待てません。政治家を動かさないと。事態は緊急。だから若者は抗議し、行動し続けます」

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地球を救うための学生たちの課題

環境活動と学業の両立が課題とか。「活動に集中するために、教育を獲牲にしなければならない。それが今の私たちの世界です」











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カシア・モラエス(30歳/環境活動家「Youth Climate Leaders」代表)

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環境分野のキャリア支援グローバルなつながりも

ブラジル出身でコロンビア大学の卒業生のモラエスは、2年前に「Youth Climate Leaders(YCL)」を立ち上げた。18歳から36歳の若者に気候変動、環境分野に関わるキャリアをもてるようサポートする組織だ。「アマゾンの熱帯雨林の火事は、 世界が崩壊する映画のようだった」と語る彼女はこれに衝撃を受け、故郷と人類の未来を考えた。「ブラジルには素晴らしい天然資源がある。再生可能エネ ルギーと低炭素、または脱炭素型経済への移行を通じ、貧困や犯罪など、国が直面する問題を解消する新たな"グリーンジョブ"を生み出せるのでは」と。

モラエス自身、気候変動分野の職に就くまで5年を費やしたという。そのプロセスを簡単にしたいと、YCLを設立。「この分野で働く若者が増えれば、気候変動 を乗り越えられる」という思いからだ。

YCLの初年度には95ヵ国500人が応募。プログラム卒業生は、2名が「国連ユース気候サミット」への出席を指名さ れ、C40(世界大都市気候先導グループ)での活動という実績も。また今年の2 週間近くにおよぶプログラムは、ポルトガルで開催される予定だ。これまでもパリ、 ケニア、ブラジルなどが開催地だった。

「気候変動は、真の国際協力によってのみ克服できます。だからこそ、ネットワークが重要なんですが、連携を構築するには時間もかかります。それまでは、できることから始めましょう。大切なのは始めること。そして、物事は進んでいくのです」

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ブラジルの自然が 環境活動の原点

14歳からベジタリアンというモラエス。サンパウロ近郊の小さな都市モジ・ダス・クルーゼスで、「自然に 囲まれ、外で遊んで育った」と。

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世界の国際会議でも若手アクティビストが活躍中!

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2019年10月、デンマークのコペンハーゲンで開催されたC40世界市長サミットには、15歳から23歳の世界の主要96都市からやって来た若き環境活動家が数十人参加。大規模災害、海面上昇、サンゴの窒息、海氷融解といった共有する問題を前に、未来のための解決策を探った。サミットの目標は、地球温暖化との地域での闘いだ。プエルトリコの祖父をハリケーンで失った米国下院議員のオカシオ=コルテスも、「連帯」と「政治的意思」と「行動」の必要性をスピーチで熱く訴え、若者たちを奮い立たせた。

トゥーンベリにも鼓舞された若者たちは、数カ月にわたり世界中で数万人規模のストライキを行い、各国政府に気候緊急事態宣言の採択を求めた。"瀕死の地球"を受け継がされた彼らは今、未来を救うための行動を続けている。

エミリー・オランド・パリオジアン(23歳)

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「Climate Communicators」という気候変動関連のコンサルティングとオンラインプラットフォームを立ち上げた、シカゴ育ちのパリジェンヌ。変化に柔軟な若者と、活動への連携を広げている。

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ヒルダ・フラヴィア= ナカブイエ(22歳)

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トゥーンベリの呼びかけで創設された国際的な草の根運動「Fridays For Future」のウガ ンダ支部を設立。富める国と貧しい国の住民の不平等を指摘するなど、アフリカ大陸の若者の声を代弁している。

ユーナ・マレット(18歳)

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セネガル出身ブリュッセル在住の高校生で、急進的な環境保護主義運動「Generation Clinet」の創設メンバー。「気候を優先事項に」と学校ストライキを組織し、政府に働きかけたバイタリティをもつ。

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