2025年の星の動きは? 時代が大きく変わり、英雄が登場。でも夢の見すぎは危険
鏡リュウジ(以下、K) 大久保さんは、占いをご覧になったり、占いの結果を現実的な判断に使うようなことってありますか。
大久保佳代子(以下、O) 基本は信じないし、頼らないですね。昔友達が病気を当てられたっていう占い師に見てもらったことがあるんですけど、「あなたはお母さんのおなかの中にいるときから他力本願で、人に言われたとおりに動く人間だから何も言いません」って言われてすごく腹が立って。お母さんのおなかの中にいるときは他力本願でいいだろって。
K それはそうだ(笑)。
O でも世の中全体、時代の流れには興味があります。「風の時代」とはよく耳にしますが、そもそも何占いなんですか?
K 西洋占星術ですね。ただ「風の時代」というネーミングは日本にしかないかもしれない。
O え、そうなんですか?
K ええ。もともとは中世アラブの占星術がベースで、星の会合によって、200年スパンで時代が変わっていくという考えです。「風の時代」というネーミングが特徴的なのは、19世紀末ごろに生まれた「新しい精神の時代が来る」というニューエイジ思想から。1960年代にカウンターカルチャーの人たちが「アクエリアス・エイジ」と呼んでいたんですけど、それと同じようなイメージがあるんですよ。昔の占星術には「人類の精神が進化していく」というアイデアはなくて「王朝が変わっていく」という意味を指していました。その点は伝統的な占星術の考え方とスピリチュアルな考え方との相違点ですね。
K 現代の占星術で見ると、冥王星や天王星、海王星といった地球から遠い星がどんどん星座を移動するタイミング。だから「時代が大きく変わるよ」と僕をはじめ、占星術をやっている人たちが言っているわけです。
O でも実際、大きく変わりそうな気がしますね。
K はい。トランプ氏がアメリカ大統領になったりイギリスがEUを離れたり、びっくりするようなことが起きている。コロナ禍も、芸能界だってね。
O 変わりましたね。大きな芸能事務所もそうですし、いろいろと壊れていっていますね。
K そういう寄らば大樹的なものがどんどん変化しているのはたしかですよね。
O 株価が大きく下がって、関税がどうなるなんて話を聞くとめちゃくちゃ怖いです。
K それは占星術でいうと、165年ぶりに牡羊座に入った海王星と関係があるんじゃないかと。海王星は理想や夢の星。もう一度素晴らしい世界へというファンタジーがかき立てられる。牡羊座って、ヒーローとか英雄像なんです。だから新しい英雄にフォーカスが当たる。個人が弱くなってくると、そういう大きな存在への投影、期待が大きくなるんですね。でも、夢を外側に求めると、こちらの夢を背負ってくれる人に全てを投影することになってしまうので、危ないんです。
O 危ないですよね。その人のかじの取り方でどこにいくかわかんないですもんね。
K 理想と現実をうまく組み合わせられると、夢の一部でも実現していく方向になりますが、夢のバルーンが大きすぎるとかなわなくて、それが幻滅と失望につながってしまうかもしれません。
O 理想がかなうかもしれないし、幻滅するかもって極端ですね。
2025年後半は、自分のルーツやホームを振り返り、居場所を整える時期
K 2025年後半は、幸運の星・木星が入る蟹座が象徴するホームやケアも重要になってきます。ご近所付き合いとか後輩の愚痴を聞いてあげるとか。
O ホームとケアってマンションを買うとかもいいですか?
K そうですね。結婚も含めて、自分の巣とか足場をつくる時期です。なじみの店を大事にするとか、居心地のいいコミュニティをつくるなら来年の6月下旬までに動けるといいですね。
O 人付き合いも年々面倒くさくなっちゃう。でもつながったときの温かさはわかってるんでね。年下のスタッフさんに話しかけるとかしてみようかな。急になれなれしくなって来年の6月すぎたら元の態度に戻ったりしてね(笑)。
K 2拠点には興味があります?
O 2拠点というか、実家に高齢の両親がいて介護のまっただなか。月2回、地元の愛知県に帰っていて、今後愛知での生活が増えてもいいなと思ったりしています。
K ホームを考え直すって意味ではいい時期。あとは自分のルーツに戻ることも考えるといいです。
O それは本来やりたいことがあるならやってもいいとか?
K 何かありますか?
O 今年54歳になって、芸能界も頑張ってるけれどあと何年続けられるかわからない。私すごく動物が好きなので10年後とかに動物愛護など、何か活動するために今から動き出したほうがいいのかなと。でも、なかなか動かない人間なんですよ。背中を押されて、これ以上無理、となってやっと動く。面倒くさがりなんです。
K 大久保さんは牡牛座。不動宮ですね。牡牛座・獅子座・蠍座・水瓶座が動かない星座といわれていて、すぐ動かないのはやっていることをキープして育んでいく人だから。すごい努力家ですよ。
O やっぱ努力家なんだぁ(笑)。
占星術で読む、女性の人生のステージとは?
K でも、動物愛護など、自分のことだけではないことをしたいと思っているんですもんね。
O 一人で生きてきて自分のことはもうある程度やったので。人に何かやってあげて感謝されたり求められたりするほうが力になる。
K 占星術では、人生のバイオリズムも星の動きと連動しています。リアリティとか現実を意味する土星が一周するのが約30年。その頃を占星術上の成人式と捉えます。一周半する40代半ばが人生の折り返し地点。でも、寿命が延びた分だけそれも伸びてきた。次のステージはカイロンという星があって、傷ついた治療者と呼ばれます。自分の中で癒やせない傷もあるってことを受け入れる年代。
O 今までの傷で、癒やせないなと思っていたのを受け入れると?
K コンプレックスとか嫌なことって乗り越えられると思うじゃないですか、若い頃は。でも人生の中では、受けた傷や与えちゃった傷を癒やせないこともあるってことを良くも悪くも受け入れる。
O 受け入れることで自分が楽になる、と? いいことですか?
K そうですね。それに気がついて楽になるのが50歳前後。女性の場合は更年期もあるし、勝てないものもあると気づいていく年代です。60歳前には土星が2周目に入って還暦に近づき、いよいよ人生も第3ステージ。社会のフロントラインで活躍して、そこから先は若手を導くエルダーに。後進に経験や知恵を渡していくんです。
O 第3ステージに向けて、理想をクリアにしたり、ホームを整えたり、今からちょっとずつ準備していく流れなんですね。
K そうですね。そのためにジャーナリングのように、紙に書き出して自分を見つめ直すのも有効だと思います。
O 7月にあるといわれている、天変地異や戦争は大丈夫ですか?
K 占星術では、その時期に特別大きな星の動きはないんです。2026年から2027年には大きな天体がみんな移動を終えるから、不安定な動きも落ち着くはず。
O 心配しすぎず、前向きにいたほうがいいってことですね。
K 世界が大きく揺れると、狭いコミュニティの中で固まって分断が高まりがち。でも2026年7月くらいから自分と違う価値観の人も許容できるようになりそう。2026年は自己表現の年でレジャーや遊びなど華やかな場で、自分が主役という意識を持つといい流れ。2027年はそれをちょっと振り返り反省する年です。
O なるほど。来年いい気持ちでいろんなことに向かい合えるように、今年は自分を振り返って、ファンタジーを描いてみようかな。
K 星占いの使い方ってそういうことなんです。1個のキーワードから、身近なことを変えるのも大きな決断もできる。まずは、私にとってホームってなにかしらって考えるところからスタートするといいんじゃないかな。あとは、どう仕事を上がっていくかとかね。
O 惜しまれつつ次に進みたいですね。痛いババアだなって言われる前に去りたいですけど。
K そう言われるのもお役目かもしれないですしね。
O そんなお役目やだなぁ(笑)。
2025年後半以降の開運キーワード
KEYWORD1「ホーム」
6月に移動する幸運の星・木星が象徴するのが「ホーム」であり「居場所」。今居るところ、いつか訪れたい場所、行きつけの店など、人によって心落ち着く場所はさまざま。自分にとってどこがホームなのか見つめ直し、心地よく過ごせる場所を大切にしてみて。
KEYWORD2「ケアシップ」
木星が蟹座に滞在する2026年6月末まで、誰かのために何かをすることが幸運のキーワードに。友人関係、親の介護、年下に対するまなざしなどを意識し、心に寄り添う姿勢が自分の幸福にもつながっていく。
KEYWORD3「理想を描く」
海王星が象徴する「理想」「夢」。ぼんやりと人任せにしたままだと時代の波に翻弄されてしまうかも。ジャーナリングをするなど、自分の理想を具体的に描くことで、2026年自己表現の年に向けて自分の軸やしたい生き方がクリアにしていくと◎。
KEYWORD4「7月5日」
天変地異が起こるのではと巷でうわさになっている7月5日。占星術では、2026~2027年にかけて、大きな天体の移動が終わり、いろいろなことが落ち着いてくる時期。心配しすぎず、災害に必要な備えはしっかりと準備して、前向きに。
自分への理解が深まる! ジャーナリングのすすめ
アメリカでベストセラーになったジャーナリング本を翻訳した鏡リュウジさん。ジャーナリングの効果や占いとの関係、そのメリットについても話を聞いた。
「ジャーナリングは“書く”ことで自分の心と向き合う行為ですが、問いかけをして書く、という行為は占星術と非常に近い行為。占星術も“こんな星の動きがありますが、思い至ることがありますか?”と問いかけ、クライアントの過去と未来をつないでいくものなんです。『シャドウワーク』は中でも自分が繰り返してしまう過ちに向き合い、乗り越えるワークがメインですが、自分自身を知ることは運命を改善する一歩になります」
占い×ジャーナリングセミナーもチェック!
2025年6月28日(土)、あらゆる人をエンパワーし、より良い変化を共に創るエルのプラットフォーム「ELLE ACTIVE!」が主催するイベント「エル アクティブ フェスティバル」を今年も開催。その中で、鏡リュウジさんとタレントのPecoさんが占い×ジャーナリングのセミナーに登場します。(チケットは完売済み)
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【PROFILE】
大久保佳代子
1971年生まれ、愛知県出身。プロダクション人力舎所属。1992年、光浦靖子とお笑いコンビ・オアシズを結成。日本テレビ「上田と女が吠える夜」、TBS系列「ゴゴスマ」など多くのテレビ・ラジオで活躍する。
鏡リュウジ
占星術研究家、翻訳家。1968年京都府生まれ。10代の頃から占星術、秘教などに関心を抱き、さまざまなメディアで30年以上にわたり活躍中。占星術やタロットカードの歴史にも造詣が深く、著書も多数。HP https://kagamiryuji.jp/