ジェンダーへのもやもやをきっかけに、心理的安全性を重視し、ジェンダーに関する学びと繋がりを得られ、行動に移せる環境、「ジェンカレ」を立ち上げた櫻井彩乃さんにお話を聞いた。
ジェンダー課題について仲間と深く学ぶためのスクールを開校
世界経済フォーラムが発表するジェンダー・ギャップ指数は2024年も日本は146カ国中118位。一方、世界では幼いうちに結婚や出産を強制されたり教育を受けられない女性も多いと聞けば、自分たちはそう悪くないのでは? などと感じることもある。発言したいけれど、わからないことが多い。そんな思いを抱く若者世代のために、ジェンダー平等に向けた正しい知識を身につけ、共感できる仲間を見つけられる場「ジェンカレ」が誕生した。代表を務める櫻井彩乃さんに話を聞いた。
「ジェンカレは、ジェンダーという共通のキーワードのもと、心理的安全性が守られた環境で学び、つながり、行動できる場です。2022年から活動を開始し、2024年に法人化しました。これまでに56名の修了生を輩出し、メンバーらが6つの団体を立ち上げ、30のキャンペーンやイベントを開催してきたなど、実践的な学びの場となっています」
本やウェブで学ぶこともできるし、大学で学ぶ方法もある。あえてカレッジを立ち上げた意図は何だろうか。「社会人になってから学ぼうとしてもなかなか学びの場がなかったり、本で網羅的・体系的に学ぶのは難しい。また同じ思いを抱く人とつながりたいと思ってもセンシティブなテーマでもあり、ネット上で仲間を見つける難しさもあります。そういった問題をクリアし、さらにアクションする方法まで模索できるのがジェンカレの価値だと思います」
ジェンダーへのもやもやをパワーに変える場に
櫻井さん自身は、ジェンダーバイヤスをあまり感じずに育ち、海外で女性だという理由で健康や命が危険にさらされている子がたくさんいることに課題を感じていた。けれど高校生の時、男子同級生に「女は黙ってかわいくしていればいい」と言われて衝撃を受けた。以来NPO、NGOに参加し、ジェンダー平等に向けた活動を続けている。
そんな櫻井さんだからこその知見や人脈があり、ジェンカレの講師陣は各分野の錚々たるメンバー。「日本と世界の現状の最新情報は、ジェンカレに来れば全てわかります」。ゼミ生は15歳〜29歳まで1期30名と少数先鋭だが、聴講生は年齢も人数も制約がなく、100名以上が参加する。「深く学びアクションリーダーを目指す人だけでなく、裾野を広げていきたいとも考え、地方版、ビジネス版、スクール版もあり、さまざまな層への教育に取り組んでいます」
「教育事業だけで変わることはないけれど、種を蒔いていきたい」と櫻井さん。「日本のジェンダーギャップ指数が上がらないのは、他国の進化がより早いということでもあり、日本も着実に変化しています。諦めず前に進み、性別によって選択肢が狭められることのない世の中に向かっていければと思います」
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