自宅だからこそ続けやすい。「ウォールピラティス」で体を整える
「パソコンやスマホなど、見る対象物が、斜め下にあることにより、猫背やストレートネックになりやすく、正しい姿勢でいることのほうが難しくなっている時代。だからこそ、正しい姿勢に整えることを目的としたピラティスは多くの人に取り入れてほしい」と話す西林さん。では、なぜウォールピラティスが注目を浴びているのか、次のように続ける。
「ピラティスにはいくつか種類がありますが、床で行うマットピラティスは、普段使えていない筋肉を正しく動かせているか、初心者がセルフで確認するのが難しいという落とし穴も。今人気のマシンピラティスは、マシンが体をサポートしてくれますが、スタジオに通わないといけないため、続けられる人が限られてきます。その点、ウォールピラティスは自宅にある壁が体を補助してくれるので、マットとマシンのちょうど中間のエクササイズと言えます。ピラティス自体は、カロリーを消費する激しいエクササイズではないですが、姿勢が良くなるだけで痩せやすくなったり、体の不調の解消にもつながるため、“セミファット”対策としてもおすすめ。毎日少しずつ取り組むだけでも体に変化を感じられると思います」
教えてくれたのは 西林さきさん
ヨガインストラクター。登録者数30万人超えのYouTubeチャンネル「さきヨガちゃんねる」では、自宅でもまねしやすいエクササイズが人気で、さまざまな層から支持を得る。5月に東京、六本木にて、ピラティス&マッサージスタジオをオープン。
気になる部位別・効かせるウォールピラティス8種目
毎日すべての種目をこなすより、一日1種目でも続けることで体の変化を感じやすくなる。日々のルーティンに取り入れ、体を整えて。
ウェスト
体の印象を左右するウエストまわりのエクササイズは、ちょっとハードな分、効果も期待できる !
〈 くびれに重要な腹直筋を鍛える 〉
肩から足先までを一直線に、お尻をゆっくり上げ下げ
足の裏を壁に沿わせて、肘は肩の真下、反対の手を垂直に上げる。このポジションから、お尻を下げてゆっくり戻す。5~10回を目安に。
〈 気になる下っ腹にアプローチ 〉
①脚を直角に曲げ、指先でひざをタッチ
脚の間は腰幅程度に開き、骨盤を床と平行にし、お尻が浮かないように意識。上半身を浮かし、指先で膝を触りスタンバイ。
➁両腕を円を描くようにダイナミックに動かす
腕を上げるタイミングで鼻から息を吸い、腕を戻すときに息を口から吐く。最初は5回から、慣れてきたら10回を目安に行う。
ヒップ
体の中でもサイズの大きい大殿筋を鍛えることで、代謝もアップし、効率良く痩せ体質に。
〈 お尻全体にふっくら丸みを作る 〉
①お尻をグッと持ち上げて、肩と膝を一直線にする
壁に対し、膝よりも少し高い位置に足をつき、お尻を浮かせる。体のラインが反りすぎないように、肩から膝は真っすぐを意識する。
②膝を90度に曲げて上半身にゆっくり寄せる
脚を近づけるときに息を吸い、戻すときに吐く。お尻の位置が下がってきやすいので、①のポジションをキープ。左右5~10回程度。
〈 キュッと上がった高さのあるお尻に 〉
脚を床と垂直に立て、ゆっくり上げ下げ
上のエクササイズの①のポジションから、片脚を上げながら、お尻を上げ下げ。下げるときに息を吸い、戻すときに吐く。5~10回を目安に。
脚
脚の付け根から動かすことによって、脚を正しい位置に戻しつつむくみの解消にもつながる。
〈 太ももの内側を引き締め、O脚防止にも 〉
①片脚を床と垂直に上げ、膝と土踏まずを外側に開く
床に対し、骨盤は平行に。両脚を腰幅程度に開き、膝と床は直角に。片方の脚を壁から離し、膝の皿と土踏まずを45度外側に開く。
②グレープフルーツ程度の円周でゆっくり回す
外回し、内回しを5~10回ずつ、左右の脚で行う。骨盤がぐらつきやすいので、床から離れないように意識。呼吸もリラックスしながら行って。
〈脚全体の筋肉を使い、スラッとした美脚に 〉
①片脚は直角に曲げて壁につけ、もう片脚は垂直に上に伸ばす
両脚を壁につき、腰幅程度に広げる。片脚を上げつつ、もう片方の足裏と骨盤がぐらぐら動かないように体を安定させることを意識。
②脚をゆっくり45度に開き、静かに戻す
上げた脚は壁と平行を保ちつつ、45度に開く。このとき、脚を無理して開こうとすると骨盤が浮きやすくなるため、床と離れないように注意する。片脚5~10回を左右の脚で行う。
背中
姿勢の改善に必須な背中のエクササイズ。頑張る意識ではなく、リラックスしながら体の伸びを感じて。
〈 背中と脇腹を伸ばし、可動域を広げる 〉
①背中を壁につけバンザイのポーズ
頭、背中、お尻を壁につくようにあぐらをかく。そのまま壁に沿って両手を上げ、指先から肘までを壁につける。
②Wの形のように腕をゆっくり下ろす
肩甲骨が硬いと背中が浮いてしまうため、手を下げるよりも背中が壁から離れないことを意識して。ストレッチのように伸びを感じながら深呼吸を。10回を目安に。
〈 背中と脇腹を伸ばし、可動域を広げる 〉
①壁と腕を直角につけ、脚を自然に伸ばす
腕を真っすぐ伸ばした状態で、壁と反対の脚をつま先まで伸ばして手のひらを壁につけ膝立ちに。姿勢は猫背にならないよう、胸を開くことを意識する。
②壁についていない腕をゆっくり傾け、脇腹を伸ばす
壁についていない腕を大きく半円を描くように動かし、指先で壁をタッチ。体の軸がぶれないように膝と腕で支え、背中と脇腹を伸ばしながら、左右10回。動きに合わせて呼吸も忘れずに。