ボヘミアンバングス
Suki Waterhouse

レトロなバンダナやシルクスカーフ、シフォンのマキシドレス。ボヘミアンなムードが再びファッション界を席巻していると言っても過言ではない。そして、そのノスタルジアが今、美容の潜在意識にも浸透しつつあるようだ。例えば、スキ・ウォーターハウスからアレクサ・チャン、デイジー・エドガー=ジョーンズまで、誰もが身につけている“ボヘミアンバング”は、グラストンベリーフェスのピラミッドステージでも、ファッションウィークの最前列でも、この夏、これまで以上に注目を集めている。

ボヘミアンなムードは前髪にも進出。柔らかなレイヤーと繊細な質感、そして簡単にほどける仕上がりが特徴の“ボヘミアンバング”の魅力はいたってシンプル。1960年代の自由な精神とノスタルジアに対する世界の新たな関心を物語るだけでなく、即座にクールな要素も備えている。

でも、騙されてはいけない。一見、気楽で気楽な前髪に見えるものも実はプロのカットや賢いスタイリングツール、そして効果的なヘアケア製品の賜物。以下では、「ハーシェソンズ フィッツロヴィア」のスタイリスト、イジー・ウォーレン氏が、この夏のトレンドであるボヘミアンバングを解説し。髪質や質感に関わらず、このスタイルを真似るためのスタイリングのヒントやテクニックをご紹介!

ボヘミアンバングとは

「ボヘミアンバングとは、エフォートレスな自然体の前髪のこと。ワンレングスのように硬く切りそろえるのではなく、短い毛束から徐々に長くなるパーツを重ね、柔らかく繊細なアウトラインに仕上げる。少しラフでほどけたムードが漂うのが特徴です」とウォーレン氏は語る。

往年のボヘミアンバングはより切りっぱなし感が強く厚みもあったが、いまのバージョンはもう少しソフトで、作り込みすぎない仕上がりへと進化している。スタイリングの幅も広く、クールガール風にエフォートレスにまとめることも、ブロードライで磨いたようなポリッシュドな質感に整えることもできる。

ボヘミアンバングス
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現在見られるボヘミアンバングは、スキ・ウォーターハウスのチョッピーなバングやフローレンス・ウェルチの束感バング、デイジー・エドガー=ジョーンズのカーテンバングまで幅広い表情がある。どれにも共通するのは、均一すぎないレイヤーと少しラフに崩したフィニッシュ。髪質やテクスチャーを問わず似合わせやすいのも魅力。

ボヘミアンバングのスタイリング方法

ウォーレン氏は、このタイプの前髪には独自のカット技法があると述べる。「フルバングは全体を同じ長さに切りますが、ボヘミアンバングは中央がいちばん短くなるのが基本です。そこからやや厚みを残すか、よりチョッピーにするかを見極めます。ベースができたら各セクションを外側へ向かって徐々に長くしていくことで、ほどけたようにエフォートレスな、ボヘミアンらしい仕上がりになります」と付け加える。

ボヘミアンバングス
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前髪をカットしたら、スタイリングも肝心。「前髪は左から右へザッとドライし根元を指で軽く引き伸ばすことで、ラウンドブラシを使わなくても自然なうねりとフォルムが出せます」とウォーレン氏。

もう少しきちんと整った印象にしたいならラウンドブラシを用意。より手入れが行き届いたまとまり感が出る。「髪がまだ濡れているうちに、前髪を落ち着かせたい位置で分けてから、『ハーシェソンズ』の“グレート ヘア クリップ”を前髪に留めてセットします。髪が完全に乾くまで外さず、仕上げに新作の『ハーシェソンズ』“エア ドライ スプレー”をひと吹きすれば、ゴージャスで自然なボヘミアン風の質感が生まれます」と締めくくる。

ボヘミアンバングス
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最後に、なぜ今ボヘミアンに着想を得たヘアがトレンドになっているのだろうか。それは、美容の世界に潜む均質でクリーン志向のトレンドに反骨的なムードが漂い、そこから意識的に離れつつあるからかもしれない。あるいは夏が来ると誰もがレングスで冒険してみたくなる、その気分の表れなのかもしれない。

Realization : Translation & Text : Nathalie Lima KONISHI

出典:ELLE UK