ブラウンヘア
Stefanie Keenan

春の日差しが強まるにつれ、冬の間にくたびれた髪に新しい息吹を与えたくなる気持ちが、いつものようにむくむくと湧いてくる。今季はボブやフリンジ、ブロンド系カラーなど候補はたくさんあるものの、サロン予約の背中を本気で押してくれるのは、深い色味とツヤを放つブラウンシェードたちだ。

「最近はお客様が地毛の色味を活かしつつ、より深くて温かみのあるトーンへ移行する傾向が顕著ですね」と語るのは、ロンドンのノッティングヒルにある「ラリー キング」のカラーリスト、ケイティ・フリードマン氏。

「ジョン フリーダ」でトレンドフォーキャスター兼クリエイティブディレクターを務めるゾーイ・アーウィン氏も同調し、「いま注目を集めているブラウンカラーは、とてもナチュラルなブルネット。極細のマイクロハイライトに、ピーカンやラセット、ソルテッドメープルといった“とろみ系”のウォームブラウンを重ねるのがポイントです」と説明する。

ブルネット人気が加速している理由は、手間のかからなさと磨き抜かれたツヤに尽きると語るフリードマン氏。「最近は、地毛を生かしつつツヤを底上げするグロストリートメントや、微調整用の繊細なカラートーンのオーダーがこれまでになく増えています。いわゆる高級感のあるブルネット、つまり高い光沢があってやわらかな陰影が特徴。そしてやり過ぎに見えない最小限のハイライトがキーワードです」

この春、ナチュラルブラウンにひとひねり加えたい人も、初めてブラウン系カラーに挑戦してみたい人も必見。業界のカラースペシャリストたちに取材し、今シーズン注目すべきブラウン系カラー5つを徹底リサーチした。

2025年春夏ブラウンヘアカラーBEST5

スターレットブルネット

ブラウンヘア
Savion Washington

初夏の柔らかな陽ざしには意外と思えるほど、つややかで深みのあるスターレットブルネットがいま注目されている。これほど濃いトーンだからこそ得られる、レコード盤のようなグロッシーな輝きが最新トレンドを牽引。ヘルシーでありながら髪の表情をリッチに見せる効果がある。アレクサンドラ・ダダリオ、セレーナ・ゴメス、マーガレット・クアリー、アメリカ・フェレーラ、グレイシー・エイブラムス、オリヴィア・ロドリゴなど、スターたちの髪色をチェックすればその魅力は一目瞭然だ。

アーウィン氏は「スターレットブルネットはディープなモノトーンが特徴で、肌に透明感が宿ります。質感を問わず、切りっぱなしのショートやボブにも芯の強さを与え、鮮烈なリップメイクとの相性も抜群です」と解説する。

カラー実現の方法は2通り。ツヤを宿す「レッドケン」“シェーズ EQ”などのグロストリートメントでつややかに仕上げるか、より長持ちさせたいなら同ブランドの“カラージェルオイル”の自宅用ヘアカラーを選択。いずれの場合もプロのカラーリストに相談し、ムラなく均一な“ビニール級のツヤ”を手に入れることが成功の鍵だ。


ウィスキーグレーズ

陽に透けるようなツヤと、ほんのり焼けたようなウォームブラウン。それがウィスキーグレーズの魅力だ。先ほど紹介したスターレットブルネットより明るめのトーンなので、まさに春夏らしい軽やかさを演出している。

なかでも温かみのある肌色に映えるのが特徴で、ジェナ・オルテガ、ヘイリー・ビーバー、クロエ・カーダシアン、リリー・オルドリッジらが好例。

フリードマン氏は「控えめながら暖かいトーンが肌を自然に輝かせ、若々しいツヤを生みます」と解説する。

ビスケットブロンド

ブラウンカラー
Frazer Harrison

長年ブロンドだった人が、少し深めのトーンに挑戦するなら、やさしいベージュブラウンの“ビスケットブロンド”がおすすめ。繊細なバレイヤージュによって温かなブロンドとブラウンを溶け合わせれば、柔らかく立体的なサンキスカラーが完成する。

ビスケットのような淡いハイライトが自然に根元へなじむため、伸びても手入れがラクなのも魅力。マーゴット・ロビー、アディソン・レイ、カイア・ガーバー、イザベル・マザーズのスタイルが、まさにお手本といえるだろう。



ポリクロームブルネット

「このポリクロームブルネットとは、私が提案する新しいカラーリング技法“ポリクローミング”によってつくる最旬ブラウンです」と、アーヴィン氏。

ピーカンやラセット、ソルテッドメープルといったとろみのあるウォームトーンを、髪の中間〜毛先にかけて極細のマイクロハイライトとして散らし、柔らかな陰影をプラスする。バレイヤージュほどコントラストを効かせず、あくまでさりげなく立体感を演出するのがポイントだ。

このニュアンスブラウンのインスピレーションは、デイジー・エドガー=ジョーンズ、ゾーイ・サルダナ、ヘイリー・ビーバー、カミラ・モローネのヘアスタイルに見ることができる。肌ツヤまで引き立つ自然な輝きと若々しい抜け感が魅力だ。

テラコッパー 3.0

シーズンを問わず人気が続くコッパー系も、2025年版は“テラコッパー3.0”へと進化。「Evo Hair」のカラーディレクター、トム・スミス氏は「3シーズン連続でコッパーを推していますが、今回はより穏やかなトーンに注目です」と語る。

ブラウンヘアカラー
Steve Granitz

テラコッパー3.0は、深みのあるブルネットにスモーキーでアーシーなコッパーを溶け込ませた、控えめで品のある色調。暗すぎず、けれど確かなエッジをもたらすニュアンスが特徴で、派手すぎない変化を求める人にぴったりな、ブラウン×コッパーのハイブリッドカラーといえそうだ。

Realization : Chloe Woodland、Translation & Text : Nathalie Lima KONISHI

出典:UK ELLE