ピクシーカット
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もし2024年がボブヘアの年だったとしたら、2025年は間違いなくピクシーカットの年になりそうだ。1950年代に大流行し、反骨精神の象徴ともなった大胆なショートスタイルがいま再び脚光を浴びているからだ。ヘアスタイリストたちはこのトレンドが、ここ数年世界を席巻してきた“口もと丈ボブ”の人気を凌駕し、今後数カ月で主役の座を奪うだろうと予測している。

ハーシェソンズ」のスタイリスト、エリオット・ビュートは「ピクシーカットが再注目されているのは、時代を超えて愛されるエレガンスと現代のファッショントレンドに合う自在さが共存しているからです」と分析。来季に向けてヘアスタイル全体がより短く、エッジィで、大胆にシフトしていると語る。

ピクシーカットスタイリング法

ピクシーカットの仕上げ方は、髪質と目指す質感によって大きく変わる。ビュート氏は「ピクシーカットは応用力が高く、磨き上げたようなツヤのある仕上がりにも、動きを活かしたテクスチャードな仕上がりにも対応できます」と説明する。

サイドは短く、トップを長めに残すクラシックピクシー、あるいはアンダーカットピクシーを選ぶ場合はカットそのものの完成度が最重要ポイント。一方、よりモダンなバリエーションを楽しむならスタイリング工程を増やし、適切なプロダクトやツールを駆使することが欠かせない。

ピクシーカット
James Devaney

なぜピクシーカットがここまで盛り上がっているのか。その背景には、クラシックなピクシースタイルに新しい魅力を吹き込むセレブたちの存在がある。

ピクシーカットの“広告塔”ともいえるアイリス・ロウは、ベリーショートをいち早く復活させた張本人。最近はウェットルックのカール、アンダーカットピクシー、厚めのフリンジなど、多彩なバリエーションを次々披露している。

続いて先月はブリー・ラーソンがソフトなピクシーカット姿で登場し、トレードマークだったロングのブロンドヘアをチョコレートブラウンに一新してネットを騒然とさせた。さらにヘアスタイルカメレオンのケンダル・ジェンナーとカミラ・カベロもピクシー×シャグカットを披露し、このカットの万能ぶりを証明している。

ピクシーカット
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こうして“新生ピクシー”の輪郭がくっきりしてきた。ビュート氏は「今どきのピクシーカットはクラシックよりもソフトでテクスチャー重視。カーテンバングや重めの前髪など、顔周りのディテールでモダンなひねりを効かせるのが特徴です」と説明。「ロンドンのクールガール、アイリス・ロウやコンテンツクリエイターのアレクシス・フォアマンがその進化を牽引しています」と語る。

このほかにも、エマ・ストーンやレネー・ゼルウィガーが体現する2025年版ピクシーは、均一でかっちりした印象ではなく、あえて髪本来の動きを活かしているのがポイント。ビュート氏によれば「立体感とボリュームを出すにはワックスやムースが有効」とのこと。スタイリングにはブロードライツールがあると便利で、たとえば「ghd」“デュエット ホット エアー スタイラー”を使えば、サロン級の前髪をものの数秒で再現できる。

ピクシーヘアのカット方法

「ピクシーカットは ミリ単位の精度と、骨格を見極める目が不可欠です」とビュート氏は強調する。顔型や髪質に最適な仕上がりにするには、長さ・質感・スタイルを事前にスタイリストとしっかり相談することが最重要だと言う。

実際のカットでは、毛先に柔らかい動きと質感を出すためにポイントカットやカミソリを用いるのが効果的。さらにビュート氏は、前髪やフリンジで個性を加えたり好みと似合いに合わせてアンダーカットを取り入れることで、オーダーメイド感を高めるのが好きだと語っている。

ピクシーカット
Daniele Venturelli

今いちばん人気のピクシーヘアは

以前のピクシーといえば、映画『ローマの休日』で永遠に刻まれたオードリー・ヘプバーンのクラシックな可憐さを思い浮かべたもの。しかし2025年版ピクシーヘアは、そこにエッジさと自由度を加えた“ピクシーカット 2.0”へと進化している。このあと紹介するお手本スタイルで、新シーズンのインスピレーションをぜひチェックしてみて。

2025年最旬ピクシーカットインスピレーション

アンダーカットピクシー

今シーズンのレッドカーペットを席巻しているピクシーカットの代表例が、エマ・ストーンがゴールデン・グローブ賞で披露したアンダーカットピクシー。スタイリストのマーラ・ローザックが手がけたこのスタイルは、頭頂部にかけて長めでストレートなレングスを残し、クラシックなショートヘアをモダンに刷新した好例。

サイドパートピクシー

「もう二度と流行らない」と思われていた懐かしの“賛否両論サイドパート”だけど、テイラー・ラッセルはあえて端正なピクシーカットに分け目を取り入れ、サイドパートピクシーを見事に復権させた。

ソフトピクシー

ブリー・ラーソンはトレードマークのブロンドロングを耳にかかるほどのピクシーへ大胆にヘアチェンジし、世間を驚かせた。

フルフリンジピクシー

ウェットなツヤ感と質感豊かなフルフリンジ。アイリス・ロウのピクシーこそ、まさに“ピクシーカット2.0”の象徴といえるだろう。

ピクシーボブ

クラシックなピクシーよりも長めで柔らかく、さらに実験的。そんなスリークなピクシーボブが2025年のヘアトレンドを席巻しそうな予感!

ふわふわピクシー

モダンヘアのミューズとして知られるエマ・コリン。アンダーカットとクラシックピクシーの中間にあたる、この軽やかなウィスピーピクシーも例外ではなく、その存在感をいっそう際立たせている。

カーリーピクシー

今シーズンのカーリーピクシーを完璧に着こなしている好例が、俳優ナタリー・エマニュエルだ。従来のピクシーにエッジィなニュアンスをもたらしている。

Realization :Amelia Bell、Translation & Text : Nathalie Lima KONISHI

出典:ELLE UK