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コスメの”原料”が女性をエンパワー!知っておきたい5ブランドの取り組み

「イヴ・サンローラン」や「ロクシタン」など、アフリカの女性たちをビジネスに取り込み、自立を支援するビューティブランドをご紹介。

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イヴ・サンローラン ロクシタン ヴァーチェ ザボディショップ ローズドマラケシュ

私たちが日々手に取るコスメ。その多くには、花や果実といった、豊かな自然環境で育まれた植物由来の原料が使われている。美しさを叶えるために欠かせない存在だけれど、実はそのなかには、経済的に貧しい地域で採取された原料も少なくない。また、悪質な仲介業者によって安価に取引され、現地の人々に利益が還元されないというケースも数多い。

今回紹介するのは、そうした現実に向き合い、原料の力を通じて産地の女性たちをエンパワーするビューティブランド。いずれも、豊かな資源が身近にありながらも、ビジネスの機会に恵まれなかった地域の女性たちと協働。“原料の調達”という、ブランドにとっても必要不可欠なプロセスを託すことで、継続的な雇用と安定した収入を提供している。ときには読み書きや事務作業など新たなスキルの習得もサポートし、将来につながる経済的自立を後押ししているのも特徴だ。

以下では、「イヴ・サンローラン」から「ロクシタン」まで、今知っておきたい“原料”を通じた女性支援の取り組みをご紹介。日頃愛用していたアイテムが、実は遠く離れた地で女性たちのエンパワーメントにつながっていた、なんてこともあるかもしれない。

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イヴ・サンローラン

イヴ・サンローラン
YVES SAINT LAURENT BEAUTÉ

モロッコ、アトラス山脈の麓にあるウリカ渓谷は、極端な気象条件にも耐える肥沃な大地。マラケシュから約30キロメートル離れたこの場所に、2013年「イヴ・サンローラン」が開設したのが、「YSL ウリカ コミュニティ ガーデン」。ここでは製品に使用する植物から、新たな原料のための研究対象となる植物まで、計200種類以上が育てられている。

そんな植物の栽培を任されているのが、ウリカ地域に暮らす30人以上の女性たち。それまで「仕事はもっぱら子育て」だったという彼女たちは、週2回、1年を通してガーデンで働くことで、定職とスキルアップの機会を得ている。

イヴ・サンローラン
YVES SAINT LAURENT BEAUTÉ

しかし、ここでの取り組みは雇用を生むだけではない。もとより女性たちのエンパワーメントに積極的に取り組んでいた「イヴ・サンローラン」は、「みんなで一緒に働ける場所が欲しい」「収入を得たい」と訴えていた現地女性の声に応える形で、2017年、ガーデンで働く女性たちの協同組合を設立。より本質的な経済的自立を叶えるために注力してきた。

組合では、読み書きの学習に加え、作物づくりに必要な知識を学ぶトレーニングを定期的に実施。さらに販売や管理事務(見積もりや請求書の作成、書類の整理、納品処理など)といった実践的な研修を行い、女性たちの起業も促している。

設立からわずか数年で、女性たちは植物の世話だけでなく、栽培スケジュールの組み立てから、穀物や紅茶などの販売、さらには観光客向けの料理教室など、多様な活動に取り組むように。新たに得たスキルを活かしながら、仕事の幅を広げている。

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イヴ・サンローラン
YVES SAINT LAURENT BEAUTÉ

また、ガーデンと協同組合の活動から得た収入で、生活環境も大きく向上。娘たちを学校に通わせることができるようになった母親も増えているそう。

YSL サステナビリティ&サイエンティフィック ディレクターのカロリーヌ・ネグレ氏は、「組合員たちとのあいだに築いた信頼関係が役立ち、女子教育こそ地域全体の発展と生活水準の向上のために重要であると理解してもらえるようになりました」と語っている。

活動の輪はさらに広がり、同地域の他の村でも女性たちによる手工芸の協同組合が設立されるなど、ポジティブなインパクトが広がっているのだとか。

現在、「イヴ・サンローラン」のスキンケアとメイクアップには、「YSL ウリカ コミュニティ ガーデン」で育てた17種類以上の植物種が使用されている。今後はすべての製品にこのガーデンから調達した成分を1種類以上配合する目標を設定していて、2025年にはフレグランス製品にも活用が広がる予定。ウリカ女性たちの活躍は、ますます重要になっていきそう。

イヴ・サンローラン リブレ ロー ニュ
YVES SAINT LAURENT BEAUTÉ

女性たちが育てた花を使ったアイテムはコレ!

「YSL ウリカ コミュニティ ガーデン」で栽培された原料を使った、新しいフレグランス。女性たちにより手摘みされたオレンジブロッサムが、香り成分としても、スキンケア成分としても活用されている。

ブランド初のアルコールフリーフォーミュラ(エタノール無配合)で、肌や髪にもまとうことが可能。フレッシュなシトラスと魅力あふれるオレンジブロッサムをブレンドした、みずみずしい香りを楽しんで。

リブレ ロー ニュ 50ml ¥18,810(5月16日(金)全国発売/5月7日(水)公式オンライン ブティック・表参道フラッグシップ ブティック先行発売)

問い合わせ先/イヴ・サンローラン・ボーテ tel. 0120-526-333
www.yslb.jp

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ザボディショップ

ザボディショップ
The Body Shop

イギリス発の「ザボディショップ」は、“SDGs”という言葉が誕生する前から、「援助ではなく取引を!」という先駆的なモットーを掲げてきたブランド。支援が必要な地域から良質な原料を仕入れる、独自の「コミュニティ フェアトレード」プログラムを1987年から実施している。これは、公正な対価を支払うだけでなく、コスメの原料を生産する現地の人とブランドの直接的なビジネスに重きを置いたもの。この“顔が見える”取引によって、コスメの製造・販売自体がそのコミュニティを支える仕組みを確立してきた。

なかでも女性コミュニティのエンパワーにつながっている原料が、ガーナのシアバター。「ザボディショップ」は1994年から、ガーナ北部の「トゥンテイヤ・シアバター女性組合」と取引を続けている。ここに所属する女性たちは、シアの実の採取からシアバターの製造までを担当している。

ザボディショップ
The Body Shop

パートナーシップのきっかけは、1992年にブランド創業者のアニータ・ロディック氏が初めてガーナを訪れたこと。何世代にもわたりシアバターを利用してきた女性たちの肌が、うるおいに満ちているのを目の当たりにした彼女は、「ザボディショップ」の製品にもシアバターを取り入れたいと考えるように。同時に、この地域の女性たちや家族、地域社会全体までをもエンパワーすることを強く望み、女性組合から直接シアバターを調達する取り組みをスタートさせた。

当時50名だった女性組合のメンバーは、現在11の村からなる約640人もの組織に成長。「コミュニティ フェアトレード」による収入のほか、ブランドはソーシャルプレミアム(社会的推奨金)を支払うことにより、現地の医療や衛生環境の整備、安全な水の提供、学校の建設など、生活のさまざまな面での水準向上を実現している。

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ザボディショップ
The Body Shop

ポジティブな影響はそれだけではない。組合の女性たちは、将来の世代もシアバターの恩恵を受けられるよう、シアの木が育つ公園地帯を保護する環境プロジェクトにも参加するように。“今”だけでなく、未来を見据えた行動も生まれている。

現在、「ザボディショップ」と「トゥンテイヤ・シアバター女性組合」のあいだには、年間およそ350トン以上のシアバターの取引があるそう。人気のボディバターからヘアケアまで、さまざまな製品に使われている良質なシアバターは、ブランドにとってなくてはならない原料。一方通行ではない関係性が、30年以上もの長いパートナーシップが続く理由なのかも。

ザボディショップ ハンドクリーム
The Body Shop

女性たちが生産したシアバターを使ったアイテムはコレ!

鉄板人気の「ボディバター SB」に続き、高い人気を誇るのが「ハンドバーム SB」。保湿成分のシアバターとスウィートアーモンドオイルが、乾燥から手肌を守ってくれる。

すっきり甘く優しいシアの香りに、とりこになる人も多いのだとか。パッケージは100%リサイクルアルミニウム製。

ハンドバーム SB 30ml ¥1,320

ザボディショップ tel. 0120-992-570
www.the-body-shop.co.jp

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ロクシタン

ロクシタン
L'Occitane

おなじみ「ロクシタン」も、実はシアバターを通じて長年女性たちのエンパワーメントを行っているブランド。2013年と2019年には、産地ブルキナファソでのビジネスモデルが国連開発計画(UNDP)の表彰を受けるなど、その取り組みは国際的にも高く評価されている。

活動の原点は、ブランド創設者オリビエ・ボーサン氏が、当時あまり知られていなかった「シア」の存在を偶然聞きつけた1980年代のこと。実際にその木が育つブルキナファソへと足を運んだ彼は、厳しい乾燥のなかで生きる女性たちの肌の美しさに感銘を受ける。これを世界に届けたいと思ったことがきっかけで、シアバター製品の展開がスタートすることに。

ロクシタン
L'Occitane

現地では、シアの木は“女性にしか触れることのできない神聖な木”とされていて、シアバターは伝統的に女性たちが生産。世界の最貧国のひとつに数えられるブルキナファソで、暮らしを支える大切な産業となっていた。

そんな現地の女性たちにリスペクトをこめ、「ロクシタン」ではより良い労働条件と暮らしのサポートを目的に、公正な価格でのシアバター取引をスタート。2009年からは国際的な認証制度「フェア・フォー・ライフ」に準拠したしたフェアトレードを行っている。具体的には、市場価格の2倍の価格でシアを取引するほか、収穫前に80%の賃金を支払うことを約束。安定した収入と経済的自立を支える仕組みを構築してきた。

取引がはじまった1980年当時、わずか12人ほどだった女性生産者は、現在1万人以上の女性たちへと拡大。より扱いやすく機械化された設備を用いながらも、伝統の知恵を大切に活かす生産体制を維持している。

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ロクシタン
L'Occitane

2018年にはさらなる女性たちの経済的自立を目的とし、200万ドル規模の「RESISTプログラム」を立ち上げ。このプログラムは、ブルキナファソでのシアの木保護を通してシアバター生産現場の持続可能性を向上させるほか、新たな製品・新たな顧客の模索など、女性たちの活動と収益の多様化を図っている。

また、2006年に設立された「ロクシタン基金」を通じ、ブルキナファソにおける女性リーダーシップの確立にも取り組んでいる「ロクシタン」。ユニセフのほか、「Association Action Education」や「Entrepreneurs du Monde」などといった団体との連携により、識字教育、起業を促進するマイクロクレジット(少額融資)制度の導入、女子児童の教育、起業家精神の啓蒙等と、幅広い分野でのエンパワーメントを行っている。

ロクシタン シアバター
L'Occitane

女性たちが生産したシアバターを使ったアイテムはコレ!

無着色無香料で、シアを100%詰め込んだ「シアバター」は、赤ちゃんから大人まで使われている長年の名品。高い保湿力を備えながら、体温36度であたためるとクリーム状に変わる扱いやすいテクスチャーが魅力。

顔、髪、爪、唇、ボディなどにマルチに使えるので、旅行などにも携えていきたい!

シアバター 150ml ¥5,940

問い合わせ先/ロクシタンジャポン tel. 0570-66-6940
https://jp.loccitane.com/

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ヴァーチェ

ヴァーチェ
VIRCHE

アフリカで”神の木”と呼ばれるマルラから採れる「マルラオイル」。オリーブオイルの約10倍という抗酸化力と抜群の保湿力を誇り、近年美容業界からも注目を集めている。そんな希少なオイルとの出会いをきっかけに誕生したのが、日本の「ヴァーチェ」というブランド。2014年の設立から、マルラオイルを活用したスキンケア・ベースメイクアイテムを数多く展開している。

そんなブランドの核となるマルラの調達を支えているのが、アフリカ南部、モザンビークの農村地帯に暮らす女性たち。1~3月の雨季は主に収穫を、5~7月の乾季は主に種子から仁を取り出す加工を行っている。

モザンビークとのつながりは、世界各地で女性のエンパワーメントを支援する財団「ファム・デュ・モンド」との出会いがはじまり。ブランド代表の藤原友香さんは、「最貧国のひとつであることから、現地への経済支援効果が高いという一面もあります。しかしそれだけでなく、豊かな土壌で育ったモザンビークのマルラは、品質面でも優れていました」と語る。現地ではそれまで、マルラの果実は伝統的なジュースやお酒の材料としてしか活用されていなかったのだとか。

ヴァーチェ
VIRCHE

女性たちの雇用のカギを握るのが、20~30人のコミュニティをまとめるキーパーソンの女性たち。マルラの実を買い取る現地の財団と、農村部の女性たちとの橋渡し役を担っていて、彼女たちがいることにより、インフラのない地域で女性たちと連携することができているのだそう。賃金は作業量によって変動し、現在は、毎シーズンおよそ700名もの女性の雇用を創出している。

現地にはマルラの木が自生しているため、女性たちは元手資金をほとんど必要とせず、さらに自分の住む村を離れることなく収入を得られるのも魅力。これは、平均出産人数が4〜5名と、子だくさんな現地女性たちが子育てをしながら働くのにも理想的だという。

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ヴァーチェ
VIRCHE

自身もモザンビークを訪れている藤原さんによれば、現地女性たちに「今より収入が増えたら何に使いたいか」という質問を投げかけると、ほとんどの場合子どもの話になるのだそう。実際に、女性たちが直接収入を手にできるようになったことで、「子どもを高等学校に通わせることができた」という声も届いているのだとか。

また、藤原さんは女性支援の今後について、「当社は慈善団体ではないですし、現地の方々の将来を誘導したいというような気持ちはありません」と前置きしつつ、次のように話す。

「現地の多くの女性とその子どもたちが、人生の選択肢を持つことができ、自分で将来を決められる未来が、私たちの目標です」

ヴァーチェ
VIRCHE

女性たちが調達したマルラが使われているアイテムはコレ!

マルラの実から抽出したマルラオイルを、防腐剤・香料・着色料などすべて無添加、純度100%で製品化した贅沢なアイテム。ビタミンEやオレイン酸を豊富に含み、さらっとしたつけ心地で肌なじみ抜群。

おすすめは、洗顔後すぐの“ブースターづかい”。たった2、3滴で、うるおいたっぷりのやわらかな肌へと導いてくれる。ヘアオイルやマッサージオイルとして使ってもOK。

マルラオイル 18ml ¥4,048

問い合わせ先/ヴァーチェ tel.06-6306-0755
https://virche.com/

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ローズ ド マラケシュ

ローズ ド マラケシュ
ROSE DE MARRAKECH

スパ発祥の地ともいわれるモロッコ美容を、現代の日本に伝えるブランドが「ローズ ド マラケシュ」。創設者の板橋マサ江さんが、旅行中にこの地の美容に魅了されたことがきっかけとなり、2004年にスタートした。アルガンオイルやダマスクローズといった原料は、すべて現地からの直接買い付け。“ピュアなモロッコ産”にこだわったコスメを届けている。

そんな「ローズ ド マラケシュ」がモロッコ女性の雇用促進プロジェクトを開始したのが2014年のこと。年に数回モロッコを訪れていた板橋さんは、現地の女性たちがとても働き者であるにもかかわらず、収入の大半を夫が管理。経済的に自立することが困難な状況に置かれているのを、目の当たりにしていたそう。以来、主要原料となっているアルガンオイルの調達プロセスにおいて、産地であるモロッコ南部農村部の女性を雇用し、収入を得る機会を提供し続けてきた。

ローズ ド マラケシュ
ROSE DE MARRAKECH

2017年にはこうした活動が認められ、JICASDGs達成ビジネスモデル調査をする企業として、「ローズ ド マラケシュ」を運営する「ジェイ・シー・ビー・ジャポン」が採択されている。これは、途上国のSDGs達成に貢献するビジネスの形成・展開を検討している日本の民間企業をJICAが支援する仕組み。

JICAとの提携のもと、現地の女性協同組合とパートナーシップを築いた「ローズ ド マラケシュ」は、現在約200名の女性を雇用。女性たちはアルガンの実を拾い集め、その種を割って中の芯を取り出す作業を担当している。この地のアルガンから採れるオイルは、“美肌ビタミン”と呼ばれるビタミンE(トコフェロール)や、肌のハリと弾力を高めるとされるリノール酸・リノレン酸が豊富に含まれているのが特徴なのだそう。

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ローズ ド マラケシュ
ROSE DE MARRAKECH

工場では午前中で作業を終了させ、午後からは併設されたサロンで識字教育を行うなど、収入面だけでなくスキルアップのサポートも実施。女性たちが自分で収入を管理できるよう、給料は直接手渡しをしている。彼女たちが給料を得ることにより、その子どもたちの就学率がほぼ100%になったという、大きな変化も起きているのだそう。

また、こうしてアルガンの実を化粧品原料として経済利用することにより、これまで燃料等の目的で伐採されてきた希少なアルガンの木の保護にも貢献。女性たちの経済的自立を支えながら、それが未来にも続いていく小さな循環が生まれている。

ローズ ド マラケシュ アルガンオイルローズ
ROSE DE MARRAKECH

女性たちが調達したアルガンが使われているアイテムはコレ!

特別に製造した日本製の機械をモロッコの工場に設置し、本格的なコールドプレス製法でアルガンオイルの成分を変質させることなく、オイルを搾油。リッチなテクスチャーながら、肌にぴたっと寄り添うような心地よさが魅力。

モロッコ王室のローズガーデンで採取したセンチフォリアローズとバラの谷のダマスクローズの精油をブレンドし、華やかで優雅な香りも楽しめる。

アルガンオイル ローズ 30ml ¥5,500

問い合わせ先/ジェイ・シー・ビー・ジャポン tel. 0120-66-3320
www.rose-de-marrakech.com

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